ねじ子のLINEスタンプが発売されています

○○ロスの正体

ルパパト放送終了後、ルパパトロスをこじらせた私はルービックキューブをはじめた。もちろん目標は「ルービックキューバー」になることである。

半年かけ、私はついに一人で6面を揃えることができるようになった。子どもの頃から幾度チャレンジしても、まったくできなかったのに。ありがとう工藤。あなたのおかげだ。この歳になっても新しくできることが増えて嬉しい。まだまだ成長できる、その事実が嬉しい。

ルパパトロスへの薬として私は今、『ジュウオウジャー』と『ファントミラージュ』を交代で見ている。同じ香村脚本であるジュウオウジャーと、初美花ジェネリック感の強い衣装で何の憂いもなく「大切な人を守りたい!」と宣言するファントミ女子を見ていると、なんだか胃の中で混ざって回腸のあたりでルパパトかのような成分を摂取している気分になれる。周囲の人間には「体感幻覚では?」と指摘された。

すべてが終わった今だから言うけど、私は朝加圭一郎に何度も鞘師里保の面影を見ていた。まっすぐな黒髪、白い肌、小さい顔、意志の強そうな黒い眉、涼し気な奥二重から放たれる鋭い眼光、薄い唇がムニュッと波型に結ばれる笑い顔。赤を身にまとってセンターに立つ姿。ほら鞘師。鞘師でしょ。しかも隣にはお姉さんピンクと2人の緑がいるんだよ!?え、これ奇跡じゃね?これはもう9期でしょ!9期だ!やったあ!

私は大上先生に意気揚々と伝えた。

私「朝加圭一郎って鞘師にそっくりじゃない?顔がすごく似てる」
大上先生「……。君は鞘師が恋しすぎて、目がおかしくなってるんだね」
私「そんなことない!ほらこのスレッド見て!みんな鞘師と1号が似てるって言ってる!同じこと言ってるハロヲタ、たくさんいるよ!」
大上先生「それはみんな同じ病気の人でしょ」
私「え」
大上先生「患者会が開催されている場所だって言ってるの、そこは」
私「え?そうか、ここに『りほロス』患者が集まっているのか。え、それにしても、客観的に見ても似てるでしょ?奥二重だし唇薄いし黒髪だし色白だし赤い服だしセンターだし」
大上先生「……いや、そこまでは似ていない」

信じられなかった。私は朝加圭一郎がアップになるたびに鞘師を思い出していたというのに。30分の放送中で最低3回くらい鞘師の面影を見ていたのに。そっくりではないか。

ところがである。

2019年3月の「ひなフェス」で本物の鞘師が帰ってきて圧巻のステージを見たあとにルパパトの朝加圭一郎を見たとき、私はまったく鞘師を思い出さなかった。そこにいるのは朝加圭一郎という成人男性そのものだった。「なーんだ!ぜんぜん鞘師に似てないじゃん」と思った。その時期にちょうどファイナルライブツアーを観劇したため、魁利くんの「やっぱり兄貴とぜんぜん似てねーわ」という台詞に私の気持ちはぴったりと重なった。わかる、わかるよ魁利くん!魁利くんも兄が突然いなくなって、会いたくても会えないからこそ、兄ちゃんと圭ちゃんを重ねて見ちゃったんだよね!本物の兄が帰ってきて、二人を同時に見比べることができるようになったら「ぜんぜん違う」って気付くよね!私も同じだよ!!兄貴じゃなく鞘師だけど!!!!朝加圭一郎を見て「なんだ、ぜんぜん鞘師に似てないじゃん」って思った、私も!期せずして魁利くんの追体験をしちゃったよ!

さらに、ところがである。

ひなフェスのあと鞘師は再び表舞台からいなくなり、何の音沙汰もなく数ヶ月が経過した。そのころ私は期間限定上映の映画『ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー』を見に行った。そしたらね!画面の中の朝加圭一郎がもう何度も何度も何度も何度も何度も鞘師に見えるんだよー!うわーん!私はもうだめだー!病気だ!わかってる!病識はある!また「りほロス」になってるんだよおおお!しかも今後はりほロスのうえに、ルパパトロスまで加わるんだよ!!ひーん!私はもうだめだー!もう圭ちゃんでも兄ちゃんでも鞘師でもなんでもいいから、早く帰ってきてえぇぇぇぇ!

……そして私はいままた、性懲りもなく『ファントミラージュ』のファントミダイヤが鞘師に見えているし(赤だし、涼しげな目元だしダンス上手いし)さらにそのうえ『仮面ライダーゼロワン』のイズが鈴木香音ちゃんに見えている。だってさ、くりっとした目、ぱっつん前髪のおかっぱ黒髪、胸の曲線が際立つ銀色の衣装、しかも緑だよ。これはもうまじで香音ちゃんでしょ。『恋愛ハンター』の香音ちゃんだよ。わーい!やったー!かのんちゃんだー!かのんちゃんだー!わかってます、私はもうだめです。

※追記 鞘師はその後RIHOMETALとしてステージに帰ってきてくれました。ありがたいことです。複雑な気持ちを抱くハロヲタも多いとは思いますが、私個人はRIHOMETALを大歓迎しています。小学生だったアクターズスクール広島時代から続く鞘師とすぅちゃんの歴史が10年以上経った今でも続いていること、お互いのピンチに手を取り合ったこと、その協力が世界的な大舞台の上で行われていることがとても嬉しい。私は歓喜の涙を流しています。世界中のメイトのみなさん、鞘師をよろしくおねがいします。あ、鈴木香音ちゃんとルパパトはまだ帰ってきていません。(2019/9/10)

今日は一日 #ハロプロ三昧 を聴きながら

2019年8月16日金曜日の夜。

他人の病気を治し他人を健康にするために自らの身を削り精神の安寧を持ち崩している現状にひどく疲れ、汚いシーツの上でひとりうつ伏せになってNHK-FMの8時間生放送『今日は一日#ハロプロ三昧』を聴いていたら涙が流れてきた。

ラジオの終わりには『Happy大作戦』が流れた。この曲は疲れた心に染みわたる。「そうだ、もっと良いアイディアいっぱい出し合って切磋琢磨するしかない」そうだよね。それしかないって、わかってる。わかってるんだけど。こんな私だって、「恋も仕事も勉強も全部100%手は抜かない」で、ここまで頑張ってきたんだよ。

「世界はー!あーぁ!ひーとつー!」という歌詞でこの曲は終わる。でも。世界は本当に一つなのか?私にはそうは思えない。世界は隙あらば自分以外の他人を糾弾し、自分と違う属性を持つものを下に置き、立場の弱い人間から搾取する構造を構築する。今の私にはそのように思えてしまう。ああでも確かに、このラジオを聴いている間だけは!世界は一つだ!私たちは大きな「愛」という名の糸で繋がっている。そう思える。放送ブースにいるキラキラした娘たちと、夜中に一人部屋でradikoを聴きながら泣いている私と、私と同じように一人部屋でスマホを抱える孤独なリスナーたち。今まさに全員が電波の糸で繋がっている。同じ気持ちを抱えてこの夜を過ごしている。

そして放送が終わった瞬間、私たちはまた一人になる。空に向かって突然放り出されたような浮遊感が私を包む。

ハロプロの可愛い女の子たちを守るためだけに生きていけたら、どんなにかいいのに。

こんな私でも、疲れた金曜日の夜にそう思ってやまないときがある。

『46億年LOVE』という曲の中で「夢に見てた自分じゃなくても真っ当に生きていく今どき」と、雨子は語っていた。この曲は同時代性が高い歌詞として若い女性ファンたちに受けている。さっきラジオでそう言っていた。

でもね、私たちの世代は真っ当に生きてきたのに、気付いたら夢に見ていた自分からかけ離れていたんだよ。その乖離はどんどん広がって、もう取り返しがつかない。「取り返しが付かない」という残酷な現実が、今まさに私たちの目の前に突きつけられている。それが40代氷河期世代の現実だ。私たちの世代は同窓会ができない。同じ小学校、同じ中学校、同じ高校に通っていたのにもかかわらずそれぞれの社会的格差が開きすぎているからだ。私たちの世代は、ニートか引きこもりか生活保護か、派遣切りに何度もあって精神を持ち崩しながらも日銭を必死で稼いでいるワーキングプアか、なんとか正社員になったもののバブル世代とゆとり世代に挟まれた数が少ない世代として、働きづめで疲弊しきっている中間管理職しかいない。誰も同窓会など開こうとしないし、その余力も残っていない。賃金格差が激しいから、集まろうとしたところでどの値段の店を選んだらいいかもわからない。だんだん話題も噛みあわなくなってしまった。自家用車で言うならば、高級車持ちか、車自体を持ってないか。この二択しかない。「あいだ」がないのだ。私たちは分断されている。そして我々の親世代は要介護の年齢になり、自らはたっぷりと年金をもらいながらもなぜか我々の税金や人手を頼ってくる。いったい何を言ってるんだ?我々の世代を雇用せず賃金も上げず棄民したのはあなたたたちなのに?

私たちの世代にとって雨子の歌詞は前後が逆だ。「真っ当に生きてきたのに、夢に見てた自分じゃない」。それが氷河期世代の「今どき」である。女性ならばもう妊娠がしにくい年代になってしまった。男性だって40代で年収が低ければ、結婚相手が見つかる可能性が極端に低くなる。将来への希望がついえた瞬間に、自暴自棄になって世の中に漠然と復讐する人間も出てきてしまう。京アニを放火したクズもカリタス小学校のバスを狙ったクズも、(ついでにその報道を受けて高級官僚の父親に殺されてしまった練馬の無職男性も)ぜんぶ私と同世代だ。彼らや彼らの犯した犯罪を擁護するつもりは毛頭ない。彼らに殺された人たちもまた、私や私の子供と同じ属性をもつ弱い人間なのだから。彼らは残念ながら強い人間を狙わず、自分よりさらに弱い存在に牙を向ける。

汚ないシーツの上で一人ハロプロ三昧を聴きながら泣いている私の隣に、宮本佳林ちゃんみたいな女の子がそっと寄り添ってくれたらどんなにかいいのに。でも、そんな瞬間は私たちの元には永久に訪れない。この先も一生そんな瞬間は訪れない。自分には無縁のことだ。それに気付いてしまった。40年間ずっと真っ当に生きて、自分なりに手を抜かずに死ぬ気で勉強して死ぬ気で働いてきたのに。自分たちを取り巻く世界はもう永遠に変わらず、我々の世代が報われることはないと、私たちは気付いてしまった。

私も現世で徳を積んで、来世はハロプロに楽曲が提供できるオタクになることを誓う。前世において、私は少し徳の積み方の方向性を間違えてしまったようだ。音楽ではなく医療の方に、映像ではなく書籍の方向に行ってしまった。くそう。(2019/08/16)

同人誌『ねじ子の重症熱傷』売上の寄付について

先のコミックマーケット96における同人誌『ねじ子の重症熱傷』の売上の寄付を完了しましたので、ご報告します。

売上110部×500円=55.000円に私個人からの寄付を加えて、合計100.000円を
(株)京都アニメーションの支援金預かり専用口座口座 に2019/8/28付けで寄付しました。

ご協力して下さった皆様ありがとうございました。(2019/8/28)

夏のコミケありがとうございました & 次は12/30です

夏のコミケありがとうございました。私の参加した3日目は史上まれに見る暑さと、普段と違うイベント形式で不測の事態が多かったことが不幸にも重なり、待機列から熱中症搬送が相次ぐ事態になってしまったようです。東駐車場待機列の現場で救助活動をされた医療関係者の皆様(おそらく全員が一般参加者の立場だったはずです)には、本当に頭が下がります。大事に至った患者さんがゼロであったのは、すべて彼らの尽力のおかげです。どんなに感謝しても足りません。コミケを守ってくれた英雄です。マジで。ありがとうございます。

ねじ子の次のイベント参加は冬のコミケの予定です。4日間開催が続くため2019/12/30になります。大みそかではありません。終わったあとにハロプロ楽曲大賞にもハロプロカウントダウンにも行けます。やったね!

コミケもコンサートも仕事も学校行事もイベントも東京周辺の何もかもが、オリンピックまでは望まぬ形の変化や不測の事態が続きそうでうんざりしていますが、知恵と勇気でなんとか乗り切っていきましょう。これは自分に言い聞かせています。(2019/8/26)

表紙や見出しの誤植は気が付きにくい

『ねじ子の重症熱傷』、なんと表紙を盛大に誤植していました。重症熱「症」ではありません。重「症」熱「傷」です。いやあぁあぁあぁあぁああああ!こんなに派手な誤植をするとは!!不覚!

「実は表紙って誤植の確率が高いんですよ。よーく注意して見なくちゃいけません!」と『ナース専科』の編集さんが表紙カバーの色校を見ながら深夜の編集部で教えてくれたことを思い出します。新聞や雑誌の誤植も「見出し」が一番気が付きにくいって言うしね。いやー、大きすぎるミスって、意外とスルーしてしまうものなんですね。てへへ。本当にすみません。

それを受けて、表紙はこのように直しました。

『ねじ子の重症熱傷』はチャリティ目的であり、かつ読者の皆様に知識を共有してもらうのが目的でもあるので、しかるべきのちにwebでPDFを全公開しようと考えています。コミケで購入してくださった方々に不誠実とならないよう、ある程度のウィンドウ期間を設け、かつ今回は『収益』ではなく『売上』金額で寄付をすることにいたしました。

コミケで『ねじ子の重症熱傷』を購入して下さった皆さんは、京都アニメーションに500円を寄付された計算になります。webで『ねじ子の重症熱傷』のPDFを読んだ方は、読後に気が向いたらご自分なりの任意の額を京都アニメーション様に寄付してくださると嬉しいな。(2019/8/25)

2019夏コミ新刊その2『ねじ子の重症熱傷』

二冊目の新刊 『ねじ子の重症熱傷』

A5/16p/コピー/500Yen

 

この本の収益は全額、この度の火災にて被害にあわれました京都アニメーション様に寄付いたします。

内容的には『令和医療手技図譜 重症熱傷編』または『人がやけどで死ぬワケを考えてみた』って感じです。チャリティです。コピー本です。

京アニの火災以来、私自身がどうしても心の中に抱えている犯人への憤り、失われたものの大きさとかけがえのなさ、圧倒的な理不尽に対して何もできない無力感を何とか昇華したいと思って作りました。

※収益全額に私個人からの募金をプラスして、京都アニメーション様の支援金預かり専用口座に直接寄付する予定です。(2019/8/10)

2019夏コミ お品書き

2019/8/11 東京ビッグサイト
西き-44a「ねじ子アマ」

★新刊は

  • 『平成医療主義図譜 針モノ編 改』A5/148p/1000円 紹介はこちら
  • 『ねじ子の重症熱傷』A5/16p/コピー/500円 紹介はこちら

※『ねじ子の重症熱傷』はコピー誌です。チャリティです。この本の収益は全額、この度の火災にて被害にあわれました京都アニメーション様に寄付いたします。

 

★色相環一周記念・全巻セット

  • 『平成医療手技図譜』全巻セット 12冊/10000円

これプラス新刊の『針モノ編 改』になります。計12冊セット

色相環一周を記念して、全巻セットを作りました。
『針モノ編』『管モノ編』『手術編』『救命救急編』『夜間外来編』『診察編』『神経編』『精神編』『心療内科編』『手術編 改』『針モノ編 改』の全12冊(+おまけ)のセットです。10000円で、バラで買うよりも安いです。救命救急編と手術編の在庫の関係で「限定3セット」の販売になります。これまでの『手技図譜』をまったく持っていない方はこの機会に是非どうぞ。

★その他の既刊

『平成医療手技図譜』

  • 針モノ編 800円
  • 管モノ編 1000円
  • 救命救急編 在庫なし
  • 夜間外来編 1000円
  • 手術編 在庫なし
  • 診察編 1000円
  • 神経編 1000円
  • ICU編 1000円
  • 精神編 1000円
  • 心療内科編 1000円
  • 手術編 改 1000円

 

  • 『救外戦隊ネラレンジャー』600円 
  • 『現着!QQQ ー病院に着く前にー』1000円 紹介はこちら

 

いずれも少部数ずつ持ち込んでいます。机の上にない場合はお声掛けください。

熱中症に気をつけて一日を乗り切りましょう。

※なお、商業誌『ヒミツ手技』『ぐっとくる』と同人誌『平成医療手技図譜』はこのような関係になっています。わかりにくい方はこちらを見てチェックしてください。

 

2019夏コミ新刊その1『平成医療主義図譜 針モノ編 改』

★ 2019夏コミ 新刊その1

『平成医療主義図譜 針モノ編 改』
A5 148ページ 1000円

13年前に作った『平成医療主義図譜 針モノ編』の改訂版になります。時代に合わせて変わったやり方や、『ねじ子のヒミツ手技1st』のために手を加えた部分を、同人誌にも加筆修正しています。

目次

・採血
・点滴(輸液ポンプ・シリンジポンプ・閉鎖式ライン 含む)
・注射
・動脈採血
・中心静脈カテーテル
・動脈ライン
・骨髄穿刺
・腰椎穿刺

今回新たに描き下ろしたのは「閉鎖式ライン」、そして一番大きく加筆修正したのが「中心静脈カテーテル」です。滅菌ガウンと大きい滅菌ドレープを掛けて行う「マキシマル・バリア・プリコーション」と、リアルタイムにエコー下で穿刺する技術「リアルタイムエコー下CV」を詳細に描き下ろしました。

 

 

50ページも増量した結果、計148pになっちゃいました。分厚い。

 

実は『平成医療手技図譜』の表紙の色は色相環に沿ったグラデーションになっております。

赤い表紙の『針モノ編』から始まり、だんだんに紫、青、緑、黄色と巻を重ね、平成の終わりにまた『針モノ編 改』を出すことで色相環を一周しました。やったね!最後まで誰も気付いてくれなかったけど!私は13年かけてまた始まりの赤に戻ってきました。血液の色であり、医者の色です。アイドルならセンター、戦隊なら主役です。

次は令和という時代が来るそうです。令和の時代でも東京ビッグサイトで皆様にお会いできることを願っています。

※そして今回はもう一冊、コピー本を今まさに作っています。また告知しに来ます。(2019/8/10)

また10年後に会おう

ハロー!プロジェクトには25歳定年説がある。どんなに人気があるメンバーでも、26歳を迎えることなくハロプロという組織から卒業させられてしまう。当時エルダークラブと呼ばれる古参メンバーが全員ハロプロから卒業した2009年3月31日より後は、ずっとそうである。一人の例外もない。高橋愛でさえ、道重さゆみでさえ、矢島舞美でさえ、嗣永桃子でさえ、和田彩花でさえ、26歳になる前に卒業した。具体的にどういう契約になっているのか私たちには知るよしもないし、明文化もされていないけれど、現実として一人の例外もなく26歳前に卒業しているのだから、25歳での定年は「ある」のだろう。「25歳定年説」を否定したいのならば誰か一人でも26歳以上のメンバーを残留させればいいだけである。証明は簡単だ。それをやらないのだから、25歳での定年は「ある」という仮説は今のところ「真」である。私は25歳定年制を支持しないし、否定もしない。ただ、もし25歳での定年が契約として盛り込まれているのならば、それをしっかり明言して世間の洗礼と評価をきちんと受けるべきだと思っている。「声変わりまたはギムナジウム卒業の14歳で退団する」と最初から明言されているウィーン少年合唱団のように。もちろん事務所の責任者の名前で公言するんだよ。他人に代弁させるんじゃないよ。児玉雨子という天才を捕まえて『25歳永遠説』などとというあきれるほど陳腐なタイトルの歌詞を注文するのはもう二度とやめてくれよ。

25歳定年説はハロプロのおたくたちにとって共通認識になっている。だから私たちは勝手にメンバーのことを「25歳まで応援できる」と思い込んでしまう。25歳になる前に辞めると「道半ばだ」だの「早すぎる」だの「もうあきらめるの」だの、見当違いな意見も出てきてしまう。「25歳で辞めるのはもったいない、もっといてほしい」と言われることも、「25歳まであとn年もあるのか!長いわ!」と言われることもある。もちろん、どれも私たちおたくの勝手な意見である。

工藤遙はモーニング娘。に残っていれば25歳まで、あと7年は安定した地位が保証されていた。武道館、またはそれ以上の大きい会場で年2回以上のライブができる。全国をホールツアーで回れる。充実した活動と安定した高給が保証されている。TVの歌番組にも出られる。工藤は人気メンバーだから、センターまたはそれに近い位置が将来的にも確約されている。娘。のリーダーにもハロプロのリーダーにもなれただろう。どれもこれも、なかなか得ることができないポジションである。他の人気グループに入ってもそれだけの地位に登り詰めることは難しい。それなのに、工藤はその約束された地位を惜しげもなく捨てた。他でもないスーパー戦隊のために。それは大いなる賭けであった。

工藤はデビュー当時からずっと戦隊ものが好きだと公言していた。それはもう、私が彼女を初めて認識したハロプロエッグの頃から。「いつか戦隊に出演したい」という夢が彼女にはずっとあったのだろう。わかる。わかるよ。私だって今でもプリキュアになりたいしポワトリンになりたいし戦隊ヒロインになりたいし仮面ライダーになりたいよ。

しかし、その夢は多くのハロヲタにとってまったく理解できない心情であった。当たり前だ、大多数の大人にとってスーパー戦隊シリーズは単なる子供番組の一つに過ぎない。それほど高い価値を感じない人だって多い。心の底では「くだらない、子供だましだ」と馬鹿にしてる可能性さえある。なんでそんな(くだらない)もののために、世界で一番価値がある(とファンは思っている)モーニング娘。を捨てるのか?オタクにとってモーニング娘。は女神の集まりであり、信仰の対象であり、この世のすべてなのだ。工藤はどうしてそれを惜しげもなく捨てるのか。どうして自分の大切なグループ、大切な推しメンを捨てて、外に出ていってしまうのか。工藤にはモーニング娘。のリーダーになって欲しかった。なのにどうして工藤はこんなに早くいなくなってしまうのか。ひどい、薄情だ、おまえの選択は間違っている、私達は捨てられた。または私の推しメンは捨てられた。……たとえ口には出さなくても、そんな薄暗い感情を心に秘めているハロヲタはそこそこいたと、私は思う。

私がスーパー戦隊をそこそこ見ているからこそ感じる不安もあった。戦隊ヒロインはどんなに頑張っても脇役であり、決してメインにはならないこと。必ずしも活躍の場が与えられるわけではないこと。一年間撮影を続けられない役者も出るほど、きつい現場であること。年度ごとの当たり外れが激しく、大人が一年間連続視聴を続けるには厳しい内容の作品もあること。他のテレビドラマより販売促進要素が強く、玩具会社の都合に振り回され続けること。ニチアサ卒業女優にはさまざまな岐路をたどった人がいて、決して幸福な前例ばかりではないこと。ヒーローとしての仕事と収入が永遠に続くわけではないのに、ヒーローとしての「模範的行動」だけは半永久的に強要されること。特撮ファンの中には女性アイドルが特撮に出演することに好意的でない人もいること。工藤はずっと戦隊ものを見ていたのだから、そんな要素もすべて知っていたに違いない。それでも、彼女は戦隊ヒロインになるために約束された安寧を捨てて勝負に出たのだ。

私はその決意を応援したかった。25歳まで保証された社会的地位を捨てて勝負に出た18歳の女の子の心意気を買いたかった。だって私も、娘。と東映特撮どちらも好きだから。両方を好きかつ適齢期の子どもがいる私が、この決意を応援しないでどうする。ルパンレンジャー出演決定のニュースを見た瞬間に「ルパンイエローを応援するのは私の使命だ」と思った。前年のタマ☆タマ☆キュー☆キュー☆は残念ながら家族の誰も視聴継続できていなかったこともあり、私一人が録画をチマチマ消費すると覚悟していた。おもちゃだって、子どもが遊ばなくても自分のために買うつもりだった。

結果としてルパパトはとても面白く、玩具にまつわる凄惨なテコ入れにも負けず無事にドラマは締まり、最高の結末を迎え、ギャラクシー賞という権威ある(らしい)賞も取った。私よりも夫と息子たちが日曜日を楽しみにするようになった。録画消費どころか、外出先で一秒でも早くオンエアを見るために東映特撮ファンクラブにも入った。DX玩具もデータカードダスもGロッソもファイナルライブツアーの名古屋遠征までも、家族全員が前のめりになって私に付き合ってくれた。私は正直とても楽だったし(子連れで行けるハロプロ現場は限られるのだ)、幸せなオタク活動をすることができた。それもこれも工藤が戦隊に人生を賭けてくれたおかげである。ありがとう。

奇跡のような一年は終わった。「ニチアサ卒業女優に幸福な仕事ばかりが続くわけではない」と先ほど書いたように、卒業後の道は決して平坦ではない。みんないろんな方向へ行く。引退も多い。不祥事もある。最近は売れっ子になる役者さんが増えたけど、一昔前はまことしやかに「特撮出身の役者は売れない」と語られていた。「殿」こと松坂桃李くんが売れてくれて本当によかった。私はシンケンジャーも大好きだった。10年前にきちんとシンケンジャーとお別れしたから、いまや立派なデュエリスト、じゃなかった立派な俳優になった松坂桃李くんを見ることができているのだ。とてもつらかったけれど、10年前にきちんとシンケンジャーとお別れしたから、ルパパトという素晴らしい作品に会うこともできた。ルパンイエローになった工藤に会うこともできたのだ。だから私もいま、ルパパトという作品ときちんとお別れしなくてはならない。

10年前コミケでシンケンジャーの薄い本を出し、全国津々浦々のファイナルライブツアーの客席を埋め、「日本オタク大賞ガールズサイド」でシンケンジャーを大賞に押し上げた当時の若い女性達は、10年後のいま母親になって特撮に帰還し、ルパパトを支えている。ソースは私の周囲。いまGロッソにいる若いお嬢さんたちも、きっと10年後に子供を引き連れて特撮に帰ってくる。特撮作品のストーリーに夢中になった過去があれば、ヒーローに夢中になる夫や子供を馬鹿にしたりしない。好意的に見てもらえるし、なにより財布の紐が緩む。おもちゃを買ってもらえる。そうやって回遊魚のように10年かけて巡る客によって東映特撮は支えられている。タイムレンジャーがあるからシンケンジャーがあり、シンケンジャーがあるからルパパトがあるのだ。

私のルパパト最後の現場は5月8日の『ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー』上映中イベント・ルパパトデー@109シネマズ木場 であった。ついに私は工藤のいない現場にまで行くほどルパパトという作品そのものが好きになった。本当のことを言うと、宇都宮プロデューサーをこの目で見たかったのだ。シンケンジャーとゴーカイジャーとルパパトという私の大好きな作品群を作ってくれた凄腕プロデューサーを、一目見たかった。サプライズで圭一郎の役者さんも来てくれて、なんだか得した気分。あとゴーバスターズ本人公演ぶりに見た陣さんがマジかっこよくて感嘆のため息を漏らしちゃった。マージマジかっこいいマージマジマジーロ。

会場は満席であった。同じ作品を好きになって同じ作品を買い支え、時にはチケットの争奪戦やグッズの通販競争をした皆さんを、私は戦友を見るような気持ちで眺めていた。工藤のいない会場を埋める、一年前にはみんなまったく違う場所にいて、なぜか今ここに集まって、この先はもう集まることがないだろうお客さん達を。

『10 years after』を実現するために、少なくともルパンイエローのことは私たちハロヲタが10年間支えていかなければならない。支えきれるのか正直私にはわからないが(ハロメンは自主性の強い子が多いので、私たちの手の届かない場所へ急に飛び立ってしまう瞬間が多々ある。あと糞事務所がわりと糞事務所)そうしないと他の役者さんとそのファンの皆さんに申し訳が立たない。男性俳優の皆さんのことは会場にいたたくさんのお姉さま方に任せる。Gロッソとファイナルライブツアーの客席を埋めていた皆さん――ぬいぐるみを小脇に抱えたお嬢さんと、鋭い眼光で舞台を見つめながらときどきメモをとる裁判の傍聴人のようなたたずまいの大人たち――お願いします。魁利くんと透真と圭一郎と咲也とノエルのことはまかせました。私たちはなんとか工藤を支えられるように頑張りますから、そちらはよろしくお願いいたします。みんなはどこから来たのかな?そしてどこへ行くのかな?何にしろ一年間どうもありがとう。楽しかったよ、元気でね。私はハロプロという名の閉鎖された村に帰るよ。10年後にまた、元気で会おう。(2019/6/30)

おたく活動日記 サンプラザとブロードウェイが私の魂のすみか

2019年初頭はルパパトの興業ばかり見ていた私の久しぶりのハロプロ現場は、2019年5月6日中野サンプラザJuice=Juice通常公演であった。10日間という長いゴールデンウィークの最終日だ。私はハロプロという大きな潮流の戻り鰹であり、またこの地に帰ってきた。

このツアーのラストに武道館で宮崎ゆかにゃ卒業公演が行われることもあり、新しい(と思われる)ファンは少なかった。会場は「歴戦の戦士」感が強い中年男性ばかりであった。ライトユーザーはおそらくみな、この後の武道館へ行くのだろう。

中野サンプラザの赤い絨毯が敷かれた2階ロビーはいつも我々を包み込んでくれる。変わらぬたたずまい。いつもの安心感。談笑するおたくの皆さん。男子トイレの長蛇の列とガラガラの女子トイレ。そう!そう、そう!この感じ!(突然のリュウソウケン)この感じだよ!!私が最もハロプロを愛していた13年前のハロプロと同じお客さんが、そこにはいた。私は時空が戻って歪んだようなめまいと、少しの安心感を覚えた。

そして公演を見終えた私は思った。「金澤朋子座長公演だ」と。少し目を離した隙に朋子のパフォーマンスが向上してた。センターポジションで歌う場面も多く、どっしりとした安定感があった。もちろんJuice=Juiceのセンターはかりんであり、卒業公演はゆかにゃが主役になるに決まってるんだけど、今日はなんだかひときわ「金澤朋子座長公演」に見えた。座長の風格だ。かなともにそんなものを感じたのは初めてだった。

彼女は病を抱えながら、歯列を整え、さらに歌が伸びた。目を見張った。だってかなともは初登場時から非常に歌がうまく、3年ほど前にはすでに歌が最高に上手い、いわば「安定した」状態だった。素人の私にはもうこれ以上の上がり目は想像できなかった。正直「もう伸び止まっている」と思っていた。彼女を見て感じる感情は「成長」ではなく「安定」だと。それでいいのだと。ところが彼女はさらに歌が上手くなっていた。凄みが出た。こんなに成長するとは思っていなかった。朋子は現在サブリーダーであり、おそらく次期リーダーになる(このときはまだ発表されてない)。立場が人を育てるということだろうか。

まぁ私は結局かなともが大好きだから、コンサート中もずっと彼女を見てしまう。『イジ抱き』サビ明けの「たんたんたん、カッ!」の部分で、毎回かなともが画面に抜かれるじゃないですか、三回が三回とも。スイッチャーさんもわかってるからね。三回が三回とも最高の顔してるんだよね。かなともの色気にあてられて、私、会場出てからずっと顔が赤かったもの。なんだか体がぽかぽかしてた。いやこれは会場がひどく暑かったのに水を忘れてしまったからか?熱中症かな?帰り道は「かなとも最高だわ!朋子が『私はローズクオーツ』って歌ってくれる限り私はあなたを見に行く!」と呟きながら、意味もなく一人で自宅までの長距離を歩いてしまった。街路樹のツツジは満開であった。

Juice=Juiceちゃんたち、いますごく良い。全員が自分の長所を出せている。弱点がない。2019年5月に私は確かにそう感じた。全員がいい、全員が好き。アイドルユニットがそういう状態になる瞬間って実はとても珍しいんだよ。今どきのアイドルはすぐに加入と卒業を繰り返して変化しちゃうから。この感覚は娘。14以来である。

何が良くて何が自分の心に響くのか、画面越しではわからない。現場に足を運んで自分の目で確かめないといけない。インターネットのみんなが信じている事象が正しいとは限らない。自分にとって大切なものは、その目で確かめに行かないといけない。実際に診察していない患者さんについてコメントをすると、判断を誤るのと同じだ。とにかく自分の目で直接見ずに、物事を語ってはいけない。「誰もみんな 信じている『真実』それだけが正しいとは限らないのさ その目で確かめろ!」って桜井侑斗も言っていたしね。あ、ねじ子の一番好きな仮面ライダーは仮面ライダーゾルダと仮面ライダーゼロノスです。シリーズとして一番好きなのは仮面ライダー龍騎と仮面ライダーオーズです。

話がそれた。この日、私のすごい近くの席にとても美しい女性客が座っていた。関係者でもおかしくない席だったのでねじ子は彼女の顔をちらりと見た。関係者席にはハロプロメンバーやその家族が来ていることが多いからだ。おたくである私には「ハロメンまたはその家族ではない」ということだけはしっかりわかったので(なんでわかるんだよ)「いやー、最近の女ヲタさんはおしゃれな人が多いな!」とのんきに思っていた。帰宅後、実は有名な俳優さんであったことをネットニュースを見て知った。

“美しすぎるハロヲタ”新木優子、ハロプロ尽くしのGWを満喫! 3グループのライブ参戦で大興奮「もうたまらないんです!」

よく読んだらどんなハロメンよりもよほど有名な方のようだ。うーん、ハロプロドラマか特撮かテニスの王子様のミュージカルに出てくれないと、ねじ子には役者がわからぬ。

そしていったん認識すると、彼女の出ているCMやポスターやプロモーションがちまたにあふれていることに気が付く。私がCMを見ながら「わたしこの方のすげー近くで一緒にコンサート見た、まったく気付かなかったけど」とふと呟いたら、長男は笑いながら「魁利くんが49話で言ってたことは本当だったんだね!堂々としていれば『案外ばれないもんだって』」と言っていた。この世のすべてを特撮から学ぶ正しい姿である。

ハロプロの観客は結局ステージしか見ていないのだ。ステージに女神が続々降臨しているというのに、客席を見ている場合ではない。彼女は「ごくありふれた」ハロプロの女オタクとして現場にたたずんでいた。まわりの客も誰一人騒いでなかったし、誰も気に留めていなかった。私のように全く気がつかない鈍感な人ばかりでもないだろうに。ハロプロの歴戦のおたくたちは優しく礼儀正しい紳士淑女ばかりだと感じる瞬間であった。実は1月のサンシャイン池袋噴水広場での『微炭酸』リリイベの際も、見知らぬジューサーの紳士にふいに親切にしていただいて、私は平和と幸福を感じていたのだ。まさに「道行く人が親切だった うれしい出来事が増えました」である。歴戦のJuice=Juice familyはいい人達ばかりだと私は思っている。

『ひとそれ』以降、J=Jにもいよいよ女性新規客が増えてきた。それもまた今後が楽しみだ。わくわく。朋子リーダー、さゆきサブリーダー就任おめでとう。(2019/6/12)