2025夏コミ新刊『令和医療手技図譜 管モノ編 改』 をメロンブックス通販で購入できるようになりました!
医療現場の経験をもとにまとめた実践的な1冊です。当日来られなかった方もぜひご覧ください。よろしくお願いします!
メロンブックス「ねじ子アマ」のページはこちら ↓
https://www.melonbooks.co.jp/circle/index.php?circle_id=124582
表紙:
サンプル:
『令和医療主義図譜 新型コロナウィルス編』 も若干数ですが再入荷しております。 あわせてどうぞ!
『マンガでわかる微分積分』が大幅アップデートして新装版になりました!
『マンガでわかる統計学』 に引き続き、サイズが大きくなっています。新書判から四六判になりました。読者の皆さまのご愛顧と、出版社であるソフトバンク・クリエイティブさまのおかげです。本当にありがとうございます。
文章も作画も見直して、今の読者に合わせた内容になっています。ねじ子は漫画とイラスト部分の担当です。どちらもオールカラーです。
↑時代に合わせた対応の一部をお見せします。エクスパックをちまちまとレターパックライトにしたり、カラオケの曲名や芸能人の名前を変えたり……。いろいろです。
2025/10/2発売です。ぜひご一読ください。よろしくお願いします!
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『マンガでわかる微分積分 ストーリーだから最後まで読める』Amazon
楽天ブックス
▼電子書籍版もあります▼ebooks
(2025/10/10)
1位 click / ME:I
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コール&レスポンスが気持ちいい名曲。最初のワンフレーズにこの曲の魅力が詰まっている。
センターで桃奈が振り向いて「おっおー♪」 オタク「おっおー!」 桃奈「君の声がする♪」(にっこり笑顔)
単純明快なコール&レスポンスだ。フェスなど、一見のお客さんでも声を出せる。歌詞も素晴らしい。ステージの上のアイドルと客席の自分がはっきりとつながる内容 なのだ。非常に気持ちがいい最高の「入り」だ。ハロプロというコール&アンドレスポンスの巨大キングダムからやって来た海賊・桃奈が、堂々とした笑顔で観客を迎え入れるところもよい。ここの桃奈、観客に「君の声めっちゃ聞こえるよ!よくできたね!」って顔してるんだよね。すごくいい笑顔してるの。日プ女子全体を貫いていたステージ哲学である「最初の5秒で観客を掴む」 が体現されているところもよい。
このあとに続く 心菜の「のっくのーっく♪」 オタク「のっくのっく!」 心菜「未知のドア開けて♪」(ドアを両手で開ける動きを真顔でやる)
もいい。最初の「おっおー」で入りそびれた初見の客も、すぐに学習してここで一緒に叫ぶことができる。一年前は伊勢の田んぼのあぜ道を歩いていた心菜が、現在進行形で未知のドアをひとつひとつ開けているんだろうな、という心象風景がこちらにも伝わってくる。コール&レスポンスの大ベテラン桃奈からド新人の心菜へ受け継がれるところもいい対比だ。
他にも「まむまみあーい」はとても叫びやすいコールだし、自然発生した「ミャイミャイ」も叫びやすい。私はハロプロ育ちなので、自然発生して生き残ったコールこそ「いいもの」だと思っている。だってそれは観客の魂の叫びだから。「ミャイミャイ」は公式のコールではないのかもしれないけれど、私は好きだ。大好きだ。それに対して、順番にメンバーの名前を叫ぶ間奏のコールは(空白のリズムを埋めるものではなく)観客がメインボーカルをやらされることになるので、あまり気持ちよさがない。勉強しなくちゃいけないし、義務感が強くなってしまう。まあ勉強してコールするんだけれども。
オタクのコールの話、ここまで。
さて、私がこの曲を初めて聴いたのはドコモGALAXYのCMであった。CMではサビのみが繰り返されており、当初は「耳なじみよく聴きやすい。くり返しBGMとして流れるのに特化しており強いインパクトを残す意図はない」という印象を受けた。
その後ハロヲタの間で話題になっていたYoutube動画を見て、私は衝撃を受けた。
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これは美しい。まずシンプルに画質が高い。普通に4Kだ。セットもCGも豪華で手間がかかっており、映像作品として楽しい。めっちゃ金がかかってる。加工なのかフィルターなのかメイク技術が高いのか——あるいはその全てなのか——とにかく全員がとびきり美しくうつっている。字幕も違う。パートを歌っている子の名前と歌詞が、右下端に同時に出る。これもすごくいい。「いま歌ってたの誰!?」「いま映った可愛い子誰?」という疑問にすぐに答えてくれる。非常にわかりやすい。カメラアングルも多彩で、さらにその一つ一つがYoutubeにあがる。これが無料で、いつでも、世界中どこからでも見られるのだ。
サービスがいい。よすぎる。なんだこれ。
世のドルオタが「韓国の音楽番組は日本とぜんぜん違う。比較にならないほどレベルが高い」と言っていた理由を、私はこのとき初めて理解した。今の若い女子アイドルが韓国音楽番組に出演するのを夢見る理由もわかった。この映像がYoutubeに上がって、世界中の人が瞬時に、無料で、くり返し見ることができるのだ。しかも消えることがない。半永久的に、くり返し何度も見られる「作品」が残るのだ。これはアイドル本人にとっても嬉しいだろう。
日本のテレビ音楽番組はこれに比べてどうだろうか。画質は低く、カメラワークも決してよくない。一番最悪なのはフルじゃないことだ。奇妙な省略を食らって、フルで歌わせてもらえない。一番とサビだけだったりするんだよね、何なんだあれ。トークや過去VTR上映会してる時間を削って全員フルで歌えばいいのに!と何度も思う。でも決してそうはならない。字幕で歌詞が出ていても、パート割りはわからない。照明が暗く、セットも何もない。もちろんネットには上がらない。上がってもTverのみの期間限定だったりする。もちろんここに貼れるような合法動画もない。再放送もない。見逃したらおしまい。そのくせ2時間の番組中で推しの歌の時間はたった2分程度なのだ。馬鹿馬鹿しい、付き合ってられないよ。ああ、日本と韓国で音楽番組のクオリティにこんなに差が付いてしまっていたのか……。
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韓国音楽番組最大の売りは、一人一人をずっと専用カメラで追う「ソロアングル」である。これを「チッケム」と呼ぶ。全員分のチッケムがYoutubeにあがる。これは嬉しい。推しメンのチッケムはずっと見ていられる。
これは先にハロプロがやっていたことだ。ハロプロのソロアングルは2006年にはすでに存在していた。「鞘師里保ソロアングルDVD」というような名前で、各メンバーのソロアングルがファンクラブ限定でDVD発売されていた。私も鞘師や香音ちゃんのソロアングルが好きで、よく見ていた。それらは海外のファンに非常に人気が高く、動画サイトにも(無断で)よくあがり好評を博していた。
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※参照商品
FC限定 Berryz工房 夏焼雅 ソロアングル ハロプロ 大運動会&ライヴ 2006 スポーツフェスティバル (amazon)
9枚組ソロDVD BOX「モーニング娘。コンサートツアー2007秋 ボン キュッ! ボン キュッ! BOMB」SOLO BOX(ヤフオク)
ソロDVD BOX モーニング娘。コンサートツアー2008秋 リゾナント LIVE (メルカリ)
鞘師里保 on ソロアングルDVD モーニング娘。 2011 春 新創世記 ファンタジーDX~9期メンを迎えて~ (ヤフオク)
日本のファンはコンサート現場に行けば推しだけを見ていられる。目でソロアングルできる。でも、現場に行けないファンはどうしたらいいのか。メインカメラはパートを歌っているメンバーのみを抜く。すると事務所に推されていない、歌割のないメンバーのファンは推しの姿を見ることさえできないのだ。そんなメンバーのファンにとってソロアングルDVDは光明であり、命綱だった。推しの可愛い顔とパフォーマンスがずっと見られる、まさに夢のような時間を得られるのである。特に海外のハロオタにソロアングルは大好評だった。
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↑海外ファンのコメントが多かった鈴木香音ちゃんのソロアングル『彼と一緒にお店がしたい!』。私も500回くらい見た。
チッケムってさ、ソロアングルDVDなんだよ……。ハロプロが先にやって、すでに先細ってしまったやつなんだ……。ハロプロっていつもそう!普段着でのダンス練習映像を公開するのもそう!今はダンスプラクティテス動画って呼ばれてるけど、モー娘。がASAYAN時代から見せてるやつ!戦隊みたいな色分け女子アイドルもそう!私カワイイアイドルもそう!全部ハロプロがかなり先にちょろっとやって、貫かなかったアイディアなんだ……。
話を元に戻そう。韓国音楽番組の映像のクオリティの高さに驚いて、私は『click』を聴き始めた。日本の地上波音楽番組にME:Iが次々と出るのも見た。その中で生歌論争が行われているのを確認した私は、ようやくME:Iに興味を持ち、始まりのオーディションである日プ女子を視聴し始めた。この後の流れはこちら に続く。
オーディションを見終わった後で、clickのMVを改めて見た。
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なんだこれ。 よくわからない謎の映像だ。
日プ女子からのファンがデビュー曲に文句を言っている理由が、ここでようやくわかった。なるほど確かにこのMVは謎に満ちている。意図がわからない映像が随所に差し込まれているし、不思議な衣装が多い。
私なりにMVを読み解いてみた。まず、オーディション中の公約として、オーディション一位がデビュー曲のセンターになることは決まっている。MVの制作は韓国だ。韓国の制作陣がオーディション1位通過の笠原桃奈をフューチャーするにあたり、どんなイメージが浮かんだか。それは「笠」であり「桃」であり「武士のような女の子」であったと推測する。だから「笠=傘」で「桃色=ピンク」の傘を、剣客のように振り回すことになった。そう私はとらえた。グループのイメージカラーにも合う。ピンクの傘を忍者の刀のように背負った制服姿の桃奈が、剣に見立てて傘を振り回し、仲間を雨粒から守る。これが制作陣の一番伝えたいイメージだったのではないだろうか。
次にダンスブレイクを目立たせたい。あと謎の猫も目立たせたい。あ、あと未来のアイドルって設定もあったわ!それも入れよ!じゃあ未来っぽい宇宙空間やコールドスリープで!よっしゃオーダー全部入れたるわ!……とした結果、一気につめこみすぎた のではないだろうか。そんな印象を受けた。混ぜすぎ。
そして私のこの超考察をもってしても、ピンクデカリボンとピンク毛玉猫耳車の意味はまったくわからない。なんだあれ。何を伝えたいのか?意図がわからないのでコメントのしようがない。わかったら誰か教えてください。
『click』の謎のおっさんが変身した猫ことミャイがメンバーよりも分量を取った結果ファンの怒りを買い、次のシングルのオープニングで森に捨てられたのにはちょっと笑ってしまった。気持ちわかる。でもさーメンバーが拾っちゃうからさー。もー、捨て猫を安易に拾っちゃダメって言ってるでしょ!異世界に飛ばされてるじゃん!奇妙な祭りに参加させられてるじゃん!トリップさせられてない?変な夢を見させられてハイになって踊らされてない?大丈夫?
2nd single “Hi Five“
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2位 はいよろこんで / こっちのけんと
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2014年の日本において最も全世代に聴かれた一曲だと思う。子どもたちもこの曲大好き。けんとさんのことも大好き。もちろん彼らは『仮面ライダーW』も大好きでフィリップも大好きだったので、けんとさんがフィリップの弟さんだと知って驚いていた。もちろんそんなことは一切関係なく『はいよろこんで』は名曲である。MVのイラストもいい(かねひさ和哉さん作)。
「鳴らせ君の3から6マス」の「3から6マス」は心電図の正常範囲の値であるというけんとさんのコメントを聞いて驚いた。たしかにそうだ。あまり認識したことはなかったが、RR間隔が「大きいマスで」3から6が正常範囲である。それ以下だと頻脈、それ以上だと徐脈。リズム自体が狂っていたら不整脈である。なるほど。その後に続く「トントンツートントントンツーツー」はモールス信号のSOSである。
つまりこの曲は、「はいよろこんで あなた方のために」を強くしいられて過剰サービスさせられている社会人が、自分の心拍がおかしくなる前に他人に助けを求めろ、という啓蒙の歌なのである。心と体が壊れる前にSOSを鳴らせ! という強いメッセージだ。「ブラック企業やブラック要求からは全力で逃げろ!」と魂で叫んでいると言ってもいい。精神疾患を自ら公表しているけんとさんが歌うからこそ、この曲の説得力は増す。歌詞に強い社会性がある。
……十数年前、私や息子がフィリップの出世にキャッキャと喜んでいる間に、けんとさんは有名人の弟として人知れず苦しんでいたのかもしれない。それに気付いて私は胸が痛い。
ハロプロのアイドルも、自分がデビューしたことによって(自分ではなく)親や兄弟の人生が180度変わってしまったことに苦悩する子が多かった。自分は夢を追って覚悟を持って「人に見られる」仕事を選んだ。だから理不尽にも納得できる。でも、家族はそうではない。それなのに現実では、家族も一緒に喧騒に巻き込まれてしまう。 芸能事務所に守られるわけでもなければ、将来や収入が約束されているわけでもないのに。なんのメリットもないのに有名税だけはたっぷりと支払わされてしまうのだ。なんたる理不尽だろう。
それでも、それでも両親は大人だからまだいい。小さい弟や妹の人生が自分のせいで変わってしまったこと、苦労をかけてしまったことに苦しむハロメンはたくさんいた。若いうちの急なスポットライト にはそのような弊害がつきまとう。ハロプロ以外の事務所が低年齢大所帯アイドルから手を引いている理由は、そんなところにもあるのかもしれない。まぁハロプロは相変わらず女子小学生大量捕獲 なんですけどねガハハ。
これからのけんとさんの道が光あふれる幸福で満ちていることを願っている。
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さて突然だが、けんとさんは12人目のME:I である。ヒットの時期がかぶっていたこともあり、音楽番組共演やtiktokダンスコラボも多かった。どちらも新参者でジャンルがかぶっていないこともあり、アウェイな環境で共演するたびにお互いの心を支え合っていることが伝わってきた。それはまるでテレビという生き馬の目を抜く戦場における唯一の戦友のようであった。何より、けんとさんは優しい。本当に優しい。既婚者だからガチ恋オタクも安心だ。緑のメンバーカラーも空いている。めがねをかけた緑色のミャイのイラストを描いてるミーアイおたくもたくさんいる。我々ユーミーはけんとさんのことを12人目のME:Iとして歓迎している。いつか曲を書いて欲しい。可愛いけど少しだけ社会的な歌詞でよろしく。
3位 FUN☆FUN☆わんだふるDAYS! / わんだふるぷりきゅあ!エンディング
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『わんだふるぷりきゅあ!』は素晴らしかった。飼い犬が突然変身して主役プリキュアになる第1話には度肝を抜かれた。「お前が主役なのかい!」とリアルに叫んだ。そして、この設定は意外にもよかった。
一般的に犬の知能は人間の2~3歳程度だときく。ちょうど子どもがプリキュアデビューする年齢である。主人公はいつも初めての体験に無邪気に喜び、中学生女子はあまりやらない行為をして、周囲を振り回す。これがとても愛らしく感じる。
周囲を振り回す猪突猛進型の主人公はヒーローものの脚本でよく使われる。物語がよく回るからだ。しかし、主人公が馬鹿すぎたり考えなしで動きすぎると、それはそれでつらい。見ていていらいらしてしまう。「主人公が犬」はこの問題をよく解消してくれた。犬だから飼い主が大好きなのも当然だし、日常生活で知らないことが多いのも当たり前だし、世の中のことがよくわからずに突っ走ってしまうのもうなずける。自然に思える。ヘイトが湧かない。いわゆる「馬鹿レッド」 と言われる型の英雄譚において、主人公にヘイトをためない 効果的なやり方なのだ。これは『パウ・パトロール』の世界的大成功によって発見された手法であり、プリキュアでもとても上手くいったと思う。
もう一組のプリキュアペアは、猫と飼い主である。すました美少女の白猫と、耳年増の同級生少女。この組み合わせもとてもよかった。おもちゃの売上的に追加戦士がいないことが心配だったけど、売上もよかったようだ。ストーリーの面白さと売り上げが比例していると安心する。
さらにもう一組の追加ペアは、ペットのウサギと男子である。ウサギと男子は番外戦士枠で、映画でしか変身しなかったけれど、それでも嬉しかった。ヒロプリ(ヒーローになることがテーマ)とわんぷり(動物と人間の絆がテーマ)は男女ともに人気があるモチーフだったので、男子が家にいる親としてはありがたかった。親子で楽しく観ることができたから。
ちなみにこの男子と準主役の女の子が物語中で早々にカップル になった。これもよかった。女児向けの少女漫画の恋愛描写は「付き合うこと」がゴールに設定されているけれど、実際の人生はその後の方がずっと長い。付き合うのってただの始まりだからねー。本当はその後の方がずっと重要なのに、そこはなかなか描写されない。カップル成立したら終わり!いっちょあがり!解散!ではなく、付き合った「その後」の生活をきちんと描写してくれたことが新鮮で嬉しかったです。
あっそうそう、ペットとの死別とそこからの再生 を描いた点もよかった。
4位 It’s Going Down Now / 高橋あず美・Lotus Juice
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『ペルソナ 3 リロード』の先制戦闘曲。アトラスサウンドチーム作。ボーカルは高橋あず美さん、ラップはLotus Juiceさん。ライブverはこちら。
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「あれ?後ろに見慣れたロゴマークがあるな」と思って目を凝らして見たらコットンクラブって書いてあった。親の顔より見たロゴじゃん 。ハロプロ運営ジャズライブハウス・コットンクラブ。正確にはハロプロ関連会社の株式会社コットンクラブジャパン運営ライブハウス。初めて訪れた土地のはずなんだが?なんで実家に到着してんの?
コットンクラブは生演奏と生歌に特化した会場である。音響も最高だ。立地がよく飯もうまい。スタッフの経験値も高い。それは保証する。でもまじかよ!海外のオタクにめっちゃ喜ばれてるじゃん!
私は『ペルソナ 5』からペルソナシリーズに入った新参者である。名作の誉れ高い『ペルソナ 3』にはリメイク版の『ペルソナ3 リロード』で初めてふれた。物語よし!曲よし!歌よし!キャラよし!UIよし!ゲームデザイン最高によし!全体的にめっちゃおしゃれ! という七拍子 がそろったRPG作品としての骨格は、『ペルソナ 3』にしてすでに完成している。そりゃ人気出るわ。アトラスにどんなにあこぎな完全版商法をされても、新作や続編が出るたびに食いついてしまうのもよくわかる。
この曲は海外のストリーミングサービスで異例の再生回数を誇る。「謎 今年、誰も知らない日本発の超ヒット曲」 という記事もあって笑ってしまった。誰も知らない、はないよ。正確に言うと『ペルソナ3』しかも『リロード』をプレイした人だけが」知っている名曲である。非常に限られているが、確かに存在している。我々は世界中に少しずつ存在している……。
私もゲーム音楽の一つとしてペルソナシリーズのBGMを愛聴している。ゲーム戦闘曲は作業用BGMに向いてるので、ゼルダやポケモンの戦闘曲とともに何度もBGM再生している。でもそれを「表で」「声に出して」宣言するかというと、確かに言わない。口には出さないけど、確実に複数回聴いている。 そんな人が独立してばらばらにいる。数字で言うと10000人に一人かもしれない。でもその一人は確実に世界中に散らばっていて、50億人で集計すれば50万人になる。そしてその50万人はこの曲を何度も何度も繰り返し再生し、ひとりひとりの生活の個人的戦闘の背景を美しく彩っている。
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ちなみに『ペルソナ 3』なら通常戦闘曲のこの曲も大好き。やんややんややんややんややんやんやーん。ネットで今調べたら「ベイベベイベ」と呼ばれていた。非常にインパクトあるイントロからすぐに続くラップも最高。この曲から始まるバトルが楽しい。JRPGにおいてボーカル入りの戦闘曲は当時非常に珍しかったと聞く。金字塔的な曲だ。
そして『ペルソナ 3 リロード』をプレイして、海外のおたくが日本の学園生活に過剰に憧れている 理由も少しわかった。かけがえのない生活をスタイリッシュに送っているように見えるのだ。一分一秒が充実して輝いているように見える!時事問題につながったトラブルに見舞われる友人に出会い、その悩みを解決していく!その展開もワクワクする!実際の東京の高校生活はこんなにスタイリッシュじゃないし、理不尽で胸糞が悪いイベントの方が多いのだけど、そういう部分は悪役側に配置される。そしてすっきり退治される。これは爽快だ。
ちなみに一番口ずさんでいるのはこの曲。貴方のテレビに時価ネットたなか~買うのは今しかない!イェイ!
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5位 かわいいだけじゃだめですか? / CUTIE STREET
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ぱるたんこと桜庭遥花ちゃんは日プ女子の参加者のなかでハロヲタが最も好きなタイプの女の子 だった。
第一に、ハロプロの聖地・北海道出身なこと。第二に、オーディションに参加できると決まったときに、いさぎよく高校をやめちゃったこと。こういう覚悟と思い切りの良さは古参ドルオタが一番好きなやつだ。第三に、可愛くて特徴的な声。第四に、スキルがないと言われてFランクにされても、くり返し練習し努力できる根性。第五に、しもぶくれ気味で可愛い輪郭の顔(安倍なつみや福田明日香や初期道重さゆみの系譜)。すべてハロヲタ好みのど真ん中である。
彼女がオーディションを落ちた後、あっというまにカワラボに拾われていったのは時代を象徴するエピソードであった。私はマジでハロプロに来て欲しかったんだけど、まったく、当然のように、かすりもしなかった。
ハロプロは日プ女子落ちをまったく拾わなかった。2024年のハロプロ界隈で私がもっとも驚いたのは「日プ女子落選者に声をかけなかった」 ことである。あれだけのハロヲタが日プ女子を見て、さまざまな女の子に興味を持ったというのに。事務所関係者だってオーディションを見ていただろうに。日プ参加者の女の子だって、それまで聞いたこともなかったハロプロという組織を(かっさーのおかげで)知ることになっただろうに。どうして?なんで声をかけなかったの?AKB大躍進の裏でローカルアイドルの有望株(りかこ、もりとち、くるみん、かわむーなど)をスカウトしまくっていた2014年頃の意欲的な経営陣はもういないのだろうか?まぁ実際は声をかけた全員にお断りされたのかもしれないけどさ。
さて、そんなぱるたんが加入したCUTIE STREETのデビュー曲。2024年Tiktokで流行してるいわゆる「かわいい」楽曲である。
これは見たことある。目新しくない。『かわいくてごめん』で女性声優界隈が頻繁にやってたやつだ。超ときめき♡宣伝部がやってたやつでもあり、FRUITS ZIPPERがやったやつでもあり、もちろんハロプロも昔やってたやつ。初めてタイトルを聴いたとき私が真っ先に思ったのは「カントリーガールズのキャッチコピーは『かわいいだけでなんとかなる、か?』だったな」であった。重ピンクとこはっピンクがやってた世界であり、カントリーガールズがやっていた世界である。もちろんいちばん酷似しているのは超ときめき♡宣伝部やFRUITS ZIPPERだ。
この曲がそれらと違う部分があるとすればそれは「小野小町」 だと私は思う。歴史を入れている。教養要素がひとさじだけ入ってるのだ。岡田斗司夫が言う「メガ・ヒットに必要な四大要素」は、 ①性的・体感的な快感、②勝負、③知性、④社会性 だ。このうち③知性 がはっきりわかるから、この曲はSNSを飛び出して一般層への広がりを持つことができた。カラオケでも歌いやすく、メロディも覚えやすい。
ちなみにヤマモトショウさんなら「おかあさんといっしょ」の『ももいろほっぺ』が一番好き。歌のお姉さん、体操のお姉さんと、マスコットキャラクターみももの三人が桃色の部屋で桃色の衣装で歌う。
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カワラボことKAWAII LAB. は、ハロヲタだった元むすびズムの木村ミサさんがプロデュースしている。振り付けはぱすぽ☆だった槙田紗子さんで、こちらもハロプロ好きだった。ちなみにイコラブも指原さん、つまりハロヲタの女性がやっている。いにしえのハロヲタばかりだ。
私もいにしえ、かつ(今のところ)現役のハロヲタなので、「みんな有能だなぁ」と思うとともに「ハロプロで仕事していてくれれば……」 と思うこともある。でも、それは叶わぬ願いだということもわかっている。野心的でアイディアのある若い指導者をハロプロは雇用しない。そして、野心的でアイディアのある若い人間はハロプロの中に入らない。つんくさんですら「手柄取り上げないで」と歌っている組織に、若い有能な人材はなかなか入ってはこないのだろう。
うーん、でもなぁ。宝塚だって宝塚が好きな人を技術者として入れているからこそ、クオリティをキープできているのでしょう?若い血とアイディアを入れなければ組織は枯れてしまう。ハロプロの上層部は現状のまま、いったいどこまでいくつもりなんだろう?
カワラボもイコラブも、ハロプロとよく似たシステムを取り入れて新しい女性アイドル組織を作り大躍進している。この二つは「口パク」ではない。生歌主義で日本のテレビ番組に出るし、ライブもする日本の女性アイドル集団だ。これはいよいよハロプロとかぶっている。客を食い合う組織 が続々と生まれていることをひしひしと感じる一年であった。
6位 Bling-Bang-Bang-Born / Creepy Nuts
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アニメ「マッシュル-MASHLE-」オープニング主題歌。アニメのオープニング映像のダンスのキャッチーさも相まって、小学生にも大ヒットした。子どもも歌える一曲だ。
「欧米のヒットチャートはヒップホップが強いけれど、日本においてラップで大衆的なヒットを飛ばすのは難しい」とよく音楽識者が言っていた。私も同じように思っていた。でも、この曲は2024年のナンバーワンヒット曲になった。
この曲の勢いに乗ってCreepy Nutsは東京ドームを埋めた。それもすばらしい。ゴッドタンに出まくっていたDJ松永さんが本気で音楽に取り組むと決め、バラエティをお休みし、 宣言通りヒットを飛ばしたことも素晴らしい。二人ともテクニックが強いよね。まじ強い。R指定さんラップうめぇ。カラオケで歌ってみるとこの曲のラップの難しさにびっくりする。口が全然回らないのよ。
個人的なことだが、私自身はラップにうとい。メロディが少ない音楽を愛することができず、ラップのみの楽曲をくり返し聴く習慣をもつことはできなかった。その上、私のようなアンテナの低い人間まで流れてくる日本音楽業界のラップのリリックは「上流階級の不良ごっこ」になってしまっていたので、私にはどうにも共感できなかった。「そんなこと言っても君たち、私よりずっと金持ちの家に生まれて社会的地位も保障されてるじゃん。それホットカーペットの上の憂鬱でしょ」と思ってしまっていたのだ。かと言って本当に犯罪自慢や俺モテる自慢をされても、それはそれで困る。共感はむずかしい。
ヒップホップは自身と社会との乖離や怒りを歌詞に載せるものだから、私が共感できなくても他に共感できる人がいればそれでいい。例えばちゃんみなさんやAvichiさんのリリックは私自身とシンクロする部分も多く、たやすく肌を合わせることができる。つまりは共感しやすい。
クリピは30代男性の等身大の、まったく上流階級ではないおのれ自身を歌っている。それが好きだ。悪いこと自慢じゃないところも好きだ。私(40代女性子持ち)と境遇が全然違ってもシンクロできる。「そうだね」「わかる」「なるほど」と思える。理解も共感もできる。そこが素晴らしいと思っている。
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(2025/10/10)
夏コミお疲れさまでした!
今回は(今回も?)灼熱でしたね……。来てくださった皆さまは真の勇者です。 どうぞ冷たい飲み物と休息をとって、HP回復してくださいね。
会場でのお約束どおり、 尿道カテーテルの「コミケ修正がないver.」を期間限定でアップロードしています。健全な範囲でご利用ください!!
『令和医療手技図譜 尿道カテーテルの章 無修正版』
urinary _catheter20250817_compressed1.pdf
(2025/8/18)
2025/8/17 コミケのお品書きです。よろしくお願いします。
暑さに負けず安全第一で過ごしましょう。
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💊 新刊できました 💊
サークル「ねじ子アマ」
コミックマーケット106(2日目) 東5 ヌ-51a
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\やさしく読める!医療手技があたらしく/ イラスト満載♪ 病院でやってることがなんとなく理解できる知識をお届けします。
【新刊】 『令和医療主義図譜 管モノ編 改』
A5/84P/オフセット/¥1000
- 気道確保・気管内挿管 - 胃管・胃洗浄・経管栄養 - 尿道カテーテル - 浣腸
2007年の既刊『平成医療手技図譜 管モノ編』を大幅改訂しました。
大きな変化は2つあります。
(1) 潤滑剤にキシロカインゼリーを使うのはやめて、他のものでヌルヌルさせるようになったこと
(2) 尿道カテーテルを清潔手袋で持つようになったこと
この2つに沿った内容変更をたくさんしました。尿道カテーテルはほぼ全ページが新しくなっています。
追記もあります!
・気管内挿管の章に「チューブホルダー」「ビデオ喉頭鏡(エアウェイスコープ)」「ラリンジアルチューブ」 の説明を追加しました
・胃管の章に「経管栄養」 を追加しました
・浣腸の章に「摘便」 を追加しました
今回ご紹介するのはどれも、もとから人体に穴があいているところに管を入れる手技です。最初から穴が開いているんだから、管入れるくらい簡単でしょ!なーんてと思うかもしれませんが、そうもいきません。なぜか全然入らなかったり、違う場所に入っちゃったり、きれいに入れられなかったせいで感染したり、漏れてきちゃったり、後でひどい目にあったりもします。そこらへんのコツをまるごとイラストで解説します。
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【サンプルイラスト】
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【既刊】
・『ねじ子のなんとなくわかった気になる褥瘡のペラ本』A5/28P/コピー誌/¥200
・『令和医療手技図譜 新型コロナウイルス編』A5/150P/オフセット/¥1500
・『現着!QQQ―病院に着く前に―』A5/96P/オフセット/¥1000
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【アクセス】
日時:2025年8月17日(2日目) スペース:東5ホール ヌ-51b
【SNS・通販】
X(旧Twitter):@nejiko_net メロンブックス通販 (予定)→ こちら
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よろしくお願いします!(2025/08/14)
ねじ子の俺コンランキング2023ハロプロ版です。 2年遅れですが書きます。
1位 なんざんしょ そうざんしょ / モーニング娘。’23VIDEO
つんく♂さん作詞作曲の恋する女の子の曲。久しぶりで嬉しい。女子目線で語られる不思議なデート が始まる。
主人公はどうやら、家まで彼を迎えに行っている。彼は準備が遅くだらだらしており、それを見た彼のお母さんは恐縮している。デート内容は「でっかいパフェ」を食べに行くことに決まっている。しかもそれは彼の希望 らしい。それなのにやたらもたもたしている彼。結局行かない可能性すら示唆されている。なんだそれ。「私が居なきゃ終わってる」し「将来が思いやられる」し「後悔の念に駆られる」けれど、「甘える技は天才的な人」なのである。
なんだそれ。いや、こんな人とは別れろ。 そもそも、なぜすでに将来が決まっているの?なぜ家まで上がりこんでいて、彼の母親がこっちの味方状態なの?自由な出会いと恋愛の末に成立したカップルと思いにくい。「母性の域を超えている」大きな愛で「こうなりゃとことん教育するしかない」とまで考えてる。いやそこまでする?
どうやら、彼はいいところのお金持ちのボンボンである。おそらく少しポンコツであり、時間を守れず、浮世離れしている。それでも教育するだけの見返りがあると 主人公は踏んでいる。そうじゃなきゃここまでやらない。というわけで、これは「いいところの子」との「親公認」で「世間公認」のお付き合いなのではないだろうか。上級階級の男子に、結婚前提の交際を目的として紹介された女子の曲。そう考えれば辻褄が合う。「お見合い」したあとのデート曲だ。
こんな状況は普通の庶民の男女には存在しにくい。誰を想定してるんだろう?あ、そうか飯窪さんか。飯窪さんの曲なのか。私は勝手にそう結論づけた。明石家さんまさんの息子さんと「結婚前提」の「交際前提」の飲み会をセッティングされ、それをラジオでネタにされまくっていた飯窪さんの状況として考えると、しっくりくる歌詞なのだ。
私の周囲の世界ではこのようなシチュエーションをあまり見かけない。「こんな男とは別れた方がいいのでは?教育するメリットある?そもそもすでに成長した大の男を『教育』しなおすって無理では?」と思ってしまう。でも資産家に嫁ぐことが前提であれば、そのくらい目を潰れるのかもしれない。
モーニング娘。の女子は上流階級の「お嫁さん候補」としてうってつけなのだと思う。関西における宝塚卒業生みたいなものだ。すれてないし、いろいろな意味で比較的安全に囲われているし、努力家であることはお墨付きだし、もちろん可愛らしく、知名度もありすぎずなさすぎずちょうどいい。トロフィー・ワイフが欲しい貪欲な人にもいい。卒業後に、この歌詞のような状況になるハロメンって実は結構多いのかもしれない。私には縁遠くても、ハロメンにとってはありふれた話なのかも。
新しく加入した井上はるさんと弓桁あここんが1番・2番の最初にソロパートを歌っているのもいいですね。明るくて夢がある。
2位 OCHA NORMA /シェケナーレVIDEO
発表時はこの曲にあまりピンときていなかった自分を殴りたい。私がこの曲を初めていいな!と思ったのは、つばきファクトリーの武道館コンサート「2023秋 可惜夜~山岸理子・岸本ゆめの 卒業スッぺシャル~暁」のオープニングアクトを見たときであった。遅い。
アニソン界隈ではTVアニメ「シャドウバースF」セブンシャドウズ編EDとしてとっくに注目されており、雑誌Newtypeの「アニソンを聴きまくってるDJたちが選ぶ2023年ベストアニソントップ20!」 で『シェケナーレ』は1位に輝いている。
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たしかにこのED映像のダンスには『らき☆すた』や『ハルヒ』によく似た多幸感がある。アニメEDのシェケ!シェケ!の手をふる振り付けはOCHA NORMA本家と同じ。
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つばきファクトリーのオープニングアクトとして武道館で聴いたこの曲を、数年後に開催されるOCHA NORMA単独武道館公演 の最後に聴くことができたなら。私は泣いてしまうかもしれない。あぁ、落ちサビで銀テープが宙に舞っているのが見える。
3位 プライド・ブライト / Juice=JuiceVIDEO
山崎あおいさんの魅力大爆発の一曲。かなともとまなかんが抜け、石山咲良ちゃんと遠藤彩加里ちゃんが入り、なかなか安定しなかったJuice=Juiceの今後の方向性がぴたりと定まった一曲だと思う。これだよ、これ。るるちゃんとれいれいががっつりと音程を支え、ゆめりあいが1番のAメロBメロを作り、サンフラワーが飛び道具としてキリングパートを決める。いいね。
どうしてJuice=Juiceに入った子はみんな歌がうまくなっていくんだろう。不思議だ。そのノウハウを共有してほしいよ。
4位 つばきファクトリー / でも…いいよVIDEO
メンバーのアップと森の自然がとても美しいMV。森の映像の質感がとてもいい。これからもこのクオリティを常にキープしてMV撮影よろしくお願いします!ハロプロ様!
彼女たちの表情はあどけなく、清廉で純粋だ。でもよく聴くと歌詞はどろどろ。どろっどろのどろ。
「ほんのちょっと遅かった出会い」「週末も会いたいよなんて二度と言わないよ」という歌詞から、主人公はどう考えても不倫中 である。しかも「二番目の女でいい」という弱気な姿勢が終始一貫 している状態だ。よくない、これはよくないよー。既婚者は時間の無駄ですよー。やめときなさーい。あなたの若く美しく何でもできる時間を無駄に使っちゃだめですよー。
それはさておき、映像の美しさと歌詞の泥沼感の対比はとてもいい感じ。この切なさと儚さと上品さを出せるのはハロプロにおいてつばきしかいない。まじでつばき。ザ・つばき。最高。
作詞は西野蒟蒻さん、作曲と編曲はスウェーデンのエリック・リボム(Erik Lidbom)さんです。Erik Lidbomさんは私の中でかなりのヒットメーカーです。メロディがいつも美しい。
5位 求めよ…運命の旅人算 / BEYOOOOONDS
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ハロプロがときどき出す「お勉強ソング」である。『ロックンロール県庁所在地』が有名ですね。どうやらこの曲は「普通じゃないテーマを」「小学生や親御さんにも届くように」というコンセプトが先に決まり、そこから旅人算の歌詞ができていったという。ニシのホイッスルボイスも最高。よい曲である。よい曲なんだが、なんだが、……旅人算って、あんまり使わないのよ。 わざわざ公式として覚えない。算数が得意な子どもなら特にそう。「考えればわかること」なのだ。
ハロプロお勉強ソングの先駆け『ロックンロール県庁所在地』には需要があった。なぜなら、県庁所在地は非常に覚えにくいから。そのくせ小学四年生で無理矢理にでも暗記しなければいけないから。だから小学生向け勉強ソングとして一定の需要があったのだ。でも旅人算はそうじゃない。旅人算は暗記ではなく「考え方」なのである。 なぜ歌にするのか、その目的がよくわからない。そうすると「大人が子ども向けを狙っている」意図だけが浮き上がって見えてしまう。うーん、小学校算数の特殊算から選ぶなら鶴亀算の方がよかったな……。そっちは中学受験でもよく使うから……。
6位 OCHA NORMA / オチャノマ マホロバ イコイノバ ~昭和も令和もワッチャワチャ~VIDEO
これもいい曲である。いい曲なんだが、歌詞がつらい。作詞家がものすごく苦労して捏ね繰り回したことが伝わってくる。苦労がうかがえる。そう思いながら星部さんのプレゼン動画も見た。↓
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歌詞を6回書き直しさせられた苦労が語られている。
私が一番がっかりしたのは、OCHA NORMAの「お茶の間」というグループ・コンセプトが、ここに至るまではっきりと固まっていなかったことである。
今の日本に「お茶の間」はない。 テレビがないご家庭も多く、「みんなでテレビを見ながら食事をとる部屋」という意味の「お茶の間」はもう絶滅危惧種である。誰の家にも「お茶の間」が存在したのは、昭和から平成前半までだ。歌詞の中でもそう言ってる。ではなぜ令和のいま10代女子を集めて「お茶の間」なのか。
ちなみにねじ子が「お茶の間」と言われて真っ先に思いつくのはオタク用語の「茶の間」 である。「テレビの前で消費しているだけの現場に来ないファン」のことであり、もともとはジャニーズファン界隈の言葉だと聞く。
実は私は、オタク用語の「茶の間」はコロナ禍でデビューしたOCHA NORMAにぴったりだと思っていた。「NORMA」は時勢的に、コロナ禍の暮らしぶりである「NEW NORMAL」 から来ているのだろう。SNSやYoutubeコンテンツやTiktokを駆使し、リアルでは会えなくても画面を通してたくさんの情報を提供・共有できる存在を目指すのだと私は勝手に思っていた。スマホの画面を通してリアルタイムにつながるアイドル。それができたら、確かにハロプロのアイドルとして新しい風が吹く。いいね、新しい。
でも、特にそうはならなかった。 ハロプロは相変わらずサブスクもTiktok音源も公開しておらず、Youtubeコンテンツにも特に変化がない。じゃあ「お茶の間」というグループ名でいったい何を目指しているんだろう?お茶の間の存在を知らない10代女子を集めて「お茶の間」を名乗らせる意味はなに?もう一度言うと、私が一番がっかりしたのはOCHA NORMAの「お茶の間」というコンセプトがセカンドシングルに至るまではっきり決まっていないと、この曲で感じてしまったことだった。なんでやねん。6回駄目出ししてる場合じゃないでしょ。ユニット名を決めた人間がコンセプトまで固めておいてよ。頼むよ。いきなり星部さんに投げられたって、星部さんも困っちゃうよ。船頭は誰なの? OCHA NORMAという船の船頭は誰?星部さんじゃないことと、メンバーじゃないことだけはわかる。まさか誰もいないわけじゃないよね……?
楽曲に戻ろう。Earth, Wind & Fire の『Boogie Wonderland』 がオマージュされたイントロが最高。赤羽橋ファンクなアレンジも素晴らしい。田代すみれちゃんの気の抜けた「ないはずじゃーん」から突然明るく転調するサビも好き。北原ももちゃんの落ちサビ「きっと生まれません What’s your お茶の間」の表情も最高。
以上です。2024年はリリースが増えることを願っています。
サイエンスアイ新書のロングセラー『マンガでわかる統計学』を増補改訂した書籍が出ます。ねじ子は漫画とイラスト担当です。
オールカラーです。サイズが大きくなっています。新書判から四六判になりました。
加筆として、付録に34ページも「相関係数」が追加されてます。イラストもたくさん描きおろしました!頑張った!
ぜひご一読ください。
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(2025/03/27)
エキスパートナース2025年4月号に記事を書きました。新年度です!!!!
2025年1月号で「次はインスリン投与と低血糖・高血糖時の対応についても描きたい」と予告していた続きです。
内容としては
1.インスリン自己注射の原理
2.インスリン自己注射の手技
3.インスリンの種類解説
4.低血糖対応
5.災害時のインスリン
の5本になります。4月号ということで1.2.3.のような入門的内容も、4.5.のようなエキスパート向けの内容も書いてみました。特に5.災害時のインスリン は、なかなか他で見ない興味深い記事になったと思います。「インスリン自己注射の手技はもうマスターしてるよ!」というエキスパートナースの皆さんはぜひそこだけでもお読みください。
自然災害が多い土地に住む私たちです。いざという時に今回読んだことをほんの断片だけでも思い出して、災害下の皆さまのお役に立つことを願っております。いや、本当は、今回得た知識を使う機会が皆さんに訪れないですむことを一番願うべきなのかもしれません。平和が一番。(2025/3/20)
2位 帰ってきたコーガ様戦 / ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム
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『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』より。前作『ゼルダの伝説 ブレスオブワイルド』においてコーガ様は謎の大穴に落ちて行方不明になった。いわゆる「ギャグ空間」への退場 で生死不明になったことが、まさか続編につながるとは思わなかった。あの穴が伏線だったとは。実は地下空間があったとは。そこでイーガ団が暗躍するとは。いやー、思ってもいなかったね。世界の広げ方がうまい。地図はそのままで、探索範囲を倍にすることができる。かしこい。地下は怖くて移動がたいへんだけど、探索も慣れれば楽しい。
そしてなんと言っても!この曲には!合いの手があるんだよ!!!!コール!コールだ!やったああああ!コールするぞ!コール大好き!私もイーガ団に入って「はっはい!はい!はい!」って叫びたい!私もイーガ団に入る!あの衣装どこに売ってる?買わせて!
実はイーガ団は、あの社会で馴染めなかったり街から追い出されたり捨てられた人間を救いあげて、元々の種族に拘らず組織に取り入れる 「セーフティネット」の機能を持っている。江戸時代の浪人組織みたいなものだ。ただのならず者集団に見えるが、実は社会にとって必要悪な集団 として描かれているのだ。街の外に出たら一晩で魔物に殺されてしまうあの世界で、拾ってもらえて、役割を与えられ、飯を食わせてもらえているのだから(バナナだけど)そりゃみんなコーガ様を好きになる。この曲のコールからは「コーガ様大好き!」 という気持ちが伝わってくる。だから好き。
3位 フリザゲイラ戦 / ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム
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こちらも『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』から、中ボス・フリザゲイラとの戦闘曲。風をつかさどる街・リトを支配するボスであり、吹き荒れる風を意識した楽曲だ。過去シリーズのリト族の曲のアレンジがふんだんに盛り込まれている。竜巻と猛吹雪が吹き荒れるなか、パラセールで飛び回りながらこの曲を聴く。圧倒的な浮遊感 を感じる。空も飛べそうだ。後半戦になると転調して音階が上がるのもいい。テンション上がるね!
この曲を聴くためだけにフリザゲイラを倒しに行く。そのためにわざわざ地下にも行くくらい、この曲が好きだ。巨体なのに弱点さえ突けばリンゴ3つで倒せるところもいい。
ちなみに前作と共通の音楽の中では『モルドラジーク戦』が一番好きです。敵がダウンするとサビに入る展開が最高に盛り上がる(この動画の1:26)。
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4位 ヒロガリズム / 「ひろがるスカイ!プリキュア」エンディング主題歌
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『ひろがるスカイ!プリキュア』はとても面白かった。史上初のレギュラー男子プリキュア であるツバサくんと、史上初の成人プリキュア である18歳のあげはさんがよかった。
ツバサくんはプニバード族、つまり鳥 である。女児アニメに必須なマスコット要因、かつプリキュアだ。体格は第二次性徴前の小学生低学年くらいで、知能は主人公達と同じ中学2年生くらい。この年齢設定も絶妙である。生々しくないし、フリフリの衣装も着こなすことができる。生足を出しても違和感がない。会話のレベルもあわせられる。見た目と精神年齢が少し離れている(体型は幼いが精神年齢は思春期)が、元々人間じゃないのでそれも無理なく受け入れやすい。
始まる前は「男子プリキュアのレギュラーってどうなん?大丈夫なの?」と少し不安であったが、何の問題もなかった。私の子どもの男子たちはツバサ君を受け入れ、共感していた。きちんとツバサくんに自らを重ねながら見ていた。
そうだ、私もずっと戦隊の女性戦士に自分を重ねていた。「大きくなったらああなりたい」と思ったり、「これはダメだ、あんな大人にはならないぞ」と思ったり、可愛さにキュンとしたり強さに憧れていた。物語の中に自分と同じ属性の登場人物 が存在することは、子どもが物語の中で人生を疑似体験するために必要である。物語の中でいろいろな感情を疑似的に体験し、別れや恐怖も体験して、心の強度を強くする。それは子どもの脳が成長するのに必要不可欠な過程だ。ライダーでも戦隊でもプリキュアでもドラえもんでもクレヨンしんちゃんでも少年漫画でも少女漫画でも若草物語でも赤毛のアンでも偉い人の伝記でも、それは変わらない。
あげはさんが18歳の保育士さんで、ツバサくんを「少年」と呼んでかわいがっているのもよかった。それに対してツバサくんがむっとして「子ども扱いするな」とすねているのもいい。子どもっぽいとか、かわいいとか言われたくないところがいかにも思春期の少年でいい。生意気でかわいい。オネショタの味がする。大きなお友達も大満足である。
赤ちゃんのエルちゃんが「ツバサとけっこんする!」と騒いで「結婚ごっこ」をするのもよかった。結果的に全員と結婚することになってるのもいい。「ごっこ遊び」が大好きな女児、すげぇいっぱいいるもんね……。恋愛未満の愛情である「友愛」 があふれていて、その量も適切だったと思う。
ヒーローガールな宇宙人ソラ・ハレワタールが敬語をずっと使っているのも、ましろさんを大切にしているところも、ましろさんを危ない目に遭わせたくないところもよかった。肉体的に強くあろうとする 女子を真摯に描いたところが、とても好きだ。子どもの頃助けてもらった騎士団長の女性に強く憧れているところ、ロールモデルに近づきたくて頑張り続けるところ、その騎士団長を強さ的には追い抜いてしまうところ、彼女を守りたくても守り切れなかったところ。挫折も、それからの回復も描くところ。肉体的に強くあろうとして努力する女子の等身大の姿として、私は大いに共感した。
空手や剣道を習っている女子は多い。肉弾戦は初期プリキュアからのコンセプトだ。
「女の子だって暴れたい!」
プリキュアシリーズの初代プロデューサーが『ふたりはプリキュア』の企画書に記した名言である。強くあろうと鍛錬していれば必ず突き当たる壁を、女児アニメで表現したことを評価したい。
VIDEO M-1グランプリ × ひろがるスカイ!プリキュア【コラボPR②】
今年一番萌えた映像。「ましろさんが一番グランプリですよね!」「ちがうよ~」も最高。ソラちゃんはスカイランド人なので漫才なんて知らないのだ。ソラちゃんもましろさんも世界一可愛いよ!
5位 SPECIALZ / KING KNU
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アニメ『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」のOP主題歌。「ゆあーまいすぺーしゃーる ううーうううー」という最初の5秒 で、もう優勝している。最初の5秒で勝ち。脳内でYUMEKIさんが「もう決めました」と言っている。
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アニメの出来も素晴らしかった。渋谷事変の不穏さ、東京の繁華街でいよいよ百鬼夜行が始まる絶望感がよく現れている。歌詞も原作の内容に沿っており、曲のクオリティも高い。最も幸福なかたちのアニメ・タイアップだと思う。
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6位 第ゼロ感 / 10-FEET
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こちらも幸福なアニメタイアップ曲。映画『THE FIRST SLAM DUNK』エンディング主題歌。監督兼原作である井上雄彦先生が好きなバンドとしてご指名された10-FEETのTAKUMAさんは、気合い入れて7~8曲作ったうえにストックの5曲をすべて井上先生に渡したら、全部ボツをくらったらしい。「じゃあ、新しい曲作ります。できるまで、ひまつぶしに聴いといてください」と言って、渡したボツ作の中にこの曲があった。そこでようやく「これだ!」と言ってもらえた、と言う。
ソース:https://mezamashi.media/articles/-/25955
作者が気合を入れて作った自信作よりも、息抜きで作った作品や気の抜けたお遊びがヒットする、という話はよく聞く。力が入りっぱなしのものよりも、緩急があって軽いパンチが一発だけ入ってるくらいの方が、消費にちょうどいいのだろうか?くどい味付けよりも、さっぱりした口当たりでカロリーが低いものの方が食べやすいということなんだろうか?よくわからない。実は漫画や文章でもよくある話なんだけど、作者がこれをコントロールするのはむずかしい。編集さんやアドバイザーが必要な所以である。
なお、私はオープニング主題歌『LOVE ROCKETS』を歌うバンド「The Birthday」のチバユウスケが好きだった。こちらも井上雄彦先生の御指名だという。しかし、チバさんは2023年12月に食道がんで亡くなってしまった。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのギター・アベフトシさんに続き、ボーカルのチバさんまで夭折してしまうとは。つらい。とてもつらい。
その1ヶ月後、10-FEETはこの曲の大ヒットを受けて紅白歌合戦に初出場する。TAKUMAさんは間奏で「スラムダンク、The Birthday、チバユウスケ!」と叫び、『LOVE ROCKETS』のサビのワンフレーズを歌った。ラブロケッツ、ラブロケッツ、ジェリーの魂を宿って、と。そして最後はピックを捨てて右手で空の盃を持ち、それを一口飲んで、盃を天に向かって掲げる。天国のチバさんと乾杯するかのように。
これらはリハーサルではまったくやっておらず、ぶっつけ本番でつい色々と叫んでしまったらしい。さすがライブハウスバンドである。なんか演奏もすげぇうまかったし。
実は私も訃報を聞いてからは、『第ゼロ感』を聴きながらもふとチバさんのことばかり考えてしまっていたのだ。自身のキャリア最大の晴れ舞台であろう紅白で、チバさんへの追悼を全力で叫びたくなってしまったTAKUMAさんの気持ち、わかる。その心意気に私の心は救われた。泣いちゃいました。
The Birthday – LOVE ROCKETS
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こんなことをロックン・ローラーに言ってはいけないのかもしれないけれど、ウエノコウジさんとキュウちゃんには長生きして音楽を続けてほしい。
以上です。
この先はハロプロ楽曲大賞と同じになりますのでそちらをご覧ください。(2024/6/1 文筆、2025/4/19 完成)
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