2023年 ねじ子のハロプロ楽曲ランキング
ねじ子の俺コンランキング2023ハロプロ版です。
2年遅れですが書きます。
1位 なんざんしょ そうざんしょ / モーニング娘。’23
つんく♂さん作詞作曲の恋する女の子の曲。久しぶりで嬉しい。女子目線で語られる不思議なデートが始まる。
主人公はどうやら、家まで彼を迎えに行っている。彼は準備が遅くだらだらしており、それを見た彼のお母さんは恐縮している。デート内容は「でっかいパフェ」を食べに行くことに決まっている。しかもそれは彼の希望らしい。それなのにやたらもたもたしている彼。結局行かない可能性すら示唆されている。なんだそれ。「私が居なきゃ終わってる」し「将来が思いやられる」し「後悔の念に駆られる」けれど、「甘える技は天才的な人」なのである。
なんだそれ。いや、こんな人とは別れろ。そもそも、なぜすでに将来が決まっているの?なぜ家まで上がりこんでいて、彼の母親がこっちの味方状態なの?自由な出会いと恋愛の末に成立したカップルと思いにくい。「母性の域を超えている」大きな愛で「こうなりゃとことん教育するしかない」とまで考えてる。いやそこまでする?
どうやら、彼はいいところのお金持ちのボンボンである。おそらく少しポンコツであり、時間を守れず、浮世離れしている。それでも教育するだけの見返りがあると主人公は踏んでいる。そうじゃなきゃここまでやらない。というわけで、これは「いいところの子」との「親公認」で「世間公認」のお付き合いなのではないだろうか。上級階級の男子に、結婚前提の交際を目的として紹介された女子の曲。そう考えれば辻褄が合う。「お見合い」したあとのデート曲だ。
こんな状況は普通の庶民の男女には存在しにくい。誰を想定してるんだろう?あ、そうか飯窪さんか。飯窪さんの曲なのか。私は勝手にそう結論づけた。明石家さんまさんの息子さんと「結婚前提」の「交際前提」の飲み会をセッティングされ、それをラジオでネタにされまくっていた飯窪さんの状況として考えると、しっくりくる歌詞なのだ。
私の周囲の世界ではこのようなシチュエーションをあまり見かけない。「こんな男とは別れた方がいいのでは?教育するメリットある?そもそもすでに成長した大の男を『教育』しなおすって無理では?」と思ってしまう。でも資産家に嫁ぐことが前提であれば、そのくらい目を潰れるのかもしれない。
モーニング娘。の女子は上流階級の「お嫁さん候補」としてうってつけなのだと思う。関西における宝塚卒業生みたいなものだ。すれてないし、いろいろな意味で比較的安全に囲われているし、努力家であることはお墨付きだし、もちろん可愛らしく、知名度もありすぎずなさすぎずちょうどいい。トロフィー・ワイフが欲しい貪欲な人にもいい。卒業後に、この歌詞のような状況になるハロメンって実は結構多いのかもしれない。私には縁遠くても、ハロメンにとってはありふれた話なのかも。
新しく加入した井上はるさんと弓桁あここんが1番・2番の最初にソロパートを歌っているのもいいですね。明るくて夢がある。
2位 OCHA NORMA /シェケナーレ
発表時はこの曲にあまりピンときていなかった自分を殴りたい。私がこの曲を初めていいな!と思ったのは、つばきファクトリーの武道館コンサート「2023秋 可惜夜~山岸理子・岸本ゆめの 卒業スッぺシャル~暁」のオープニングアクトを見たときであった。遅い。
アニソン界隈ではTVアニメ「シャドウバースF」セブンシャドウズ編EDとしてとっくに注目されており、雑誌Newtypeの「アニソンを聴きまくってるDJたちが選ぶ2023年ベストアニソントップ20!」で『シェケナーレ』は1位に輝いている。
たしかにこのED映像のダンスには『らき☆すた』や『ハルヒ』によく似た多幸感がある。アニメEDのシェケ!シェケ!の手をふる振り付けはOCHA NORMA本家と同じ。
つばきファクトリーのオープニングアクトとして武道館で聴いたこの曲を、数年後に開催されるOCHA NORMA単独武道館公演の最後に聴くことができたなら。私は泣いてしまうかもしれない。あぁ、落ちサビで銀テープが宙に舞っているのが見える。
3位 プライド・ブライト / Juice=Juice
山崎あおいさんの魅力大爆発の一曲。かなともとまなかんが抜け、石山咲良ちゃんと遠藤彩加里ちゃんが入り、なかなか安定しなかったJuice=Juiceの今後の方向性がぴたりと定まった一曲だと思う。これだよ、これ。るるちゃんとれいれいががっつりと音程を支え、ゆめりあいが1番のAメロBメロを作り、サンフラワーが飛び道具としてキリングパートを決める。いいね。
どうしてJuice=Juiceに入った子はみんな歌がうまくなっていくんだろう。不思議だ。そのノウハウを共有してほしいよ。
4位 つばきファクトリー / でも…いいよ
メンバーのアップと森の自然がとても美しいMV。森の映像の質感がとてもいい。これからもこのクオリティを常にキープしてMV撮影よろしくお願いします!ハロプロ様!
彼女たちの表情はあどけなく、清廉で純粋だ。でもよく聴くと歌詞はどろどろ。どろっどろのどろ。
「ほんのちょっと遅かった出会い」「週末も会いたいよなんて二度と言わないよ」という歌詞から、主人公はどう考えても不倫中である。しかも「二番目の女でいい」という弱気な姿勢が終始一貫している状態だ。よくない、これはよくないよー。既婚者は時間の無駄ですよー。やめときなさーい。あなたの若く美しく何でもできる時間を無駄に使っちゃだめですよー。
それはさておき、映像の美しさと歌詞の泥沼感の対比はとてもいい感じ。この切なさと儚さと上品さを出せるのはハロプロにおいてつばきしかいない。まじでつばき。ザ・つばき。最高。
作詞は西野蒟蒻さん、作曲と編曲はスウェーデンのエリック・リボム(Erik Lidbom)さんです。Erik Lidbomさんは私の中でかなりのヒットメーカーです。メロディがいつも美しい。
5位 求めよ…運命の旅人算 / BEYOOOOONDS
ハロプロがときどき出す「お勉強ソング」である。『ロックンロール県庁所在地』が有名ですね。どうやらこの曲は「普通じゃないテーマを」「小学生や親御さんにも届くように」というコンセプトが先に決まり、そこから旅人算の歌詞ができていったという。ニシのホイッスルボイスも最高。よい曲である。よい曲なんだが、なんだが、……旅人算って、あんまり使わないのよ。わざわざ公式として覚えない。算数が得意な子どもなら特にそう。「考えればわかること」なのだ。
ハロプロお勉強ソングの先駆け『ロックンロール県庁所在地』には需要があった。なぜなら、県庁所在地は非常に覚えにくいから。そのくせ小学四年生で無理矢理にでも暗記しなければいけないから。だから小学生向け勉強ソングとして一定の需要があったのだ。でも旅人算はそうじゃない。旅人算は暗記ではなく「考え方」なのである。なぜ歌にするのか、その目的がよくわからない。そうすると「大人が子ども向けを狙っている」意図だけが浮き上がって見えてしまう。うーん、小学校算数の特殊算から選ぶなら鶴亀算の方がよかったな……。そっちは中学受験でもよく使うから……。
6位 OCHA NORMA / オチャノマ マホロバ イコイノバ ~昭和も令和もワッチャワチャ~
これもいい曲である。いい曲なんだが、歌詞がつらい。作詞家がものすごく苦労して捏ね繰り回したことが伝わってくる。苦労がうかがえる。そう思いながら星部さんのプレゼン動画も見た。↓
歌詞を6回書き直しさせられた苦労が語られている。
私が一番がっかりしたのは、OCHA NORMAの「お茶の間」というグループ・コンセプトが、ここに至るまではっきりと固まっていなかったことである。
今の日本に「お茶の間」はない。テレビがないご家庭も多く、「みんなでテレビを見ながら食事をとる部屋」という意味の「お茶の間」はもう絶滅危惧種である。誰の家にも「お茶の間」が存在したのは、昭和から平成前半までだ。歌詞の中でもそう言ってる。ではなぜ令和のいま10代女子を集めて「お茶の間」なのか。
ちなみにねじ子が「お茶の間」と言われて真っ先に思いつくのはオタク用語の「茶の間」である。「テレビの前で消費しているだけの現場に来ないファン」のことであり、もともとはジャニーズファン界隈の言葉だと聞く。
実は私は、オタク用語の「茶の間」はコロナ禍でデビューしたOCHA NORMAにぴったりだと思っていた。「NORMA」は時勢的に、コロナ禍の暮らしぶりである「NEW NORMAL」から来ているのだろう。SNSやYoutubeコンテンツやTiktokを駆使し、リアルでは会えなくても画面を通してたくさんの情報を提供・共有できる存在を目指すのだと私は勝手に思っていた。スマホの画面を通してリアルタイムにつながるアイドル。それができたら、確かにハロプロのアイドルとして新しい風が吹く。いいね、新しい。
でも、特にそうはならなかった。ハロプロは相変わらずサブスクもTiktok音源も公開しておらず、Youtubeコンテンツにも特に変化がない。じゃあ「お茶の間」というグループ名でいったい何を目指しているんだろう?お茶の間の存在を知らない10代女子を集めて「お茶の間」を名乗らせる意味はなに?もう一度言うと、私が一番がっかりしたのはOCHA NORMAの「お茶の間」というコンセプトがセカンドシングルに至るまではっきり決まっていないと、この曲で感じてしまったことだった。なんでやねん。6回駄目出ししてる場合じゃないでしょ。ユニット名を決めた人間がコンセプトまで固めておいてよ。頼むよ。いきなり星部さんに投げられたって、星部さんも困っちゃうよ。船頭は誰なの?OCHA NORMAという船の船頭は誰?星部さんじゃないことと、メンバーじゃないことだけはわかる。まさか誰もいないわけじゃないよね……?
楽曲に戻ろう。Earth, Wind & Fire の『Boogie Wonderland』 がオマージュされたイントロが最高。赤羽橋ファンクなアレンジも素晴らしい。田代すみれちゃんの気の抜けた「ないはずじゃーん」から突然明るく転調するサビも好き。北原ももちゃんの落ちサビ「きっと生まれません What’s your お茶の間」の表情も最高。
以上です。2024年はリリースが増えることを願っています。