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医師兼漫画家 森皆ねじ子

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桃奈の新しい職場の展示会へ行く

ME:Iはじめまし展(重ね型の駄洒落)

2024年5月。 日プ女子を駆け足で見終わった私は、桃奈の新しい職場の展示会に行った。「ME:Iはじめまし展」である。2024年4月16日(火)〜5月26日(日)、渋谷タワレコ6階で開催。会場は10代から20代の若いファンばかりだ。若い男女カップルもたくさんいました。たはー。もちろん私は一人。ヲタ友などおらぬ。

歯科衛生士をオマージュした衣装。違います。靴が特注でかわいい。

MOMONAのポストカード自引きしたぜ!やったあ!

渋谷タワレコと言えばハロープロジェクトのお膝元である。「ここならば桃奈の過去にふれても怒られないだろう……」と勝手に判断して素直な気持ちを書いてきた。隣に偶然うつったメッセージも昔の呼び名で彼女を呼んでいたので、きっとお仲間だろう。

渋谷タワレコがいつも力を入れて下さっているハロプロのコーナーも見に行った。嶺脇社長いつもありがとうございます。いろんなハロメンのサインやチェキやメッセージが飾ってあり、そのほとんどが「いつもお世話になっております」で始まっているのが印象的。そりゃそうよねー。わかるよー。

佳林ちゃんの衣装も飾ってあった。魔法少女アニメみたいでかわいい。

アンジュルム時代の桃奈が写ってるチェキと直筆コメントもありますので、お時間がありましたらYOU:MEの皆さんも是非お立ち寄り下さい。4階アニメアイドルフロアです。ちなみにME:Iのコーナーは5階K-POPフロアです。

4階アニメアイドルフロアで大好きなハロメンの直筆メッセージを光の反射が入らないよう必死で写真に収めていたら、周りが急にざわざわしはじめた。なんと、LiSAさんがゲリラ的に来店していたのだ。びっくりした。LiSAさんは自分の等身大POPと一緒に並んで写真を撮ったり、自分のCDコーナーの前でぬいぐるみとともにキャッキャと写真を撮っていらっしゃって、とても愛らしかった……。我々のような通りすがりの客にも笑顔で手を振ってくださる姿はまるで天使のようだった……。細くてかわいらしいショッキングピンク髪の天使。

他にもCrimsonCratClanという男性グループが自身の巨大ポスター前で撮影しており、チラシを配りながら「LiSAさんだ!」とはしゃいでいらっしゃった。こちらもかわいい。

いたる所にミュージシャンのサインがあり、ここでしかもらえない特典がたくさんあって、グッズも買える。巨大展示やポスターや直筆コメントなど、写真を撮りたい場所もいっぱいある。限定イベントも開催される。そして、ゲリラ的に本人登場がある。そうまるでミッキーマウスのように。ここはテーマパークなんだな。

渋谷タワレコは日本一の音楽テーマパークになった。私たちは渋谷のタワレコに「音楽」を買いに来てるんじゃない、「体験」を買いに来ている。ここでしかできない「体験」を求めてここに来るのだ。もっとはっきり言うと、ここでしか撮れない写真を撮りに来ている。そしてそれをSNSにアップして己を表現する。ロック生まれアイドル育ちの嶺脇社長が狙っていた「アーティストとユーザー、ユーザーとユーザーをつなぐハブになるリアルの場」とは、このことだったのか。嶺脇社長は10年かけて渋谷に黄色い音楽のテーマパークを作り上げた。すごい。戦略的に正しい。

「CDが売れなくなった」と言われて久しい。私の地元駅前のレコード屋やCDレンタル店はすべてつぶれた。そんなご時世でも、渋谷タワレコにはたくさんの人がいる。学校帰りの学生も音楽を求めてここに来ている。外国人観光客もたくさんいて、結束バンドのコーナーやアナログレコードに群がってる。こんなに活気があるレコード屋さんを見るのは本当に久しぶりだ。それも嬉しい。

一階で推し活グッズ売ってる。売れ筋なんだと思う

いまやCDはオタクにとって音楽を再生するものではなく「ファングッズ」の一つになった。おそらく、紙の本も同じ運命をたどるのだろう。紙の本が生き残る道は「ファングッズ」としての価値を高めることであり、実店舗の本屋が生き残る道は「イベント」や「体験」をたくさん増やしていくことに違いない。しかし、人見知りで孤独なオタクの私、いや「森皆ねじ子」にそれができるのだろうか……?

とっくに引退した推しメンたちが笑顔で写っているチェキが色あせていくさまをながめながら、私はそんなことを考えていた。

さて、ここからは余談です。

ファントミラージュが大好きだったねじ子は「よし、Girls²のコーナーも見ていこう!地元じゃ絶対ガルガルのCD見つからないし!」と思った。石井蘭ちゃんがかっさーと同じオーディションにいてくれたの、めちゃくちゃ嬉しかったし。「私アンジュルム大好きなんですよ」って言ってくれたのも、めちゃくちゃ嬉しかったし。再デビューおめでとう!

しかし。ガルガルのCD、全然見つからない。どこだ。4階女性アイドルコーナーにもない。2階J-POPアーティストのコーナーにもない。LDHの棚にもない(E-Girlsやi-screamはすみっこの方にあったのに)。もしかして、と思って念のため5階K-POPフロアのME:Iコーナー近くも念入りに見たけれど、ない(なおProduce 101 the GirlsのCDと本はあった)。20分ほど歩き回ったねじ子は疲れ果て、あきらめてインフォメーションへ向かった。「ガールズガールズっていう女性アイドルのCDを探してるんですけど、どこですか?」と質問された女性店員さんはすぐに案内してくれた、2階すみっこのキッズコーナーへと……。

そりゃないよ!見つかるはずないじゃん!

ガルガルのCDとDVDは『いないいいないばあ』の横、『おかあさんといっしょ』と『あんぱんまん』のCDの上の棚に置いてあった(2024年5月現在)。もう一度言うわ。そりゃあないよ!!

いや、わかってるんだ。Girls²は『ガールズ戦士シリーズ』に出演していた女の子達を集めて作った、企画ものの子供向けユニットであった。「ガールズ戦士シリーズ?なにそれ?」って思うでしょ?一応説明します。『ガールズ戦士シリーズ』っていうのは、日曜朝にテレビ東京系列で放送されていた実写特撮TVドラマです。三池崇史さん監督。LDH系列ダンススクールの(おそらく優等生だった)中学生女子を毎年5人くらい集めて、ドラマの中で魔法少女に変身して戦います。東映が近年まったく!やってくれなくなった!実写女子特撮です。東映不思議コメディーシリーズが大々大好きだった私は、なんだかんだ狂喜乱舞しながら見ていたのです。

変身シーンでソロダンスします。これが長い。とてつもなく長い。一人当たり1分くらいある。しかも一切カットせずに毎週、全員分流すので変身シーンだけで5分くらいかかる。変身始まってからトイレ行ってお湯を沸かして紅茶を入れて帰ってきても終わってない。完全にバンク映像であり一秒たりとも変化がないので、大人の私にはひどく退屈な時間なのですが、テレビの前の女児たちはこの時間が大々々好きでした。テレビの間で歌い踊り、おもちゃを持って戦士になりきって一緒に変身するのです。3歳から7歳くらいの子どもたちが物事を理解するために行う「ごっこ遊び」「見立て遊び」のまさに正しい姿といえます。

もちろんオープニング映像やエンディング映像でもガールズ戦士たちが歌って踊りますし、必殺技は「フィナーレダンス」なんでそりゃもう抜群に踊ります。テレビの前の女児もそのたびに踊ります。私が当時一番好きだった曲はmirage²の『じゃん☆けん☆ぽん』。エンディングで毎週流れ、最後は画面に向かってじゃんけんです。キッズアニメの定番。でも思惑通りにじゃんけんしちゃう!大好きになっちゃう!

リアル中学生が演じているため、撮影スケジュールにたっぷり余裕があります。おそらく長期休みの間にまとめ撮りし、放送開始時にはすでに撮影が終わってるのでしょう。番組の放送中は彼女たちが出演するリアルイベントが毎週開催されます。キャスト本人による歌と踊りのイベントが日本各地のショッピングモールで行われ、大盛況でおもちゃが飛ぶように売れたと聞きます。完璧な商売。


(蘭ちゃんことファントミダイヤ登場は12:00から)

コロナの流行によってリアルイベントが打てなくなった『ガールズ戦士シリーズ』は、売上が芳しくなくなったのか先細りし、シリーズも終了してしまいます。2017年から2022年まで5年くらい、計5シリーズ(リズスタはガールズ戦士じゃないので除く)。貴重な実写女子特撮の枠がまた一つなくなりました。

その後、『ガールズ戦士シリーズ』の出演者を集めたGirls²とLucky²のメンバーがおはガールの枠を4年間独占します。私はハロヲタなので、これは非常に!苦々しい気持ちで!見ておりました。だってこれじゃハロメンがおはガールになれないじゃんかよお!!むきー!蘭ちゃんはおはスタでけん玉を披露し(蘭ちゃんの1分PRで机の上にあったのは「おはガールふわわ」タイアップのバンダイ商品・ケンダマクロスでしたね)、おはガールとして木村昴兄さんと一緒にCDを出しました。このCDも渋谷タワレコに置いてありましたね。以上、昔話でした。

……こんな経緯だから、Girls²のCDがキッズコーナーに置かれているのは妥当なのである。間違いじゃない。わかる。それでも、それでも!「せめてLDHの巨大コーナーにも置いてあげられないの?」と思わずにはいられない。部外者の私にはなぜそこに入れてもらえてなかったのかわからない。子ども向けの企画だからって、一過性のものとして扱われてない?スクール上がりだから一線引かれている感じ?成長した大人のアーティストとして本当に扱ってもらえていた?

そもそも、LDHは渋谷タワレコ2階の壁一面を占めるほど巨大なスペースを用意してもらっている。それなのに、女子グループはそのほんの片隅でしか扱われていない。それも悲しい。E-GirlsもFlowerも紅白に複数回出場した良いグループだったのに、もう存在していない。それも悲しい。

私はLDH界隈のことはよくわからない。けれど、当時の蘭ちゃんのGirls²内での扱いや先輩女子グループの行き詰まりを思い出してみても、蘭ちゃんがそこから飛び出して広い世界で挑戦してみたくなる気持ちはわかる。当時ファントミダイヤの変身ダンスに一目惚れした人間として、私は彼女の勇気と挑戦を大いに支持している。かっさーがハロプロを飛び出したとき「かっさーが卒業して世界に挑戦してみたくなるのも当然だよ……。上が詰まりすぎだもん……」と多くのハロヲタが思ったように。

ハロヲタとハロメンの多くが桃奈を支持してあふれるほどの応援と投票を桃奈に送ったように、蘭ちゃんと長い付き合いを持つメンバーやスタッフや古参ガルガルファンの皆さんが今の蘭ちゃんを応援してくれることを心から願っている。

そうだ!2019年にネットでファントミダイヤを叩いていた奴ら!私は忘れてないからな!お前ら全員に!今からでも言いたい!「てめえらの目は節穴だったな!お前らみんな、見る目なかった!ガハハハハハハハハハハハハハ!私の勝ちだ!」と。何に向かって勝利宣言しているのか自分でもよくわからないが、中学生の女の子たちに無責任な中傷をしていた人に私はどうしてもバーチャル・お礼参りがしたいのだ。セイラちゃんは当初一匹狼の孤高の怪盗で、既存キャラとなかなか仲間にならない無愛想なキャラ……という「設定」だったから、役と役者を混同しているような書き込みさえ散見されていたように思う。嫌になっちゃうよね。蘭ちゃん、桃奈と同じオーディション受けてくれてありがとね。(2024/05/30文筆)