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医師兼漫画家 森皆ねじ子

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「好きなもの」のリスク分散

よっすぃのソロでのお仕事が順調でホクホクと喜んでいたら、その隙に西武が10連敗して最下位になっていた。おそろしい。この前もマクラーレンが恐ろしい ほど強くてにわかには信じられず浮き足だっていたら、ミキティが懲罰人事食らっていなくなってたし。禍福はあざなえる縄のごとし。人生はやはり油断ならな いものだな。

人間は好きなものや応援しているものから、少しずつパワーをもらって生きているのだと思う。好きな漫画から、好きな歌から、好きな作家から、好きな球団か ら、そして好きな家族や恋人や友達からも、少しずつ幸せをもらって生きていると思う。私も、野球なら西武、F1ならマクラーレン、カーリングならチーム青森、 サッカーならポルトガル代表、ロックならスピッツとくるりとソウルフラワーユニオンとダンスマンとThe WHOとデビッドボウイとQUEENとそれからそれから…(以下略)から、少しずつ幸せを分けてもらっている。しかし同時に、負けたときはほんの少しだ け、不幸も頂いている。それは表裏一体のものだ。どちらかだけということはできない。

そして年を取ってくるごとに、どんどん好きなものが多くなる。イチロー並に守備範囲が広くなってきた自分が怖い。「人生は楽しい!」と心の底から思えるほ どだ。秋葉原まわってても見るべきモノが多すぎて、一日で終わんないんだもの。スーパードルフィーも海洋堂フィギュアもケロロ軍曹のガチャガチャも自作 PCとCGの本もリバティのハロプロ中古DVDも見なきゃいけないし。どれひとつとっても一生かかっても見きれないほどの量があるし。あぁオタクって楽し いわぁ。

というわけで「好きなものが多い」状態だと、リスク分散ができる。一個のラブリーが調子悪くても、他のラブリーの調子が良ければ、幸せだ。その幸せで生き ていける。調子の悪いラブリーも、長い目で見ていればきっと調子が上がってくる。その時に幸せを分けてもらえばよい。あんなに火を噴いていたマクラーレン のマシンが、こんなに速くなるんだもの。5年間後列だったよっすいーが、最後にセンターになって輝くことができるんだもの。

昔は一途に幽遊白書だけが好きだったりして、連載が終わったときは海の底まで落ち込んだりしたものだが、あれは思春期特有の一途さ(というか思いこみ)だったんだなぁ。私も大人になったと思う。こんなことで自覚するのもナンだが。(2007/6/22)