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医師兼漫画家 森皆ねじ子

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子は適応する。大人は…

『仮面ライダーオーズ』最終回においてアンクが五感も備えた生命体として人間の中で生き続けることができたらどんなにいいだろうと考えることは陳腐で御都合主義な展開だとわかっていながら止められなかったねじ子です。こんにちは。アンクが冬の映画で復活してくれたらどんなにいいだろうと考えることも非現実的でありながらなかなかやめられません。

ちなみにアンクが人間になりたいとあれだけ苦悩していた5分後の『スィートプリキュア♪』では、妖精の黒猫がプリキュアになった途端なんのエクスキューズもなく人間の女の子になり、あまつさえ出生届や戸籍や住民票や入学試験などもろもろの社会的契約をすべてすっとっばして主人公達の学校に何の苦もなく入学していました。なんたる脳天気!それでいいのかプリキュア!!いや、その脳天気さこそが人気の秘訣か!?

新しい仮面ライダーもとっくに始まりました。宇宙来ました。『仮面ライダーフォーゼ』は明るくてダサくて馬鹿っぽくて底抜けに楽しいしロケットドリルキック超カッケーし変な電子変身音もクセになって私も最近ベルト音声で会話してます。でも。気がつくとふとした仕事の合間に「はぁ…。アンクがいなくなっちゃって淋しい…」と独りごちている痛い大人です。3時間に1回くらい。「いや、あれでいいんだ。いい最終回だった。でもアンクには生きていて欲しかった…。チートアイテム使っもいいからさ…。都合悪いものぜんぶ吸い取ってくれたブラックホールだってある意味チートだし……」と呟くこともあります。現実がカタストロフィの真っただ中にあるからこそ、希望のあるお話を見たかったのかもしれません。わかってます。そんなの大人の都合です。

子供はいいのです。あいつらは幽霊に近い世界に住んでいるので、背後霊がふよふよ浮いている=心霊は残る=生きている、むしろずっとそばにいてくれると認識します。でも、大人は。

最終回を見ながらめそめそ泣いている私の横で、子供はフォーゼの予告を見ながら早くもスイッチ(頼んでないのにブラカワニメダルセットに付属していた。おのれバンダイ)をカチャカチャといじり「これふぉーぜ?ふぉーぜ!ふぉーぜのすいっち!!ねぇふぉーぜのベルトは?ないの?」などと可愛く小首をかしげています。切り替えが早すぎる!まだ発売もされてないわ!最近発売されたけど店頭で1回も見かけたことないわ!ていうかもう母は多々買い(たたかい、と読む)たくないんだ!!そしてフォーゼ第1回放送の翌日には、もう保育園で新しい変身ポーズを披露しているっていうね。ああ、子供は適応する。こんなにも早く。こんなにもしなやかに。でも、大人は。あぁ息子、私は君が羨ましい。私もこんな風にしなやかに現実に適応して生きていきたかった。

息子はおそらく私よりもずっと早く仮面ライダーを卒業する。俺の占いは当たる。きっと当たる。(2011/09/16)