仮面ライダーオーズの刑事さんの健康状態を勝手に医学考証
伊達さんみたいなかっこいい医者になるはずだったのに、気が付いたら化粧品会社の研究員のお姉ちゃん(佐倉姉)にそっくりになってしまったねじ子です、こんにちは。しかもメイクで美人になるオプションは一切、まったく、付属しておりません。
あの回はあまりに心が痛くて、録画を見返していても、一気に見ることができないんだよ。途中休憩を入れないと辛くて辛くて、視聴継続できなくなります。昔ちょっと好きだった男性と再会して、久しぶりの食事の前に化粧してみたくなるくらい、いいじゃないかよ。ほんの少しの乙女心だよ。何がいけないのよ。見逃してあげてよぉ。ひどいよカザリ!しかも妖術でいくら綺麗になっても、本命の伊達さんだけは絶対に引っかからないっていうね。泣ける。オーズになりきって変身!している子どもを横に、感極まった私はつい夫に「私たちも仮面ライダーなりきりごっこしよう!私が佐倉姉で、君は伊達さん役ね」と提案したのですが、冷たい目で一瞥されただけで何の返事もなく終わりました。恋愛コンボでアホの子状態の映司を見るアンクの目よりも冷たかった……。
さて今更ですが最終回直前を記念して、2010年12月12日放送 仮面ライダー000 第13話 『シャム猫とストレスと天才外科医』および第14話『プライドと手術と秘密』より、刑事さんの健康状態について勝手に医学考証をしてみたいと思います。
第13話と第14話を医学的観点からまとめると。まずアンクが刑事さんから離れてしまい、病院内でぶっ倒れている状態で発見されます。院内急変です。よくある状況ですが、あまり遭遇したくはありません。この時、医者はすぐに心臓マッサージをするわけではなく、バイタル確認後に血圧を測っています。ということは、アンクが離れた直後はある程度心臓は動いていた=脈拍が確認できたということです。その後、心室細動になり、除細動に至っていることもあわせて考えると、アンクが刑事さんの体を捨ててしまった瞬間に心臓が停止するわけではなく、アンクが出て行く→意識消失を起こすような何らかの心臓イベント→心室細動→心停止、という流れであると考えられます。
刑事さんは、第1回で覆面パトカー乗車中に一般車と衝突した後に、意識を失って倒れました。「このとき医学的にどんな状態に陥ったか」「アンクは一体どんな不思議なちからで刑事さんの体を維持しているのか」と、前々から疑問に思っていましたが、第14回の処置を見て一つの答えが出ました。
まず、第1回での「一般車と衝突→ハンドルに胸を強打」という状態。俗に言う「ハンドル外傷」です。「なんで今時の車でエアバッグ出ないんだ?ていうかシートベルトしてたら、よほどの外傷でないとハンドルには届かないだろ?」という疑問には目をつぶりましょう。ドラマですから。とにかくエアバッグなしで、ハンドルに胸を強打してます。ハンドル外傷では、①衝撃による胸骨・肋骨骨折などの胸郭の損傷、②心大血管損傷、肝損傷、③ハンドルと胸椎に挟まれることによる膵・十二指腸損傷、つまり「内臓の派手なダメージ」および「心臓や大動脈など、大きい血管の大出血」をまず疑わなければいけません。でも、その後のアンク(というか刑事さん)の状態および蘇生中の医者の処置を見るに、体の中で大出血はしてなさそうです。そうだったら、アンクが離れたら10分どころか2分ももたないし、医者は輸血などの大出血に備えた処置をするはずです。それらは見られない。よって、これら①②③は、幸運にも起こっていないのでしょう。
とすると、なぜ刑事さんは意識消失したのか。結論から言うと、刑事さんはハンドル強打したときの衝撃をきっかけにして、致死的不整脈に陥ってしまったと考えます。それが一番合理的です。外傷を誘因とする致死的不整脈、ね。致死的不整脈にはいろいろあるけど、現場で刑事やっているってことは、これまでまったくの健康体であった(持病は認識されていなかった)でしょうから、心室細動や持続性心室頻拍やQT延長症候群やTorsades de pointes(トルサードドポアンツ)あたりが考えつきます。
致死的不整脈は、AEDで除細動さえできれば、何の問題もなく心臓の拍動が戻り、社会生活が続けられるまで回復します。おそらく、刑事さんは外傷をきっかけに不整脈発症(心室細動)→意識消失したところに、アンクが付き、彼の不思議なちからによって心室細動から復帰した=除細動されたようなものなのでしょう。ひょっとしたら、心臓のポンプ機能の強化作用(アドレナリンやノルアドレナリンやドパミンの効能)もあるかもしれません。アンクの腕、便利ですね。マラソンなど、過度の運動中に突然心室細動を発症し、AEDが間に合わず亡くなってしまうケースは非常に多いので(高円宮殿下など)体育大会の現場に是非いてほしい存在です。
さて、これらの致死的不整脈を発症すると、心臓が血液を全身に送る「ポンプ機能」が無くなってしまいます。放っておけば、酸素不足で脳が死にます。脳細胞は4分間で死ぬと言われています。4分以上心臓が止まった状態でいると、その後の治療で心臓が復帰しても、脳細胞が死ぬ=後遺症が生じてしまい、社会復帰は難しくなってしまうのです。
刑事さんは第36話で自力での循環維持(心臓のポンプ機能)が可能になり、第41話で完全復帰しました。復帰後は非常にピンシャンしており、脳の障害が起きているようには見えません。つまり、アンクは腕だけ離れても、なんだかんだ言っていつも4分以内に刑事さんの体に戻っていたのでしょう。脳の後遺症を残さないために。アンクのツンデレの「デレ」はこんなところで発揮されていたのですね!素晴らしいッッ!!(例の会長のテンションで)
何の不自由もなく復帰した刑事さんですが、第43話で首をしめられてまたアンクに乗っ取られてしまいました。お気の毒です。頸椎(首の骨)が折れた音はしなかったので、おそらく頸動脈の血流が一時的に遮断→それにより失神したのでしょう。圧迫さえ止めれば、すぐ復帰します。問題ないでしょう。
さて今後の治療方針ですが、刑事さんが私の患者さんなら、致死的不整脈を二回も(自動車事故で一回、病院で一回)起こしているので、また何かをきっかけに同じ様な不整脈を起こす可能性が極めて高いと考えます。「埋め込み型除細動器」を体内に入れるオペを強くお勧めするところです。ていうか「オペしなかったら退院させないわよ!」くらいの勢いでオススメします。すべてが落ち着いたら、刑事さんはぜひ病院に戻って埋め込み型除細動器を入れてください。あ、ナチュラルAED機能があるアンクがいつもくっついている状態なら、その必要はありませんが。というより、刑事さんは果たして人間として戻って来られるのでしょうか。クスクシエを出ていく時のアンクの台詞で、ねじ子朝から大号泣しちゃったけどね。最終回の展開が気になりますね。(2011/08/24、最終回まであと4日)