加護ちゃんと素敵な未来
加護ちゃんが解雇された夜に、I wishのPVを一人で観ていたら涙が出てきた。
あの頃のモーニング娘。は輝いていた。全員が奇跡的なほどに可愛く、やる気もあり、自信と尊厳に満ちていた。彼女たちの歌の歌詞ではないけれど、未来がピ カピカと輝いて見えた。入ったばかりの四期の面々は初々しく、無垢で愛らしかった。これからいいことがいっぱいあると信じることができた。
良い曲は、その曲が流行っていた当時の自分を思い出させる。当時の私は何もなく、頭だけが無駄に先走っている鼻持ちならない学生だったけれど、それでも「未来は無限である」と無駄に信じていた。いや、自分がそう「信じてる」ことすらも自覚しないほど、自明のことだった。
それから六年がたち、モーニング娘。にはもう吉澤ひとみちゃんしか残っていない。そのよっすぃーももう卒業する。卒業してソロをやっているみんなは、正 直、当時ほどの成功を収められていないように思う。スキャンダルにまみれてしまった子も、外見が変わってしまった子もいる。そして、加護ちゃんはいなく なってしまった。あんなに輝かしい未来を持っていた子が。
モーニング娘。やそのファンが当時見ていた未来は、こんなものではなかったはずだ。少なくとも私はそうだった。これが最善の努力を尽くした結果だと分かっていても、失っていったものの大きさに愕然としてしまう。
私自身だって、当時漠然と信じていた素敵な未来像に、今なれているわけでもない。むしろ逆だ。矮小な人間になってしまったと思う。それが未来というものであり、夢であるとわかっていても、悲しくて涙が出た。(2007/3/27)