もちろん帰りにうどん食べました。明日が待ってますからね。
℃-uteの武道館講演に行った。℃-uteの日(9月10日)のチケットは入手困難だったので前夜祭(9月9日)である。非常に素晴らしいコンサートだった。ねじ子は3回ほど泣いた。
最近は武道館の敷居が低くなってきている。知名度も実力も関係なく、ぽっと出の新人でもイベントを打ってる印象がある。「武道館に思い入れを持つなんて古くさい」という意見もうなずける。けれども、少なくとも℃-uteちゃんたちにとって、武道館を平日2日間満員にできたことには大きな意味がある。彼女たちはどん底からここまではい上がってきたのだから。下積みの美談を作り上げるために作為的に用意された「苦労」の押し売りではなく、本当に底が見えないどん底から。そう、今では信じられないかもしれないが、℃-uteは確かにどん底だった。
8人で華々しくインディーズデビューした『まっさらブルージーンズ』に、ねじ子は当時ひっくり返るほどの衝撃を受けた。ファンの数は一気に拡大し、レコード大賞新人賞も獲った。でも、その後が非常にまずかった。村上愛が最悪の形で辞め(男性との相合傘をストーカーに撮られた翌日に電撃引退)、有原栞菜も違った種類の最悪の形で辞めた(ジャニーズの男の子と写真を撮られる)。この時の相手が悪かったせいで、現在に至るまで主要な音楽番組に出ることも、大きなタイアップを取ることも難しくなってしまった。そして追い打ちをかけるように梅田えりかchanもモデルを目指して卒業した。製作陣も初期のテンションを保つことができなくなってしまったのか、楽曲の質も目に見えて低下していく。挙げ句の果てに、梅さん卒業後初のシングル『SHOCK!』は愛理のソロ曲であった。愛理ファンおよび(ソロを望んでいなかった)愛理本人は大いに困惑し、愛理以外のメンバーのファンは激怒した。移り気なアイドルファンはもちろんのこと、度重なる不幸に耐えてきた古参ファンたちをも呆れさせるのに十分であり、熱心で強固なハロヲタでさえも℃-uteに(いや、正確には事務所に)失望してしまった。
不幸なのはそれだけではない。この頃、モーニング娘。は新メンバーを長期にわたって募集していなかった。その目的の一つはおそらく、Berryz工房と℃-uteにファンの目を向けさせることにあった。しかし、℃-uteを襲った度重なる不幸によって、その目論見は残念ながら当初の予定ほど上手くいかなかった。ファンの一部はPurfumeに流れ、48Gに流れ、ももクロに流れていった。そしてハロプロはその歴史上で最もファンの少ない時代を迎えた。2010年頃のことだ。10代後半~30代男性という女性アイドルファンのボリュームゾーンを根こそぎ余所さまにもっていかれて、ハロヲタにはロリコンとゲイと一部の女しかいなくなったのだ。ねじ子自身はそのころ最も狂信的なタカ派のハロプロ信者だったけれども、当時のハロプロ現場は確かになかなか見応えのある客層であった。どこに行っても「コミケの三日目より凄惨な光景だわ」と思った。私たちはキモヲタと呼ばれ、古臭いと言われ、「まだやっているの」と言われ、テレビでもネットでももちろん現実社会でも、散々馬鹿にされた。
もちろん℃-uteの売上と観客動員も目に見えて減っていく。でも彼女たちは諦めなかった。必死にダンスを揃え、歌唱力を上げ、容姿を磨き、決して太らず、腐らなかった。そして色々な「新しい試み」をした。結果的にはその新しい試みが実を結び、今に至ったのだと思う。
まず、ハロプロのアイドルにしては珍しく対外的なアイドルフェスに打って出た。アイドル横丁祭やニコニコ超会議に鬼気迫る勢いで出演し、毎回素晴らしいパフォーマンスをした。なぜ当時℃-uteが選ばれたのかはよくわからないが、とにかくとんでもない気迫で、10年選手としてのキャリアをきちんと出し切った。「℃-uteはライブがすごい」という評判もここから生まれた。
そして岡井千聖ちゃんのネット動画における功績も大きい。最も有名なのは『まっさらブルージーンズ』の「踊ってみた」をYoutubeにアップしたことだろう。プロ本人が「踊ってみた」動画をあげるのは今では珍しくないが、当時は新聞の社会面で紹介されるほど画期的だった。ダンスの上手さにも驚いた。真似しやすい正面からの定点撮影だったために、素人さんがそれを真似る「踊ってみた」動画もたくさん派生した。さらに岡井ちゃんをトレースしたMikuMikuDanceのモーショントレースが作られ、二次元の様々なキャラクターがニコニコ動画で『まっさらブルージーンズ』を踊り、爆発的人気が出た。『Kiss me 愛してる』でも同様の現象が起こり、若年層への℃-uteの知名度は飛躍的に上がった。
武道館の前に集まったお客さんは本当に若かった。そして女性が多かった。可愛い女の子達がメンバーカラーのTシャツを着ている。「気持ち悪さの象徴」とまで言われていたヲタTシャツをお洒落に着こなしている。可愛いフリルのミニスカに合わせたり、デニムのホットパンツに合わせたり、リボンを着けてアレンジしている。こんなにたくさんの人が℃-uteのために武道館に集まるなんて、にわかに信じられない。『SHOCK!』が初披露されて、絶望に彩られていたあのよみうりランドの観客にこの光景を見せてあげたい。というか、少なくとも私は見ることができている。あのとき在宅でSHOCK!を受けていた私も、今はちゃんと武道館にいる。『Kiss me 愛してる』のイントロにのせて、目の前で中島早貴ちゃんが潤んだ目を必死にかっ開きながら現れた瞬間に、ねじ子も涙腺が決壊してしまった。つまりオープニングから泣いていた。我ながら気持ち悪い。女であることをいいことに、「ニコニコ経由でファンになった新参のteam℃-uteでーす♥キスミーは神♥まっさらも神曲♥♥」って感じの新規客を気取ろう!と思っていたのに、はなからキモヲタ丸出しである。失敗した。しかも研修生が出て来るとどうしても研修生に目がいって一人一人コンディションをチェックしちゃうあたり、私も性根からハロヲタである。あー、リカコ可愛かったなー。Juice=Juiceのオープニングアクトも最高だったなー。思いがけず金子りっちゃんと浜ちゃんも見られたし、Berryz工房もゲストで来たし、武道館入口にいたベイビーレイズからティッシュもらえたし、ポッシボーのロビンちゃんから手渡しでチラシもらえたし、チケット代以上にお得なライブだったわー。
私は「『まっさらブルージーンズ』をMステ(または紅白)で歌い踊る℃ちゃんたちを見たい!」とずっと思ってきた。一人でも多くの日本国民にあのラミラミを、暴力的な腰振りを見せたい。それは見果てぬ夢のまま終わることも、わかっていた。でも今の勢いならば、ひょっとしたらひょっとして実現できるのかもしれない。そんな可能性を感じさせる素晴らしいライブだった。まだまだ上を目指してほしい。上、というものがいったいどこにあるのかはわからないけれども。(2013/9/11)