2015年 ねじ子の俺コンランキング・楽曲編
1位 該当なし
今年はヒット曲のない年だった。興味が細分化し、皆で共有できる音楽がなくなったと言われて久しい。もう、全世代が同じ音楽を耳にするという概念自体が旧世代のものなのだろう。2015年はその状況が極限まで極まった年だと思う。そうは言ってもこれまでは、ニコニコならニコニコ、ボカロならボカロ、アニソンならアニソン、キッズアニメなら子供、アイドルならアイドルヲタの世界の中で小流行した曲くらいはあったと思うんだ。今年はそれすらも、なかった。一発屋も見あたらず、歌番組は昔の曲ばかり。ヒットどころか犠牲フライや送りバンドすらもなかったんじゃないだろうか。完全試合達成だ。強いて言えばμ’sが今年のヒットなのかもしれないが、μ’sの曲のほとんどは(正確には)2014年以前のものだし、そもそもオタクの贔屓目を持ってしても、μ’sが若い男女全員に共有されているとは思いがたい。これが私の年のせいで、実はしっかりと若い世代の共感を呼んでいる曲があり、ただ私の音楽のアンテナの感度が鈍くなっているだけであることを願っている。
結局、音楽業界はインターネットの普及によって音楽が「タダ」になってしまったことにいまだ有効な手を打ち出せていないのだと思う。Youtubeがサービスを開始した2005年頃からずっと言われ続けている課題だが、いまだ解決策が見あたらない。音楽家の個人個人は、すごくがんばっている。自分たちが食べていけるように、「マネタイズ」の方法を日々模索している。それはわかっている。でも、もうとっくに崩れている既存の音楽業界の仕組みに自らが死ぬまでしがみついていたい人たち(おそらく彼らは10年以内に引退して「勝ち逃げ」するので、その後のことなんて考えなくていいのだ)の恒常性バイアスに、若い人たちはとても太刀打ちできていないように見える。組織の上の方にいる人たちは、現状を維持することによって利益を確保しているのだから、変わる必要はない。後のことを考える必要もない。誰だって自分の取り分が減るのはイヤなのだ。当たり前である。これは現在日本において、どの業界にもみられる構造だと思う。
団塊の世代は人口が多いので、多数決の民主主義社会では勝ち続ける。そして日本は民主主義だから、下の世代は何をやっても勝てない。彼らがごそっといなくなるまで、我々は犬死にしないように必死で耐え、近い将来やってくる★超絶★格差社会に向けてエネルギーを蓄え、切磋琢磨しなければいけない。医療業界もそう、出版業界もそう。SMAPですら、そう。かくいう私もそうである。きついなぁ。馬鹿馬鹿しさの真っ只中で犬死にしないようにしたい。
2位 シオカラ節 / シオカラーズ(Splatoonサウンドトラック)
2015年現在における自由な音楽制作の形の一つは、ゲーム音楽にあると思う。ねじ子の今年のベストアルバムはSplatoonサウンドトラック、その名も「Splatune(スプラチューン)」。遊び心満載で、細部までよくできたアルバムだった。
Splatoonというゲームは、イカ人間の皆さんが鉄砲やブラシでペンキをぶちまけながら、地面に塗ったインクの色で陣取り合戦をするシューティングゲームである。このCDアルバムはもちろんゲームのサウンド・トラックなのだが、「ゲームの中のイカ人間の世界で発売された音楽アルバム」という体を取っている。音楽性の異なる6組のイカバンドやイカシンガーがリリースした楽曲を集めたオムニバスアルバム、という設定だ。その設定に乗っ取ったCDジャケットワークがすばらしい。一曲ごとに、音楽レビュー雑誌風の熱いライナーノーツが付いている。たとえば、一番有名なCMにも使われている戦闘音楽「Splattack!」のライナーノーツはこれ。
この曲を演奏している(という設定の)バンド名は「Squid Squad」。ボーカル、ギター、ベース、ドラムの4人組。いや、4イカ組。大ヒットしたデビュー曲「Splattack!」の次に彼らが出した二枚目のシングルがこれだ。
「バンドにとって”ヒット曲の次の曲”がイカに難しイカは、想像に難くない。だが、僕らがアゲまくったハードルをカラストンビにも掛けず、彼らはスーパージャンプさながらこの曲で飛び越えていった。」で始まるライナーノーツがついている。終始こんな感じで、実にイカしている。ちなみに彼らは私が今年もっともよく聴いたロックンロール・バンドであった。
今回取り上げたシオカラ節は、ゲーム内のアイドルキャラクターであり、イカ世界のトップアイドルである二人組・シオカラーズが歌っている。
歌詞がさっぱりわからない。これはイカの世界の言語、つまりイカ語である。こういうわけわかんない音声にしておけば、世界各地で発売するときに各国語に吹き替えしないですむという大人の事情を逆手に取った手法だ。「これでやっとシオカラ節を歌える!」と歌詞カードをウキウキで開いたねじ子はひっくり返ったよ。
こちらにもアイドル批評ライナーノーツが付いている。クイックジャパン風でとてもいい。
さらにこの曲は元ネタがある(という設定になっている)。なんとシオカラ地方に伝わる伝統民謡である。その名も「元祖正調塩辛節」。シオカラーズは、子供の頃にこの曲を民謡選手権で歌い、優勝したことがデビューのきっかけとなった(という以下略)。こちらもすごくいい曲だ。
これだけ作り込んだ世界観を一つのアルバムに丁寧にパッケージできていることが素晴らしい。
3位 スカッと My Heart / モーニング娘。’15
つんく♂にしか作れない、アイドル・ファンクの真骨頂。鞘師のビートの利いた低い声がよく似合う。マイケル・ジャクソンの群舞を彷彿とさせるダンスも素晴らしい。センターでバキバキに踊る鞘師はまさにマイケルのようである。衣装もかわいい。歌詞も、鞘師のことをそっくりとうつしとったような歌詞だ。この曲は鞘師だよ鞘師。鞘師の曲だよ。2015年の大晦日に突然卒業した鞘師のための歌詞で、メロディで、ダンスだよ。
鞘師は求道者である。我々には彼女のダンスはこれ以上ないほどの理想型に見えるのに、鞘師本人はライブDVDやテレビで自分が歌い踊っている映像を見るたびに、絶望に打ちのめされていたという。鞘師の脳内には完璧なダンスのスタイルがあって、今の自分はまだそこに達していないとずっと感じていたらしい。鞘師が自分で未熟だと思っている「今の自分の表現」も、他人から見れば十分にハイレベルで、誰も真似できないのだが、そんなことは彼女には関係ないのだ。鞘師は天才であるがゆえに、自分のダンスの「あら」が見えるのだろう。そしてその「あら」に耐えられないのだ。だから彼女は「ダンスを勉強しなおす」と言って、海外に留学しようとしている。鞘師は、脳内の理想型に少しでも到達するためにさらなる高みを目指すのだろう。彼女の脳内にある「完璧なダンス」は、我々凡人には想像もできない。彼女の脳内にしか、それはない。レオナルド・ダ・ヴィンチがモナリザの完成形を求め、死ぬまで筆を入れ続けたように、鞘師は芸事に求道し続けていないと心が死んでいってしまうのだろう。だから、鞘師が「完璧を追求したい」と言い出したら、もう誰もそれを邪魔することはできない。それを止めたら、泳ぎを止めたマグロのように彼女の心は衰えていってしまう。実際、2015年の春から夏頃の鞘師には迷いと戸惑いが透けて見えていたように感じる。モーニング娘。卒業を決めた後の彼女は、一転してとてもすがすがしく、新しい目標に向けてのびのびしていた。そしてとても魅力的だった。これが私の鞘師評である。
鞘師がモーニング娘。に加入したとき、そんなストロング・スタイルの女性アイドルは絶無だった。異性に媚び、業界の偉い人に媚び、握手会で太い客に媚びる。歌は口パク、踊りは盆踊り。それが女性アイドルの圧倒的なスタイルとして旋風を巻き起こしていた。彼女はそんな世間の風はどこ吹く風、といった涼しい顔でモーニング娘。に入ってきた。当時のモーニング娘。は人気も地の底であり、スキャンダルまみれで、どこにいっても「まだ続いているの?解散すればいいのに」「AKBに完全に負けたよね」と言われる状況だったけれど、そんなことはまったく意に介さず、堂々と「幼稚園のころからずっとモーニング娘。に憧れていました。私の夢が叶いました」と語っていた。そしてびっくりするほど上手に舞い踊った。広島の、たった12歳の子供が。
彼女がどれだけ私たちの希望だったか、はかりしれない。9期は、鞘師は、私達にとって明けの明星だったんだよ。こんなにも有望な子が、娘。に入ってくれただけで嬉しかった。5歳の頃から娘。に入るために広島でレッスンしてきたという話を聞いて、心揺さぶられずにはいられなかった。今でこそ「プラチナ期」とか言われて崇められてるけどさ、当時は新しい展開が長い間何一つなくて、新メンバー募集すらなくて、モーニング娘。は閉塞感 に覆われていた。「娘。はこのまま店じまいするのかもしれない」と本気で疑う状態だった。彼女のおかげで、ハロプロは首の皮が一枚つながったのだ。
彼女の実力至上主義は幅広く伝わり、ハロプロに新しい風を吹き込んだ。他のアイドルとの差別化に成功し、多くの女性ファンの共感を呼んだ。大量の女子がハロプロにまた入ってきてくれた。モーニング娘。の現場はいよいよ半数近くが女性ファンになってきている。信じられない。これは確実に鞘師(と9期10期11期とスマ2期)の功績である。鞘師最後の武道館で「マジですかスカ!」が始まった時、モーニング娘。に9期が入ってくれた時の喜びがぶわっと蘇ってきて、ねじ子は泣いてしまったよ。
正直に言うと、鞘師卒業の一報を聞いたときは、そのあまりの性急ぶりと、夏頃の休養(朝布団から立ち上がれなくなった)の記憶からなんらかの精神疾患の可能性が頭をよぎった。精神疾患の患者さんは、症状が激しい時期に大きい決断をしようとしがちである。そんな時はとりあえず決断を先延ばしにさせる。精神科の教科書にも載っている定石だ。「それなのに鞘師は、精神が落ち込んでいるときに重大な決断をしてしまったのではないだろうか?それは悪手だよ!周りが守ってあげなくちゃ!」と一瞬思ってしまった。私の心も絶望で塗りつぶされた。でも、武道館で鞘師の晴れ晴れとした姿を見たら「そんなの私の勝手な杞憂だ」ってわかったよ。鞘師はちゃんと考えて結論を出した。周囲と喧嘩したわけでもなかった。本当によかった。私は、鞘師ならモーニング娘。に帰ってきてもいいと思ってる。2年後だってまだ19歳だ。アイドルとしても、表現者としても、まだまだこれからという時期である。彼女の帰還を楽しみにしている。
4位 ラブ♡ボクシング / 清竜人25
何も言わずにMVを見てほしい。真ん中のアフロの男性がすばらしい。彼の名前は清竜人くん。シンガーソングライター。ちなみに一人の時はこんな音楽をやっていた。全然違う。宇宙人のジギー・スターダストがリーゼントてかてかにしてレッツ・ダンスするヤング・アメリカンになるくらい違う。ずいぶんと吹っ切れたもんだ。
周りの6人の女性はみんな彼の妻(という設定)。メンバーは「第○夫人 清●●」という名前で呼ばれる。結婚しているから、女の子たちの名字はみな「清」。清竜人25は、清竜人というフロントマンと、その6人の夫人で構成された一夫多妻(という設定の)ユニットなのだ。
こうなるともう、誰も恋愛禁止とか言わない。だってみんな清竜人の妻だから。アイドルが異性のからむ仕事をすると、ファンの間には必ず「誰かメンバーに手を出しているんじゃないか」という疑念が出る。相手がプロデューサーでも監督でも作詞作曲でもバックバンドでも、そう。それゆえに男女混成ユニットは人気が爆発しにくいとも聞く。でも、そんな疑念も発生しやしない。だってすでにみんな妻だし。むしろ、ここまでいくとメンバーの誰にも手を着けていないんじゃないかって思えてくる。よく考えられた仕組みだよ。
ちなみに第5夫人の清菜月ちゃんは先日活動休止を発表した。卒業理由はなんと「ご懐妊」である。マジかよ。こうなると、なぜか清竜人の子供とはみじんも思わないんだから人間って不思議である。まったく、よくできた設定だ。ご懐妊おめでとう。
そしてなにより、抜群に曲がいい。先ほど「アイドル・ファンクはつんく♂にしか作れない」と書いたけれども、清竜人はつんく♂の後を一人猛追している音楽家だと思う。新しい形の和製アイドル・ファンクだ。ファンク歌謡が大好きなねじ子は狂喜乱舞しております。ちなみに清竜人25のアルバム「PROPOSE」初回限定版amazon販売ページの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」には、ずらりと岡村靖幸が並んでいた。そうだよねぇ。みんな和製ファンク・ミュージックに飢えているんだなぁ。わかる、わかるよ。私もそうだよ!
5位 STAR TRAIN / Perfume
今年の女性アイドル市場はさんざんだった。ハロプロのみならず、ほかの女性アイドルものきなみ売り上げを落とし、動員を落とし、解散やメンバーの脱退が相次いだ。膨れ上がったアイドルバブルは徐々に終息に向かっているのだろう。まあハロプロは何も変わらずに続いていくのだろうけれど、市場全体が冷え込むのは望ましいことではない。
そんな中でPerfumeは唯一、その魅力をさらに増した女性アイドルグループだった。Perfumeがブレイクして幾星霜、あまたのエピゴーネンが生まれ、握手アイドルの台頭があり、そのついでに口パクだと叩かれ、きゃりーぱみゅぱみゅの流行があり、数々のお祭り騒ぎが起こっても、そのすべてを素通りしてPerfumeは地道に音楽をやり続けている。その姿は美しい。結局、誠実に作品を作り続けているところは順当に生き残るんだな。希望のもてる結末だ。この曲のサビの「I don’t want anything」「Music is everything」は、彼女たちの誠実なたたずまいを象徴するすてきな歌詞だと思う。
6位 Vanguard / JAM Project
私が今年一番たくさん聴いて、一番口ずさんだアニメソング。JAM PROJECT最高。影山ヒロノブ最高。歌詞もいいし、曲も文句なく熱い。歌唱力も一級品だ。でも2011年なんだよね。再放送で見た『カードファイト!! ヴァンガード』アニメの第1期シリーズも面白かった。
7位 マジカル☆チェンジ / マジカル☆どりーみん
女性アイドル関連で2015年私がもっとも衝撃を受けたのは、ドロシーリトルハッピーの分裂劇であった。ドロシーはもともと、メインのお姉さん2人と、若い3人の合計5人で構成された仙台ローカルアイドルである。まさにその名の通り、小さな幸せを届ける田舎の純朴な少女たちそのものという上品な立ち振る舞いで、歌唱力もあり、惹かれることも多かった。
今年の初旬から、若い3人が「グループ内ユニット」としてcallmeというユニットを始めた。そこまではいい。ある日突然、callmeのイベントで3人が上京し、独立・分裂することが発表されたのだ。同じ日に、違う場所で、残された2人も泣きながら分裂を発表した。この時点で、平和に話し合いが行われたとは到底思えない展開である。しかも、分裂するまではあと3ヶ月もあり、その間シングルリリースもコンサートも行うというのだ。どんな顔をしてそれを見ればいいのだ。大人の事情の臭いしかしない。
この分裂劇を、誰がどんな目的で仕掛けたのかはわからない。でも、提供された結論はクソ。どうしようもないほどクソな結末としか言いようがない。ジュエルペットのオープニングとエンディングという大きなタイアップ中にそんなことをしでかしたエイベックスの大人たちには猛省してほしい。「ジュエルペットと一緒にたまプラーザでリリースイベントやるよね!ドロシーちゃんなら見に行きたいな!」とウキウキして発売週を待っていたねじ子の純粋な気持ちを返してほしい。分裂させるつもりなら、アニメのタイアップなんか取るなよ!ジュエルペットに失礼だろ!放送開始日からわずか24日で分裂発表しやがって!さらに、実際の分裂はけっこう先で、エンディング曲発売日の2ヶ月後っていうね!当然、ジュエルペットのアニメの間に流れるCMでは5人とも映っているっていうね!こいつら半分以上いなくなるんだよ!?どういう気持ちで見ればいいのさ!?とてもCDを買う気になんかなれないよ!当然のようにシングル発売のイベントはいっさい開催されず、売上も散々であった。
極めつけは、5人体勢最後のコンサートでの最後の挨拶だ。出ていく方のグループのメンバーが不安を口にして次々と泣きだし、果ては残る方のリーダーの挨拶中に、出ていく方のリーダーがガチの口喧嘩をふっかけ、言い争いをはじめたのである。もう笑っちゃうよね。笑うしかないよ。小さな幸せを届ける田舎の純粋な少女たちが連れていってくれた魔法の国は、いったいどこへ行ったんだ?もうこうなってしまったからには、ドロシーリトルハッピーの2人もcallmeの3人にも頑張ってほしいけど、エイベックスの大人たちには「客を舐めるのもほどほどにしてね☆」という言葉を送りたい。……と、ここまで書いたところで、SMAPがさらに下をいく醜悪な展開で解散騒動に巻き込まれていた。いやー、ドロシーの分裂劇のほうが、本音が聞けたぶんだけ、まだマシだったな!よっぽど面白かった!SMAPについては企業のメンタルヘルス管理的に看過できない状態なので、また改めて書きます。
話がそれた。で、この曲はオープニング曲。ドロシーリトルハッピーとGEMとX21(すべてエイベックス所属)という3組のアイドルグループから2人ずつ選抜された、計6人の選抜ユニットである。ドロシーリトルハッピーから選抜された2人は、違うグループに分裂しちゃいましたとさ。ちゃんちゃん。そんなことやってるからアニメのジュエルペットが終わっちゃうんだよ!いや、ジュエルペットが終わることにエイベックスは関係なかったな。すまない。「SNS向け銀魂」であるところの「おそ松さん」があれだけ受けているのに、「女児向け銀魂」ともいえる「ジュエルペット」シリーズが終わってしまうとは、ねじ子の厭世感も増すばかりである。「本物の銀魂」こと、週刊少年ジャンプの銀魂の連載も最終章に突入するらしいしなぁ。はぁ。
8位 Friend List / スプラトゥーンサウンドトラックより
2位と同様、スプラトゥーンのサントラより。ロックンロールの楽曲が大衆に影響を与えなくなって久しい。そもそも、ロックンロールはきちんと現代の若者の心にも鳴り響いているのだろうか?アメリカではもうロックなんてGeekしか聴かない音楽になっていると聞くし。TVでもアニメのOPとEDでしかロックンルロール・ミュージックが流れないし。ギターとベースとドラムの三重奏が生み出すグルーブを何よりも愛しているねじ子はとっても心配です。そして確かに、私の心の中でも新しいロックンロール・ミュージックが鳴り響く機会が減ってきました。そんなねじ子が今年もっとも聴いたロックンロール・ミュージックはスプラトゥーンです。これでいいのでしょうか。
9位 Firework / Czecho No Republic(チェコ・ノー・リパブリック)
あ、これはロックだな!中島早貴ちゃん目当てで見始めたテレビ東京系コント番組「SICS」のエンディングで知った曲。「SICKS」は非常に面白かった。最初は、ネットで散見される極端な人たち(腐女子・処女厨・既婚女性・ハメ撮り流出など)の特徴を拾い集めて揶揄しているだけの、ありがちなコント番組だと思っていた。ところが実はすべてのコントに伏線がはりめぐらされていて、回を重ねるごとに着々と謎が解かれていき、最後にはすべてのコントがつながって一つの大きなバイオサスペンスドラマになっていった。SFでもあり、銃撃戦もあり、アクションもあり。その中で、女性向け同人作家であるリコポン(中島早貴ちゃん)は、相方のマユ吉先生とともに世界を救うヒロインになっていく。
私自身がオタク女であるがゆえに、当初は「はーん。ネットで必死に集めた情報から、現実にはありえない腐女子像を勝手に作り上げられて、笑いの対象にするやつね!」というありがちな憤慨を覚え、斜にかまえて見ていた。映画『ティファニーで朝食を』のステレオタイプで戯画的な日本人「ユニオシ」を白人俳優が演じて笑いを取っているのを見るような、白けた気持ち。でも、回を重ねていくとそんなのどうでもよくなるくらい脚本が面白かった。
「nkskにはオタクっぽい要素なんてないのに、どうしてこんな役にキャスティングされたんだろう?」という疑問は、その後、彼女が「騙されやすいアイドル(略してサレドル)」になった瞬間に吹き飛んだ。これは確かにはまり役だ。nkskちゃんってば日本一・大人に言われたことそのままやっちゃいそうなアイドルなんだよ。彼女の巻き込まれ力は異常だよ。嬉唄ちゃんの脱退を皮肉った寸劇をやらされたりとかさ、よろセ(以下自主規制によりカット)とかさ。
10位 シャクシャイン / 水曜日のカンパネラ
水曜日のカンパネラを初めて聴いたときのねじ子の勝手な感想は「ニコニコ動画系・ピチカートファイブ」。ピチカートは渋谷系、つまり東急鉄道沿線の雰囲気を漂わせたハッピーでキャッチーなお洒落ソングだったけど、これはネットカルチャーの雰囲気が充満した、ダウナーで、けだるくもグルーヴィーなお洒落ソングである。
私は音楽に疎いので、彼らの音楽のジャンルはわからない。あえて言えばヒップホップなのかな?ファッションアイコンとして完璧な女性・コムアイのボーカルと、打ち込み音楽家ケンモチヒデフミとの幸福な出会い。その結果生まれる音楽。その化学反応ぶりが、ピチカートファイブの野宮真貴さんと小西康陽さんによく似ているのだ。
歌詞にはぶつ切りの単語とダジャレと語呂合わせが多用されている。でも決してバラバラではなく、きちんとつながった言葉が散りばめられている。イメージからさらにイメージを引き起こしていくかのような歌詞だ。早口言葉っぽいとも、Wikipediaっぽいとも言える。音楽とリズムが何よりも大切で、音符に乗りやすい単語を順番に乗せていくとこんな風になるのだろうか?私は好きだけど、好みの分かれる歌詞だと思う。ライブだとこんな感じ。ディス・イズ・サブカルチャー。
以上です。次回はハロプロ楽曲ランキングでお会いしましょう。