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医師兼漫画家 森皆ねじ子

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完璧手技第7回 胃管挿入&胃洗浄

今回のテーマは胃管挿入と胃洗浄。よーするに鼻または口から、胃までの管を入れることです。毒をいっぱい 食べちゃった人・吐血した人・経口でものが食べられない人の栄養補給など、様々な用途で使われます。今回はその中でも大量服薬したときに行う胃洗浄につい て御紹介します。

国試には毎回とってもマニアックな「これ飲んだ時どうする」問題が出ますネ。解けませんネ。はっきり言いましょう。臨床においては解けなくていい んです!!個々のケースはとても覚えきられるもんじゃありません。困ったときは中毒の本を調べるか中毒センターにお電話しましょう。救急外来には、自殺目 的で色々なものを飲んだ猛者たちが現れます。洗剤・大量の薬剤・漂白剤・農薬・絵の具・体温計の水銀まで。「これ、飲んだら体に悪いだろうなぁ」と思うご 家庭の中のモノは、大抵において大丈夫です。精神科系の薬剤の多くは致死量は5万錠いっぺんに内服だったりしますし。実は、誤飲しても何の処置も必要ない 事がほとんどだったりします。

意識のある患者さんにとって、胃管挿入はまさに鼻の中に蛇を突っ込まれるようなもの。苦しいです。でも、麻酔をすると意識レベルが落ちます。ただでさえ睡眠薬の大量服薬だったりする患者さんの意識レベルをこれ以上下げたくはありません。肺への誤嚥の危険も増えるし。というわけで、たとえ苦しくてもそのまま胃洗浄するのが現状となります。

 

これが胃管だ!

何事も、まず、下準備から

胃管挿入

意識のある人で失敗することは、ほとんどありません。でもでも。意識のない人は非常に入りにくい。麻酔下の挿管された人や、意識の全くない薬中など。これはひとえに「ごっくん」ができないからです。

胃洗浄

さらに大量のオクスリやら農薬やらの「毒」を飲んでいるときは、それらが吸収されないようにするため、

①活性炭 → 胃の中に残っている毒を吸収してくれる(炊飯器に活性炭入れて炊くとおいしくなるのと基本的には同じ原理。)
②下剤 → 胃よりも進んでしまった毒を、吸収される前にさっさと下してくれる

の二つのカクテルジュースを入れます。真っ黒でジャリジャリしてすげぇマズいです。口から飲める人には飲んでもらってもいいのですが、ま、大抵の人は無理なので、胃管から入れます。

※ 催吐 について

国試において、催吐と言えば「意識障害時は禁忌」だの「強アルカリと強酸となんかとなんかが禁忌…あぁ思いだせん」だの皆様途方に暮れているでしょ うが、実際には、ねじ子、やったことありません!!誤飲の際、ご家庭では最もやる方法でしょうが(ねじ子も幼少のみぎりに漂白剤を誤飲し、母親にやられま した)病院ではあまりやらないのが実情です。その原因は

①日本には催吐剤が発売されていない
②よって舌圧子突っ込んだり非常に原始的で乱暴な方法しなくちゃいけない
③禁忌が多くて怖いし、禁忌じゃないときは、むしろ胃洗浄の方が効果的
④ご自宅でやっている
⑤そしてご自宅で吐けない時に病院に来る

などでしょうか。