完璧手技第5回 採血
今回は初心に戻って、採血の巻です。どんなに「学生には何もやらせん!!」という大学であっても、さすがにこれぐらいはやらせてもらえるんじゃないでしょ うか。そんな、医療手技の基本であり、最も身近な検査であるところの採血。実際は、民間病院においては看護師さんや検査技師さんがザクザクと連日連夜採っ てますので、はっきりいって医者よりも格段に上手です。逆に大学病院では研修医が採血義務だったりするので、病院で一番採血が上手いのは、教授よりもナースよりもオーベンよりも、熟練の研修医だったりします。
駆血帯の締め方
皆さんゴムタイプ使ったことありますか?ワンタッチタイプしか知らなかったねじ子は、研修で某民間病院に派遣された際、ただのヒモでしかない駆血帯をどうにもできず、思わず蝶結びしてしまいました。その後2ヶ月間ナースステーションでのもの笑いの種にされていたそうでしゅ。トホ。
血はどのくらい採ればいいの?
我が施設での採取料はこんなもんです(大人)
血算(2ml)
生化学(3~6ml)
感染症(3~6ml)
凝固(2ml)
血沈(1ml)
血液型(7ml)
スピッツの頭の色によって、どれが何か見分けましょう。施設によって全く違うので、とりあえず自分の施設のことだけ覚えればOKです。必要量も書いてあります。足し算しましょう。ちなみにねじ子は宇宙の風に乗って空も飛べるはずなスピッツの大ファンです。
※TERUMOさんの針の色が変わりました。世界的なカラーコードであるISO規格に準じるようになりました。現在の針の色は上の表から一部、以下のように変更しています。
19G…クリーム色
24G…紫
25G…オレンジ
26G…濃茶
いろんな針
直針と翼状針、どちらかを使うことが多いです。真空採血なんていう変わり種もあります。
何事も前準備
これまでの完璧手技でも散々言っているように、まずなによりも下準備が大切!特に下手くそなうちはネ!
採血は多くの場合、誰も手を貸してくれず、一人でやります。全てを手の届くところに準備してからやりましょう。
血管選び
大抵は、ちゅうか(肘の内側)に良い血管が見つかります。でも最初はどれが良い血管なのかもよくわからないよネ!「さわって触れる」のが良い血管です。決して「紫に浮いて見えるもの」ではありません。勿論ベストは「さわって触れて、かつ色が付いている」血管ですが、実際はそう上手くは行かないのが現実。血管選びは採血や点滴がサクっとはいるための最も重要な要素なので、じっくり時間をかけて選びましょう。
手技はいたって簡単。
ちく。すすめる。逆血が来た。ちゅーーーーーー。これだけ。
しかしこれが難しいのよね、最初のうちは。
固定が大切
最初は上手く血が引けてたのに、途中から手がぶれちゃって、突然血が引けなくなること、ありますよね。 どこか一点を支点にすると、手のブレや震えがなくなります。逆に宙に浮かした状態で持っていると、自分では絶対に動かしたつもりもなく、どんなに力をかけていても、必ず動きます。それはどんな手技でも格闘技でもゲーセンのジョイスティックでも同じです。
失敗の典型
・血管に逃げられた!! → 皮膚にテンションをかけることが大事。
・血管破っちゃった!! → 針を入れすぎですな。大抵腫れてきちゃうので、あきらめてもう一回やり直し
・引いても引けない・・・ →
1途中で針先がずれた(一点で支えるテクを身につけましょう)
2実は血管内がすげぇ脱水(駆血帯を結びなおしたり、患者さんの手を揉んでみたり、あきらめて別の所から採り直したりしましょう)
3時間かけすぎて凝血した(これまた初心者にありがちな失敗。やり直しましょう)
ビギナーほど「一発で決めなきゃ!患者さんに悪いし!!」とか思って焦ってしまいますが、実際は、一発で取れなくてもいいんです。採血は最も副作用が少ない手技なんですから。友人同士でも良いから、いっぱい失敗して、上手になりましょう。