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医師兼漫画家 森皆ねじ子

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完璧手技第3回 縫合

先生が夜なべをして傷口縫ってくれた~♪

ねじ子の全然完璧じゃない完璧手技、今回のテーマは「縫合」です。いよいよ手技らしくなってきました。

「縫合」と一口に言っても、実に様々です。開腹した後に腹を閉じる、さけた腸を縫う、指切っちった痛いよー、それぞれ縫い方が違います。そんなのいちいち覚えていられないよね!全ての縫合術を覚えるのはわれわれひよっ子には不可能。われわれに必要なのは、とりあえずどれか一つをマスターすることです。あとはきっとそれの応用です。というわけで今回は、皆さんが当直デビューしたら必ず一度は巡り会う、簡単な皮膚縫合をやりましょう。最近はOSCIでやるところもあるようで、この間学生さんにやってもらったらマジ上手でねじ子びっくりしました。

おでこを転んでぶつけた、カッターで手首切った、自転車に引っかけたなど、皮膚の「ぱっかりわれたキズ」は、本当によく救急外来に来ます。そしてその日当 直の研修医が、おっかなびっくり縫合をしております。てへ。例え自分が皮膚科医や形成外科医じゃなくても!専門じゃなくても!です。キズが筋肉まで達して いたら整形外科のセンセイを呼んだ方が身のためですが、キズが浅かったら、その場にいる人間がちゃちゃとやってしまうのが夜の病院の現実で す。縫合が大雑把か小雑把か、下手くそか上手かは、患者さんにとってはかなりの大問題ですが、医療人にとっては『そこにいる人』が『とりあえずやらなけれ ばならない』のですな。悲しいかな。本当に「綺麗に」縫いたいとき(未婚女性の顔など)は、その場にいる一番上手いセンセイに頼むか、お近くの形成外科を 紹介しましょう。

用意するもの

大体どこの救急外来でもこんな縫合セットが用意してあります。「この漢字なんて読むの?もちはりき?」なーんて貴方は5月号を見てネ!詳しく載っているヨ!

糸の太さって…
(注意! 下の画像はねじ子の完璧手技連載当時のもので、糸の太さについて「1-0はゼロより細い」とありますがそれは間違いです。正しくは「1-0とゼロは同じ太さ」です。『ねじ子のヒミツ手技1st』や『平成医療手技図譜【手術編】』などでは訂正されています。)

綺麗にしましょう

消毒のお薬は「イソジン」が一般的。そう、あのうがい薬イソジンの消毒用です。色が茶色くて嫌~という方には、色々な透明の消毒液(オスバンだのヘ キザックだの)もありますのでそれを使いましょう。ちなみに!くれぐれもアルコール綿をキズには使わないように。めっちゃしみます。

ちなみに土砂が入っているときなどは生理食塩水で洗浄&歯ブラシでゴミ取りしないと、ゴミがキズに埋まって、入れ墨の如く色が残ってしまうので、気合いで全部取りましょう。

まずは局所麻酔を

針を何度も何度も刺す訳ですからとっても痛い。麻酔なしでやろうものなら痛くて患者さん跳ね上がってしまいます。かの有名な「1%キシロカイン」を刺しまくりましょう。

いよいよ縫合

麻酔が効いてきた頃にいよいよ縫合です。


器械結び

今回は持針器を用いた結び方を御紹介。「器械結び」です。針から糸を外さないで結ぶことができて、針や糸をケチりたいときなどに便利です。

ちなみに、多くの外科の先生が「糸結び」と言った時、それは「手結び」のことを指しています。腹腔内など、深い所などは機械だとがちゃがちゃして しまうので、糸を針から外して、手で結びます。というわけで外科医や産婦人科医や整形外科医は手結びが得意になり、逆に皮膚科医や形成外科医や眼科医は機 械結びが得意になるのですな。まぁどちらかができればとりあえずOKです。

手結びにはだいぶ慣れているけど機械結びがまったくできない貴方は「手結びは得意だけど機械結びは初めてで」と言い訳し、手結びの方法をド忘れしてしまった貴君は「機械結びにばかり慣れてしまって手結びを忘れてしまいました」とか言っておけばとりあえず格好よさげです。

前立ちで外科のオペ見学しているときなど、皮膚縫合になったらすかさず「皮膚縫合やらせてください!」とか言ってみましょう。運が良ければやらせてくれる はずです。ちなみに「さあようやっと皮膚縫合だ!出番が来た!俺にやらせてくれ!」・・・とか思ったとたんにステープラーが出てきて、ガチャガチャ留めら れちゃったりして。おじゃんなのネ。

他にもいろんな縫い方が。

もしももっと深かったら中縫いをします。

かなり大きく離れていて、強くテンションをかけて縫いたいときは、マットレス縫合をします。

ほか。

抜糸

某形成外科の先生などは抜糸に消毒はいらない!と高らかに宣言していたりもします。