『クラシカロイド』二期のクラ・クラがたぐっちとれなしに見えてつらい 今から愚痴を書きます。
私はこぶしの辞めた三人が好きだった。昨今のハロプロは私の好きな子から順に辞めていってしまう。大上先生には「いや、あなたの好きな子から辞めていくんじゃなくて、あなたの好きな子だから 辞めちゃうんでしょ」と言われた。そのとおりだ。私は、不条理を我慢せず、与えられた椅子を蹴って、自分で自分の人生を切り開いていく決心を固めちゃうような気丈な女の子が好きなのである。若さ故の無鉄砲なのかもしれない。でも、ロックってそういうものでしょ。モーニング娘。って、ロックボーカリストオーディションから作られた集団でしょ。デヴィッド・ボウイも言っているではないか。「若者が怒りの精神を持ったり、刹那的な振る舞いをするのは大事なことだと思うよ。若いってのは、そういう事なんだからね。でも、それはやがて過ぎ去って新しい視点を持つようになる。その段階に至る為には、そういう無鉄砲な時期が必要なんだろうね」と。
思えば最初から、私は福田明日香が好きだった。当時は「推しメン」なんて言葉はなかったけれど、私の最初の推しは福田明日香で、人気絶頂の中一人違和感を感じ、静かに辞めてしまうような心の持ちようが好きだったのだ。
藤丼もたぐっちもれなしも、私はまったく悪いとは思っていない。むしろ当時の彼女らを取り巻いていた状況を思えば「そりゃ辞めるわ」と思う。彼女たちが憧れて入ってきた頃のハロプロはもうないのだ。あの頃はつんく♂がいた。今はもういない。これは思っている以上に大きな変化だと私は思っている。
この変化の差は、当時「おはガール」レギュラーの仕事がありながらもある日突然いなくなってしまったサキチィに対する、つんく♂からのお知らせを振り返ることでもよく分かる。
スマイレージに関する大事なお知らせ
「また、本人はまだまだ未熟な学生で未成年です。
社会人なら仕事を途中で投げ出すようなことは許されないのかもしれませんが、
彼女のまっすぐな気持ちをご考慮いただき、どうか温かく温かく見守ってあげてほしいと
願っております。」
藤丼とたぐっちに対する西口社長から出たお知らせとの差は歴然としている。二人に関するお知らせは脱退の責任をすべて未成年女子にかぶせる内容であった。本当はいったい何があったのかは知らない。知るよしもない。でも、本名で、素顔を完全にさらして、青春を投げ打ってアイドル活動をしてきてくれた未成年の女子に対するデジタルタトゥーとして、あまりにひどい文章であると私は感じた。財産も地位もある会社上層部の人間がただ自分の保身だけを考えた末に出てきた文章に、私には見える。自己保身ばかりで、メンバーへの愛がない。リスクを冒して大切な思春期に長期間活動してきてくれた女の子への感謝の念がまるで見えない。彼女らは、いくらステージの上で大きく見えても、板を降りればただの小さい女の子だ。当然社会的に弱い立場である。しかも彼女たちにはこれからも長い人生がある。日本女性の平均寿命を考えればあと60年はある。この先の人生の方がずっとずっと長い。
結局、私はいまだに、藤丼とたぐっちに対する事務所からのお知らせの文章を許容できていないのだ。つんく♂のいないハロプロという組織に、希望が持ちにくい理由の一つでもある。
そもそも、これまでのハロプロという組織はつんく♂が父親だった。それは変えようもない事実だ。女の子たちは、つんく♂が親だと思ってハロプロに入ってきたのである。メンバーの親だって「いざとなったらつんく♂さんが守ってくれる」と思っていたからこそ、不安定で危険な噂が絶えない芸能の世界に、大切な子どもを預ける決心をしたんだろう。それなのに、現在のハロプロは、ある日突然つんく♂という実父と引き離され、突然あらわれた知らない人間が継父を名乗り、しきっている状況である。しかもこぶしファクトリーは当時唯一つんく♂のオリジナル曲が与えられていなかった。そりゃ家を出て行く決意をする子もいるだろうし、継父に反発する子も出るだろうし、そんな人事を行った上層部を憎く思う子もいるだろう。当たり前だ。
突然仕事をやめるだなんて無責任?何を言うのか。そういう不安定さこそが、思春期の少女だろう。思春期の子どもの不安定さや刹那的な振る舞いを消費し、楽しむのがハロプロのアイドル文化である。こんなときだけ格好つけて、建前を押し付けないでほしい。人格的にも肉体的にも成熟して安定している女性を応援したいなら、成人女性を応援すればいいのだ。そんな文化はたくさんある。AKBに行くなり坂道を登るなり女優なり声優なりキャバクラなり風俗なり普通に彼女を作るなりして、成人女性をたっぷり愛すればいい。安定して仕事もできる、契約で縛ることもできる大人を。突然いなくなったり、情緒不安定になったりしない大人の女性を。その方がいいに決まっている。でも、ハロプロのファンはそうじゃないでしょ?事務所も違うでしょ?
ハロプロのファンも、事務所も、つんく♂も、結局一番好きなのは14歳の少女 なのだ。これは疑いようもない。もう少し幅を取るなら、8歳から17歳くらいまでの少女。初登場は若ければ若いほどいい。山のピークは14歳。まだ初潮も来てなさそうな少女を集め、ともに思春期を迎え、迷い、とまどい、ゆらぎ、ほころび、変化し、ときに無茶をし、心と体が成長する姿を楽しむこと。これこそが真のハロプロである。彼女らの若さと迷いと衝動こそがハロプロの真骨頂であり、つんく♂のアイディアの源であり、我々ハロヲタの生きる糧なのだ。思春期の少女の変化を楽しんでいるのだから、我々は彼女らの不安定さも同時に受け入れなければならない。 私たちは児童を労働させ、あまつさえそれを楽しんでいる鬼畜である。児童を働かせているくせに、情緒不安定や無謀さだけを責めるのはおかしい。当たり前だろ、思春期なんだから。
思春期の少女の無鉄砲さを許せないのなら、大人を応援すればいい。青春を通り過ぎた年齢の、自分の判断ができて強かな野心がある子はたくさんいる。ハロプロにだっている、宮崎由加ちゃんとか金澤朋子ちゃんとか飯窪春菜ちゃんとか。でも、彼女らはハロプロであまり人気が出ない。あくまでも傍流だ。ハロプロの主流はやはり、14歳までに加入した小さい女子と、その成長する姿なのである。 我々が愛しているのは思春期の迷いであり、ほころびであり、衝動であり、不完全ながらも成長の余地を残している姿なのだ。不安定だからこそ、成長する。そのどちらかだけを味わうことはできない。両方おいしくいただかないと。事務所のお偉いさんたちもね。どちらかだけなんて無理よ。
ちなみに今の日本の基準でこれはロリコンとされる。光源氏が紫の上を手篭めにしたのは13歳だし、ほんの少し前は普通に「ねぇやは十五で嫁に行き」と歌っていたのだから(数え歳で15だから満13~14歳のはず)歴史を考えればそのくらいの少女を神聖視するのは何ら不思議ではないのだが、現在はロリコンとされる。
というわけで藤丼とたぐっちとれなしは、我々のような鬼畜でロリコンなクズどものことはきれいさっぱり忘れて、自分の実力で自分にしかできない仕事を積み重ねて、自分の人生をつかんでいってほしい。次はもう誰からの評価も気にしないでいい。お偉いさんやお金持ちに気に入られなければ一生上にのしあがれない世界とは違う。異性の客や上司に、大なり小なり女性性を駆使して接しなければ生き残れない世界とは違う。自分自身の力で、誰にも奪われない評価を、自分の手でつかみ取っていくことができる世界に、あなたたちは帰ってきた。これからがあなたたちの人生だ。ふんばってほしい。あんな奇妙な契約解除の文章のことは忘れていい。何がハロプロのルールだよ、できるもんなら内容を明文化して発表してみろよ。公表することすらできないルールのくせに。思春期に思い悩むのも、さまざまなことをして自我の確立のためにあがくのも、その中で周囲の大人に反発するのも、怒りの精神を持つのも、当然のことなんだよ。それがなければ次のステージへ進めない。私だって18歳の頃はそうだった。
「本名であんな文章を残されたら、ろくなところに就職できないぞ」なんていう言葉はまったく気にしないでいい。それはただの呪詛だ。 そんなことを言っている奴らよりもいい大学に行くなり、いい資格を取るだけで、そんな呪詛は簡単に吹き飛ぶ。心配ない。キャリアとはそういうものだ。それでも、もし本当に就職に困ったら、藤丼もたぐっちも私のところにいらっしゃい。二人とも愛してるよ。れなしはきちんと定期的に病院に通ってね。お願いよ。
(2018.8.20 衝撃から一年ほど経過したのでアップロードしてみた)
2017年 ねじ子のハロプロ楽曲ランキング ここ三ヶ月ハロステよりもハロヲタステの方をよく見てるねじ子です、やっほーたい。今年はハロプロハーブが不足した一年でした。
いや、上半期は素晴らしかったんだ。集大成ともいえる卒業ライブが続き、悲しいながらもすがすがしい達成感のある充実したオタク生活を私も送っていたんだ。ところがどっこい、6月以降のハロプロは凄惨な別れと断絶がくりかえされるばかりで、私のやわなハートはぼろぼろである。単純に言えばみんな辞めすぎだし、グループは解体だの増員だので変わりすぎだし、結果どれも没個性になっているし、肝心のリリース活動は縮小しすぎである。困ったもんだ。
ハロプロが「アイドルの公務員」と揶揄されていた時代は終わった。父親のようにメンバーを長年守ってきたつんく♂もハロプロを去った。メンバー採用時の契約や雇用条件も徐々に変わっているのかもしれない。メンバーは大量に登用され、次々に辞めていく。時代に合わせてついにハロプロも、薄利多売の使い捨て商売に足を踏み入れたのかもしれない。
私は女性アイドルとの握手にもハイタッチにも2ショット撮影にも興味がない。でも、それらはお客さんにとても人気がある。お金も儲かる。接触商売と色恋商売は身の危険と隣り合わせの肉体労働だから、続けているアイドルはどんどん消耗し、辞めていく。既存のメンバーは次々と脱落し、新兵のように若いメンバーが投入されるも、見せ場を作ってもらえる機会もないままに続々と消えていく。サイクルだけがどんどん早くなり、結果として、女性アイドルという職業は「使い捨ての駒」になる。残念ながら、そこに愛はないし芸術もない。
私はただ、愛を持って長期的にメンバーを育てつつ、誠実に音楽を作り、「生歌で」踊るライブを続けてくれれば、それでいいのだが。ハロプロは20年間そうやってきたはずなのだが。現状はそれも難しいのだろうか?日本のポピュラー音楽を支える環境はそこまで困窮しているのだろうか?CDが売れず、Youtubeに対応できず、ものづくりもおぼつかなくなって、年端もいかない女の子に握手させるしか金儲けのアイディアが残っていないのだろうか?ひょっとして業界全体が破綻の道を進んでいるの?そんなのいやだよ。しっかりと音楽を作り続けてくれさえすれば、私はいくらでもハロプロという楽園に踏みとどまれるんだ。つんく♂という偉大な音楽家、兼父親のいなくなったハロプロに果たしてそれが可能なのだろうか?私にとって今後のハロプロは未知の領域に突入する。
私自身はつんく♂さんに帰ってきてほしいと思っている。特にモーニング娘。に関してはつんく♂さん以外の作品を求めていない。私はモーニング娘。をつんく♂さんの名の下に「作家買い」している。
そもそも鑑賞や評論というものは、どうあがいても作者に依存されて行われるものだ。それがさだめである。サラリーマンの給与の範囲で買った名もない仏像でも、運慶作だと判明したとたんに数十億円の値がついてサザビーで落札されるのだ。かくいう私も、三島由紀夫の長編小説が好きだから、彼の糞みたいな男尊女卑観満載のエッセイも我慢して読むのである。糞だけど。一人の作家を好きになったら、その人の全集を読む。それが鑑賞であると、私は高校時代に教わった。そしてモーニング娘。はつんく♂の全集であり、つんく♂の作品集だ。ほかのものはいらない。それがどんな名曲であっても、ほかのものはいらないんだよ。
正直に言えば、つんく♂さんという「がんサバイバー」に対する事務所の対応に、医者として少なからず憤りを感じている部分もある。もし発表されている病状が「事実ならば」、つんく♂さんの5年生存率は90%以上あるはずだ。つまり、ほとんどの場合、このまま生き延びる。逃げ切れるはずなのだ。「10%も死ぬじゃん!」と言われても、普通に生活している人間だって事故で突然死ぬことはある。「おまえ将来、交通事故で死ぬかもしれないからクビね」と言われたら、これはかなりの理不尽であり、誰もが就業差別だと思う。「おまえは5年後に10%死んでるかもしれない」という理由でつんく♂さんのライフワークを取り上げてしまっている現状に、私は結局、納得ができていないのだ。ただでさえ生きるのに不安と苦痛がともない、治療に結構なお金と時間がかかる「がんサバイバー」の皆さんを、さらに苦しめることになってしまう。そんなのは医者として認められない。「がんサバイバーから仕事を取り上げるな!つんく♂さんは私の心を何度も闇からすくい上げてくれた、命の恩人なんだよ!彼を排除した事務所を許せない!」という、非常に子どもじみた憤りにとらわれてしまうことが、正直に言うと何度もあった。
※ちなみに、がんになっても仕事を辞めない・辞めさせないことは、今の日本の医療におけるスタンダードである。がん患者の就労支援の取り組みとして、厚生労働省も「今すぐに仕事を辞める必要はない、と患者に伝えろ」 と基幹病院にお達しを出している。
実際は発表されているよりも病状は重いのかもしれない。私からは見えていない真実だって、きっとたくさんあるだろう。私の憤りは、ただ一面からしか見ていない短絡的な思考である可能性が高い。それでも私は、今後何が起こっても、少なくともモーニング娘。だけはつんく♂さんの意のままに音楽をやらせてあげてほしいと思っている。
12月に発表されたモーニング娘。の新しいアルバム『⑮thank you,too』は素晴らしかった。アルバムを通して聴いた私は天を仰ぎ、叫んだ。「つんく♂はまだ、モーニング娘。をあきらめていないのか!」と。つんく♂さんがモーニング娘。をあきらめていないから、私もモーニング娘。をあきらめることができない。困る。こんなにいいアルバムを作られちゃ困るんだよ。藤丼がいなくなってから、私は糞事務所の糞事務所ぶりにうんざりして、もうハロプロごと見捨てようと、ずっとずっと思っていたのに!どうしてつんく♂さんはハロプロを、モーニング娘。を見捨ててくれないの!?あんなにひどいことをされているのに!?どうして!?あなたが見捨ててくれないから、私もモーニング娘。を見捨てることができないんだよ!困るよ!私は今ハロプロハーブが完全に切れていて、ようやく20年間にわたる依存から逃れられる、ハロヲタがやめられるかもしれないって思ってるのに!
いつだってそうだった。矢口が脱走したときも、℃-uteが5人になったときも、スマイレージからゆうかりんが抜けたときも、鞘師が留学したときも、私はいつも「もう終わりだ」と思った。ハロプロのすべてにうんざりして、既存の曲すら聴けなくなった。それでも、つんく♂の楽曲はいつだってハロメンを見捨てなかった。私はつんく♂の作る新しい曲によって、何度も何度もハロプロに引き戻されてきた。たった一曲しか書き下ろさなくても、その強大な引力によって、いつも私は第二宇宙速度を出し切れずに、ハロプロという星の重力圏内にむりやり引き戻されてきた。今回もそうだ。
唯一つんく♂とのつながりを明言しているモーニング娘。が、いろいろありながらもハロプロ内で文句なしの一強状態なのは至極当然のことである。だってまだそこにはつんく♂がいるから。そこにだけは、いるから。そもそも、つんく♂が苦手な人は、もうとっくに48だの坂だのスターダストだのアイマスだのラブライブ!だのアイドル声優だのに移行済みだよ。今さらハロプロを支えている酔狂な人なんて、つんく♂が好きだからに決まってるじゃないか。それ以外に何の理由があるのさ。あ、ロリコンの皆さんがいたか。そうだそうだ、彼らを忘れちゃいけない。和月先生、おへその国へ来て我々といっしょに松原ユリヤちゃんを今後20年間応援しませんか?こっちは完全合法ですよ?
つんく♂という巨大な引力を持つカリスマのいなくなったハロプロ(とくに娘。以外のグループ)が、現在の売上減少を乗り越えることができるのかどうか、私にはわからない。私自身も、セットリストにつんく♂の曲が少ないと判明しているライブへ足を運ぶ機会が極端に減ってしまった。今後どうするつもりなんだろう?『ジェラシージェラシー』よりも『BRAND NEW MORNING』を表題曲にする決定をしたハロプロ上層部(どうやら私とは感覚が違うらしい)のお手並み拝見である。
1位 モーニング娘。’17 ジェラシー ジェラシー / モーニング娘。’17
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最高の歌詞とつんく♂節。
まず、白黒半分に分かれた衣装が好き。イントロをセンターでバキバキに踊る石田あゆみちゃんの動きが好き。ふくちゃんがクネクネしながら「羨ましいのに」って歌うところが好き。ふくちゃん史上最高のソロパートだと思う。これまでのふくちゃんの数あるソロの中でも最も表現力が高い。きっとふくちゃんは本当に、他のメンバーを見て「若いだけでうらやましい」「細いだけでうらやましい」と思ってるはず。ぴったりなんだよ。
「人間 脳なんてきっと多分ほとんどMade with Jealousy」の小田さくらにいたっては、もう人間ではない何者かに進化している。メーテルとか妖怪人間ベラとか日活ロマンポルノの未亡人とか指名手配ポスターの中にいる過激派政治団体の女幹部とか。たった一人で女王の風格。女子フィギュアスケートでいうなら、すでにカタリーナ・ヴィットかミッシェル・クワンかアリョーナ・レオノワ。他の女子たちが習い事の延長、または学校の部活でフィギュアスケートを滑っているのに、ひとりトリプルアクセルが飛べなくなった20代後半ベテラン女子選手が醸し出す妖艶な風格を身にまとっている。
そして誰もが評価する謎のラップ「Rich Young Girly 細い」。細い。Skinnyではなく、細い。突然の日本語。ダサい。そして大サビ前に音が一瞬止まっておっさんの声で突然入る「ジェラシー」。最高にダサい。笑っちゃう、でもそこがいい。くせになるダサさだ。これは昔からハロプロに参加しているラッパー・U.M.E.D.Y.さんの声である。一番有名なのは『恋愛レボリューション21』のイントロ「へいよー れんあい れぼりゅーしょん にじゅーいーち いくぞ よーなーう!」の声ね。
U.M.E.D.Y.さんは脳腫瘍(しかも悪性度の高い膠芽腫)で、もう長いこと闘病していた。この曲はつんく♂さんとU.M.E.D.Y.さんという、ともに40代でがんに罹患した音楽家の曲なのだ。そう考えると、歌詞の趣も変わってくる。他の女子にすぐに嫉妬しちゃうありがちな10代女子の心情だけではない。死に至る病と戦わざるをえない運命につき落とされた若き音楽家である両名が、健康で未来ある他の音楽家に嫉妬し、もがきながら作った曲なのである。なんで自分だけがこんなに早く死ななくちゃいけないんだ、悔しい、他の音楽家に嫉妬する。それでも「悔しさが明日を作る」と信じて「悔しさが情熱に着火」しながら作った作品なのだ。嫉妬を原動力に「だからこそ明日に向かう」し、そんな「私の努力を誰かたたえて」と叫んでいるのだ。このリリックをつんく♂さんがどんな気持ちで書いたのか、U.M.E.D.Y.さんがどんな気持ちで歌ったのか、それを思うとたまらない。U.M.E.D.Y.さんは闘病のすえ、この曲のリリースの10ヶ月後に亡くなった。こうなるともう、私にとって『ジェラシー ジェラシー』は断末魔の魂の叫び になってしまう。
この曲とカップリングで「新時代の幕開け!」などという単調な歌詞を書かされ、図らずも歌詞の深度を比較されることになってしまった星部ショウさんには同情を禁じ得ない。
2位 つばきファクトリー 笑って / つばきファクトリー
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おしゃれで可愛い色合いのMV。「笑って」と言いながらも笑わない映像。可愛いメロディと歌詞。メンバーも全員可愛い。作詞作曲は「泡沫サタデーナイト!」でおなじみ津野米咲さんです。笑わないりさまるが好き。おのみずの歌声が好き。巻き込まれちゃった田舎娘感が強く残るあんみぃも好き。天才かつ天真爛漫な大阪娘のまおぴんも好き。ロコドル出身らしいあざとさをもつイカちゃんも好き。男性向けの薄い本で拉致監禁→快楽墜ちする美少女にありがちな要素をすべて兼ね備えた外見のりこりこも好き。つばきはいいな!この良さがずっと続いてほしいな!いつまで続くかな!ずーっと続いてほしい!けど!決してそうはならないんだろうな!
3位 Juice=Juice Fiesta! Fiesta! / Juice=Juice
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Juice=Juice新メンバー加入後のデジタルシングル第一弾。作詞作曲はペルー出身のエリック・フクサキ。デジタルシングルの欠点は正しい歌詞の流布に時間がかかることである。MVの発表も妙に遅かったし。おかげさまで、Fiesta!Fiesta!スペイン語ラップ部分はニコニコ動画において空耳天国になってる。「キッコーマン!」「アフォ!」「物申す!」「馬!」「馬!」「馬!」「馬!」「バス移動!」「ダ~メよ~」は耐えられたけど、「一般のお客さんは座って!」と「飲み続けてゲロった!」で私の腹直筋は死んだ。
さて、Juice=Juiceに新メンバーが入ってきたのはつらかった。
わたしはやなみんのことをカントリー・ガールズ加入当初から「ハロプロの今後十年間を支える救世主だ」と思っていたし、『Ready Go~ありのままで~』は松たか子よりもMayJよりも、段原瑠々ちゃんがハロプロ研修生公演で歌ったやつが一番心に響く と思っている。デビューできるかどうかすらわからないのに、広島から単身出てきた彼女の悲壮の決意がにじみ出ていた。
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私はJ=Jの5人もみんな大好きだ。追加メンバーの2人も大好きだ。それなのに、つらかった。J=Jの新体制を見るのがきつくてきつくてしかたなかった。「どうして私がこんな気持ちにならないといけないんだ!個人ではみんな大好きなのに!どうしていいのかわからない!」という状態で私は数ヶ月を過ごした。
ねじ子は初期のJ=Jつんく♂曲が大好きだ。作業用BGMとしてもう1000回は聴いている。特にかなともの声が好きで、彼女のパートはすべて覚えている。覚えるつもりなどなかったのに、耳が勝手に覚えてしまった。彼女の声が聞こえるはず、と心が期待しているところで、彼女以外の声が聴こえてくるのがつらい。彼女は辞めたわけじゃないのに、まだグループに健在で、病気を抱えながら日々がんばっているというのに。彼女のパートで彼女でない声が来るのがつらい。予想以上につらい。新しいパート割を聴くたびに心が沈んでしまう。もちろん、かなともが悪いわけではない。パートをもらった新メンバーが悪いわけでもない。メンバーを恨むのはお門違いだ。悪いのは決定権があり、かつ表には出てこない大人たちである。わかってる。それでも、がっかりしてしまう。「新しいパート割、きっついなぁ……」と思ってしまう自分もきつい。
Juice=Juiceの武道館公演へ行くかどうかもさんざん迷った。過去の曲、とくに『イジワルしないで抱きしめてよ』のかなともパートをかなともじゃない人が歌っているのを聴いたら、私は気が狂う。正気ではいられない自信があった。ぜったいにぜったいにがっかりして、膝から崩れ落ちてしまう。わざわざ仕事を早退し、周囲に迷惑をかけつつ子どもを夫に預け、寒空のなか武道館まで行き、明日も仕事だと言うのにわざわざ陰鬱な気持ちになるのかと思うと気が重かった。すると、とたんにチケット代8000円が重い。発券手数料と決済手数料の合計540円はさらに重く感じた。
そのたびに、私はFiesta!Fiesta!のライブ動画を見ることにしていた。
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「金澤朋子のへそと尻を見るだけでも8000円の価値はある!」 と呪文をとなえ、私はなんとかハーブを補充しつづけた。結果として行ったJ=Jの武道館公演はとてもよかった。歌が上手いって素晴らしい。フルコーラスって素晴らしい。つんく♂の古い曲をガンガンに歌ってくれるのも素晴らしい。全員にパート割があるのも素晴らしい。『Never Never Surrender』1番ラスト、全開の笑顔でセンターを張るかなともを見たときは昇天した。「ここだよ朋子!」って大声で叫べただけでも料金の元は取れている。うん。うん。それでもやっぱり、かなとものパートがかなともでないたびに、私のやわなハートにはヒビが入りまくったんだけどね……。特に「ねぇねぇ私のどこが好きよ」と「ねぇねぇあなたの匂い好きよ」と「今日も戦うエブリディ」は今からでも遅くないから、かなともに戻してくれないかな……。そして、あんなに求めていた!かなとものへそ出し衣装は!なかった!なんで?おかしくない?ここ、おへその国でしょ?おへその国を自称しているくせに最近のハロプロはへそ出し衣装が少なすぎるよね!?ちゃんと練習してきたん!?
4位 誤爆~We Can’t Go Back~
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これだよ、これ。星部ショウの真骨頂はこれだよ。こっちでしょ?『BRAND NEW MORNING』も『弩弓のゴーサイン』も『五線譜のたすき』もぜんぜん面白くなかったけど、この曲はとても面白い。ていうか、『BRAND NEW MORNING』において星部さんは自分の書きたいことなんて一文字も書かせてもらえなかったんじゃないかな。あれ、全部上からの指示でしょ?指示された文言しか入ってない歌詞でしょ?そのくらい、あの曲からは作者の意思が感じられなかった。作者の上から入った指示と、その下でぺしゃんこに潰されている星部さんと児玉さんの肉片の残骸はよく見えるんだけど。だから『BRAND NEW MORNING』も『弩弓のゴーサイン』も『五線譜のたすき』も、作品としてはつまらなかった。それに反して『誤爆~We Can’t Go Back~』は最高に面白い。ハロプロ研修生北海道の『リアル☆リトル☆ガール』も面白い。Juice=Juiceの『TOKYOグライダー』『Never Never Surrender』も面白い。インディーズ向け作品や、タイアップが何もない時期にスッと挟み込まれる楽曲の方が出来がいいという、つんく♂にありがちだった法則が、星部ショウさんにもすでに当てはまってしまうのか……。ああ……。
5位 モーニング娘。’17 邪魔しないで Here We Go! / モーニング娘。’17
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変な曲。そしてねじ子が今年最も萌えた曲。どぅーが卒業するに当たって最後に作られた、まーどぅーのための曲である。いしよし・辻加護以来の、モーニング娘。の長い歴史においても屈指の人気を誇ったカップリング・まーどぅーの片割れが卒業するにあたって、つんく♂が作った最高のレクイエムだ。まーどぅーは奇跡、まーどぅーは宇宙。まったくもってその通り。
こうは言うが、工藤はいい時期に卒業したと思う。よく決断した。よく頑張ったよ。モーニング娘。にいる間は、歯列矯正もさせてもらえないだろうし、髪も伸ばさせてもらえないし、化粧もろくにさせてもらえないし、工藤個人のことだけ考えれば今抜けるのは正しい選択だ。娘。ヲタ的には大打撃だけど。工藤の外見を美しく保つためには今のモーニング娘。には奇妙な制約が多すぎる。これからは加入時に見せていたギラギラ感、「狂犬チワワ」「ロリヤクザ」と言われていた頃の小生意気さと愛くるしさを武器に女優として頑張って欲しい。実際、武道館で見た最後の工藤には、ハロプロエッグの頃のギラギラした野望とそれに似合わない愛らしさが戻っていたように思う。
これは一般論であるが、障害児のための特別なクラスにおいて、比較的障害の軽い子が重度障害の子の「お守り役」にさせられてしまうことが往々にしてある。重症の子どもは(一瞬)落ち着くし、先生は楽になるし、周囲の大人たちは安心する。でも実際は、お守り役にさせられてしまった子どもへの負担があまりに大きい。お守り役の子の成長が見込めなくなってしまうのだ。それはそうだ、普通の子どもの世話を普通の大人がするのだってたいへんなんだから、さらにきつい仕事を子どもにやらせたら負担が大きいに決まっている。今では「お守り役の子ども」を作るのはよくないこととされ、教育現場では禁物になっている。それでもまあ実際は、「禁物」という戒めが必要なくらい「行われがち」なことなのだが。
気持ちを言葉でうまく表現できず、どうしても周囲から浮いてしまうまーちゃん。音楽的才能にあふれ、天真爛漫で自由な天才モーツアルト型のまーちゃん。そのまーちゃんに最も信頼される同期であり、努力家で真面目なサリエリ型の工藤。工藤は周囲から「まーちゃんのお守り役」として大なり小なり期待されていただろう。そしてそれは、野心がある思春期の少女にとって非常につらいことでもあったはずだ。だって工藤は誰からも愛され、誰とでも上手に付き合うことができる美少女なのだから。モーニング娘。は教育機関ではないから、「お守り役をつくることはお守り役の子どもの負担があまりに大きい、やめておけ」という定石が共有されているとは思えない。工藤と佐藤の関係の下には、観客には見えない数多くの葛藤と矛盾があっただろうと容易に想像される。だからこそまーどぅーはドラマティックであり、多くの百合女子を魅了したのだ。
「今まで何やってたんだろう All I do 自分の夢の責任者 自分だってことを ようやくわかった気がする」と歌う工藤。外へ出ることを決めた工藤が最後の大サビ導入で高らかに「邪魔しないで」と歌う。その工藤の左肩をさわり、後ろに押しのけながらセンターにあらわれ「やさしいキスも 今いらない 無駄はやめて!」と歌いあげるまーちゃん。2017年9月19日の「The Girls Live」で披露されたこの部分が、私が今年最も萌えたシーンだった。
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工藤はモーニング娘。を去る。邪魔しないで、翼を広げるために場所を開けて、と言う。残されたまーちゃんは、優しい言葉はいらない、無駄だ、と最愛の工藤に言いながらもモーニング娘。に残り、センターとして孤独に歩いていく。これからのモーニング娘。の姿そのものである。二人の道はここでいったん分かれた。まーどぅーという、いびつで、かつ完成されたコンビの別れに対する最高のレクイエムをつんく♂さんは作ってくれた。私が言っていることがピンとこない皆さんは、とりあえずなんでもいいので自分が今萌えているカップリングの切ない別れのSSをpixivで適当に見繕い、この曲をBGMにして読んでみてほしい。私の言っている意味が少し伝わると思う。
あ、ちぃちゃんはおそらくあとから大人にねじ込まれたセンター。この曲のコンセプトとは驚くほど関係がない。
6位 モーニング娘。’17 若いんだし! / モーニング娘。’17
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一転して、つんく♂が工藤個人に送る卒業ソング。映像がいい。私も今すぐつくばの研究学園駅に行って、工藤と一緒に、いや工藤になりきって風を切って歩きたい。そんな衝動に駆られる美しい映像だ。このMVをもってアイドルを卒業できたことを、つんく♂さんからこんなに素晴らしい曲をもらって皆に祝福されながらアイドルを卒業できることを、工藤は一生の誇りにして生きていっていいと思う。ちなみにこの曲調はトロピカルハウスというらしい。知らなかった。
工藤がルパンレンジャーに選ばれたことも嬉しい。ルパンレンジャーがとても面白いことも嬉しい。東京ドームシティのお披露目公演にも本人公演にも4年ぶりに行きたい、たぶんチケット取れないけど。大泉東映で入待ち出待ちしたい、寒いからとても無理だけど。ハロプロエッグ加入時から工藤はずーっと「戦隊モノが好き!」と言っていたの、私はちゃんと覚えてるよ。軽薄でいっちょかみ発言が多い工藤だけど、戦隊モノに関しては、にわかじゃないって私が証明する。当時、生田が「仮面ライダーゼロノスが好きです!」と言ったのに対して工藤が「私はマジレンジャー世代です!」と発言し「おいおいつい最近じゃねーかよ!」と戦慄したのも、おばちゃんきちんと覚えてるよ。あの頃の戦隊は面白かったね。デカレンジャー→マジレンジャー→ボウケンジャーの流れは最高だった。女の子たちも可愛かったなぁ。みんな元気でやってるかな。これで生田が持ち前の運動神経を生かして仮面ライダー出演者に抜擢されたら、当時の伏線がすべて回収されるね!やったあ!
7位 キレイ・カワイ・ミライ / PINK CRES.
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PINK CRES.は今どきの女子である。今どきの女子を狙いすぎていて、ほほえみがこぼれるほどである。インスタ、カラコン、オルチャンメイク。インフルエンサー、バズ狙い。はやりの服、はやりの靴、はやりのスタイル、はやりのメイク。あまりに流行通り、あまりにメーカーの狙い通り。もちろん、アラフォーの私はまったくターゲットではない。それでも最高にかわいい彼女たちをほほえましい気持ちで見ていられる。いろんなものを乗せすぎて傾きかけたタワー状のチョコレートパフェがこちらに運ばれてくるときのようなドキドキ感だ。
おそらくこれは雅ちゃんの天性の明るさ、嫌みのなさゆえだと思う。全力で流行通りにふるまっていても、まったく気負いが感じられない。流行に全力で乗るのって実はとても疲れることだ。お金もかかるし、常に周囲の目線を気にしなくちゃいけないし、すぐに流行遅れにされるし、少しでもほころびが見えたら馬鹿にされるし。自分だって徐々に歳をとるし、体型も変わるし、肌も荒れるし、髪も伸びるし。それなのに雅ちゃんはまったく気負いがないのである。頑張っていなさそう。ただ生きているだけのように見える。ファッションという大きな流れの真ん中で、常におだやかにたたずんでいる。決して流されず、決しておぼれず、決しておごらず、他人を馬鹿にせず、ゆうゆうと、ファッションという名の激流の真ん中に彼女は立ちつづけている。必死であがき続けるもその場所に長くはいられなかった梨沙子とは対照的な姿である。まったく希有な人だ。
実際は、雅ちゃんもものすごーく努力しているんだろう。そうでなければあの場所にずっといられるはずがない。それなのになぜか、まったく!努力してる感じがしないのよねぇ。なんでだろう。実は雅ちゃんって、桃子よりも陰の努力を見せない人である。桃子は「白鳥が水面下では実はジタバタもがいてたなんてファンの方たちは知りたくないと思いますし」と口に出してファンに伝えてくる子だったけれど、雅ちゃんはそれすら言わない。すげぇ。徹底している。何歳までこれで行くのだろう。その名のとおり「雅」な姿に、私は感嘆し続けている。
今年は以上です。来年はモーニング娘。最新アルバムから『もう我慢できないわ~Love ice cream』がぶっちぎりで一位を取る予定です。アイスクリーム・らぶでありかつ、アイ・スクリーム・らぶ、ね。愛を叫んでいるのね。アイスクリームは当然のようにセックスの暗喩ね。ふと気がつくと頭の中アイツのことでいっぱいになるんでしょ。初めからないならば諦めもつくけれど、知ったからはもうやめられないんでしょ。暑い日は当然、寒い日も震えながらほしいんでしょ。寝る前も求めちゃうし寝起きからのガツンでしょ。えっちだなぁ。つんく♀ちゃん久々の女子発情ソングが味わえて私はすっかり恵比寿顔です。(2018.3.31)
2017年 ねじ子のオレコンランキング 1位 ようこそジャパリパークへ / どうぶつビスケッツ×PPP
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『けものフレンズ』1期アニメは素晴らしかった。オープニング映像も素晴らしかった。実はねじ子、アニメの主題歌を出演声優が歌うのってホントはあまり好きじゃない。単純に、本職歌手に比べるとどうしても下手な人が多いのでメロディもリズムも聴きとりにくくなるからだ。でもこの曲は、「出演声優がテーマ曲を歌う」という前提で作られた作品として考えられる限り最高の状態に仕上がっていると思う。日本にオタク文化が残る限り永久に歌い継がれるアニメソングになるだろう。
彼女らはこの曲をひっさげて2017年の歌番組に出まくった。フルで歌う機会も多く、その姿はハロヲタとしてうらやましいほどであった。新人女性声優さんばかりなのに、生放送の歌番組でも生歌で頑張っていた点も素晴らしかった。歌もダンスも台詞もどんどん上手くなり、場慣れしていく彼女たちは見ていてとてもほほえましかった。ベテランのかばんちゃんが真ん中に入ると、場がきゅっと引き締まるのもよかった。何もかもが信じられないくらいうまくいっていたのだ 、たつき監督の降板騒動までは。
「けものフレンズは2期からたつき監督が外れます」という文言は私にとって「源氏物語は宇治十帖から紫式部が外れます」「ねじまき鳥クロニクルは第3部から村上春樹が外れます」と同義である。部外者の皆さんには何を言ってるのかよくわからないと思うが、作家性の高さで言えばそのくらいの愚挙に見える。「KADOKAWAの偉い人!よく考え直してくれ!」と思っていたのだが、どうやらもう、たつき監督はおろか制作会社のヤオヨロズごと2期から外されることは決定したらしい。あーあ。
大切なのは金の卵ではない。金の卵を産むガチョウなんじゃよ。 イソップ大先生もそう言っておるではないか。欲の皮が突っ張ってガチョウの腹を割いてしまうと、二度と金の卵は手に入らないんじゃ。もちろん、ガチョウそのものも二度と手に入らない。当たり前じゃ。古来より言い伝えられる寓話だというのに、なぜみんなガチョウを殺してしまうんじゃ!たつき監督さえ残しておけば、オタクたちは円盤にも舞台にもグッズにも二期にもガンガンに金を使う予定であったろうに。彼らの財布はもう別のところに霧散してしまったよ。あぁ、もったいない。
観客はオタクだけではなかった。『けものフレンズ』はたしかに子どもたちにも届いていたのだ。おそらく、夏休みの早朝に再放送をやっていたのがよかったんだと思う。子供たちが毎日朝、遊びに行く前に、または学童に行く前に、30分間視聴するのにちょうどよかった。「おはスタ」のあと親子で見られる、ちょうどいい物語としてぴったりとはまっていた。このまま永遠にテレビ東京の朝の顔になれるクオリティを持っていたのだ、持っていたのに。
2017年9月の東京ゲームショウに、ねじ子は個人的に遊びに行っていた。子どもとその保護者しか入れないエリア(ファミリーゲームパーク)に最新の「太鼓の達人」アーケードゲームが置いてあり、子どもたちはみな行列して無料で遊んでいた。その子どもの実に8割近くが『ようこそジャパリパークへ』を選曲していたんだよ!!ちなみに残り2割の子どもたちは『前々前世』や『アナと雪の女王』や『シュガーソングとビターステップ』あたりね。あの会場にわざわざ入場料を払って入った大人が連れてきた子どもたちなんだから、オタクバイアスは多少かかっているだろう。それでも、行列中ずーっと『ようこそジャパリパークへ』が選ばれている光景を見て、私は涙腺が潤んでしまった。「よかったね、ヤオヨロズ寺井社長。つんく♂と一緒に上京してきた甲斐があったね。よかったね、たつき監督。よかったね、吉崎観音さん」と。
もうジャパリパークの謎が明かされることはないのか。サンドスターとは何か、なぜ毎年火山から降り注ぐのか、セルリアンは何の目的でどこから来たのか、現実の日本とどう繋がるのか。あの世界にちりばめられた多くの謎と伏線は、永久にそのままになってしまうのだろうか。ひょっとしたら今後のシリーズにおいて「何らかの回答」は示されるのかもしれない。でもそれは他の人が考えた結論だ。私が知りたいのは、たつき監督が1期を作りながら考えていた結論なんだよ。それは永久に封印されることがもう決定してしまった。とても残念だ。
『仮面ライダーディケイド』でシリーズ脚本だった會川昇さんが最高の作品を作り続けていたにもかかわらずある日突然降板させられ、彼の考えていたであろう世界観の謎、つまり「ディケイドはいったい何者なのか」が不明瞭なまま作品だけが放映されつづけたのとよく似ている。伏線が回収されるのを、『仮面ライダーディケイド』がノベライズするまで私はずっと待っていたのに。いつか會川さんが帰ってきて、物語の謎が解き明かされるのを待っていたのに。結局すべての謎は投げ出され、放置されたまま、ディケイドの物語はポシャっとつぶれて終わった。まぁ当たり前か。それを考えた人がいなくなっちゃったんだもんね。『けものフレンズ』でもまたあのときと同じ気持ちを味わうのかな。いやだな。
火中の栗あらため、見えてる地雷となった『けものフレンズ』二期を引き受けざるをえない状況に追い込まれた気の毒な、いや勇敢なアニメ会社とアニメ監督に幸多からんことを心よりお祈り申し上げます。
2位 二時間だけのバカンス / 宇多田ヒカル
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ヒカルちゃんおかえり。あなたのいないn年間はさみしかった。
いや、ヒカルちゃんが「人間活動のため休止する」ってニュースを聞いたときは「おう、休め。どんどん休め。休みたくなるのも当然だよ。これだけ私生活で苦労してさ、家族に振り回されてさ、音楽制作のプレッシャーも背負ってさ、プライバシーもまったくない生活を送ってたらさ、誰だっておかしくなるわい!ヒカルちゃんはよくやってるよ。えらい!好きなだけ休め!そしてもし、また歌いたいという気持ちになれたら、歌ったらいいよ。あなた自身の歌を聴かせに来ておくれ」としか思えなかった。休養、大賛成だった。
ところが、いざ彼女が帰ってきて次々に新作を発表してくれると、こんなにうれしいことはない。こんなに幸せなことは他にないのだ。高校生の頃、毎週月曜日にジャンプで『幽☆遊☆白書』の続きが読めることが至上の喜びだったように、毎月つんく♂の新曲が聴けた4年前までのハロプロのように、毎月のようにヒカルちゃんの新曲が聴けることがとてもうれしい。ヒカルちゃんという音楽家が同時代にいてくれて本当によかった。ヒカルちゃんがいない間、実はとてもさみしかった。私は鈍感で、体の末端への神経のめぐりがひどく粗雑だから、ヒカルちゃんが復帰してはじめてヒカルちゃんがいなくて実はとてもさびしかったことに気が付いた。
最愛にして最大の悩みの種であっただろう母親が死に、最愛の子供が生まれた彼女が、新しい境地にいたり、また音楽をやろうと思ってくれたことがうれしい。新曲を届けよう!と思ってくれたことがうれしい。
セールス的には、以前の方が上なのかもしれない。「『travelling』みたいな陽気でアッパーなR&B風歌謡曲をまた作ってよ!」と思うリスナーが世の中には多いのかもしれない。それでも今の彼女はもうそこにはいないのだ。私は今のヒカルちゃんの曲が一番好きだ。いや、常に最新の彼女が最高の彼女だ。彼女の歌詞と、歌に対する姿勢はきわめて純文学的である。彼女の作品は今の日本において最も大衆に届きやすい女流私小説だとねじ子は思っている。
『二時間だけのバカンス』は正確には2016年の復帰アルバムの中の曲だ。椎名林檎とのデュエットであり、MVでも共演している。
一番の歌詞を見ると、これは小さい子供をもつ女性の物語だとわかる。子どもが生まれて、自分の時間もおしゃれをする余裕もまったくなくなった。子どもを幼稚園や小学校に送り出し、急いで家事を終えたあと、子どもが帰ってくる午後の1時か3時まで。そのたった数時間が、母親に与えられた唯一の自由時間である。子どもを産んだ女性の多くが共感できる状況だ。この不自由さに耐えられない女性は、子どもを育てられない。もちろん、たいていの社会において子どもを捨てることは許されていないから、みんな何とか現実と欲望の折り合いをつけて、矛盾を抱えながらも生きている。なるほど、確かにこれは子どもを持ったヒカルちゃんが新しく至った境地なんだろう。
ちなみにこの曲をモチーフに、30代ママ向けのファッション誌『VERY』において「二時間だけでも、ちょっとおしゃれをして集まってママ友同士の息抜きをしませんか?」という体裁で特集が組まれたらしい。そこでは「『二時バカ』症候群」という新名称も提案されていたとのこと。なるほど。
ところが二番まで聴くと、どうやら様相が変わってくる。「家族の為にがんばる 君を盗んでドライヴ 全ては僕のせいです わがままにつき合って」あれ?なんかほかの人間の影が出ててきたぞ?しかも相手にも家庭があるみたいだぞ?自分も子持ちで、相手も家族があって、あれ?これ不倫してね?「二時間だけのバカンス 渚の手前でランデブー」「ほら車飛ばして 一度きりの人生ですもの 砂の上で頭の奥が痺れるようなキスして」って、あれ?これわざわざ車で海まで行ってますよね?海沿いのラブホテルで二時間ご休憩してますよね?
さすがヒカルちゃん、一筋縄ではいかない。甘ったるい共感だけじゃないわ。さすがである。不倫が必要以上に社会的制裁を受けているこのご時世にあっぱれである。いや、こんなご時世だからこそ上手な暗喩を駆使して、こっそりと高らかに不倫を歌いあげたに違いない。「女性誌でママを集めて特集された」という事実は、ヒカルちゃんの暗喩がどんぴしゃにハマってすべてが上手くいったことのあらわれであり、その手腕に子気味よささえ感じる。
そうそう、特筆すべきはMVの映像だ。椎名林檎との共演。デビュー年も同じ、レコード会社も(当時)同じ、でも作風はずいぶん違う二人。お互いを認め合い、でも決して交わらず、20年間それぞれの道をそれぞれの方法で走ってきた二人の初めての合作だ。双子のようにおそろいの黒髪おかっぱで寄り添い、手をつなぐ二人。たまらない。今も『ヒカルの碁』をこよなく愛するおかっぱフェチのねじ子の性癖をこれでもかと押してくる映像だ。どうしたらいいのかわからない。あ、誰も私のフェチなんて聞いてませんね。すみませんでした。
一つのソファに座り、抱き合い、思わせぶりに互いをさわる二人。しかも監督は椎名林檎の現夫である児玉裕一さんである。そして歌詞はW不倫。しかも歌い出しが「クローゼットの奥」と来た。なんてメタファーにあふれているのか。
ひょっとしてヒカルちゃん、なにかをカミングアウトしようとしてる?NHKの歌番組「SONGS」出演時に「ストレートの同性に恋をしてしまった同性愛者の気持ちを唄った歌です」とヒカル自身が明言した『ともだち』といい、『二時間だけのバカンス』2番の歌詞といい、実はアルバム『Fantome』って宇多田ヒカル版『仮面の告白』なのでは……?そういえば紀里谷監督との結婚生活が破綻しそうな時期の、紀里谷さん以外が久しぶりに監督した『COLORS』のMVでも、女性同士が絡み合う映像を背景に「今日の私はあなたの知らない色」とか言ってたなぁ。うーむ。いや、全然問題ないし、なんならねじ子もぜひ一局お手合わせお願いしたいくらいなんだけど……。あれ?本当に?日本でのLGBT、とくにLが抱える苦労は現代日本の自覚なきミソジニーと中年独身女性の経済的困窮問題に深くつながっているから、とんでもなく重いよ……?ヒカルちゃんが生まれたニューヨークや、今住んでるロンドンとはわけがちがうよ?いや、だからこそ、なのか……?
3位 ずーっといっしょ~20周年記念バージョン~ / いないいないばぁっ!
つんく♂最高。正確には2016年の曲だけど、モーニング娘。20周年を迎える今だからこそ!この曲を推します。Eテレの赤ちゃん向け番組『いないいないばぁ!』20周年記念で作られた曲。すべての歴代お姉さんたちが集まり、ワンコーラスずつ歌うリレーボーカル形式だ。おねえさんたちのそれぞれのソロパートの歌詞には、当時の代表曲のタイトルがきっちりと組み込まれている。さらにDVDの特典映像では、彼女たちのレコーディング風景まで見られる。最高だ!
今年はモーニング娘。20周年らしい。本当は2017年が20周年だったと思うけど、大人の事情で2018年が20周年ということになったらしい。まぁ、そこはいい。それより!モーニング娘。でも同じようなことやってくれますよねえ!!!? 『いないいないばぁ!』にできたことが、つんく♂の分身といってもいいモーニング娘。でできないはずないですよねぇ!!??Eテレがやれたことが、音楽事務所であるアップフロントさんにやれないはずがないよねえ!!???頼みますよ!!加護ちゃんもいちーちゃんもマコも小春も呼んでね!!!!!もちろん、つんく♂さんが作詞作曲ディレクションですよぉ!!!事務所の指示でできあがった他者の合作はいりませんよお!!?たとえそれがどんなに良曲であっても、いりませんよぉぉ!!!??
『いないいないばぁ!』のつんく♂曲は、作曲のみで作詞を別の人がやっていることが多い。三浦徳子さんとかね。作詞までつんく♂が手がけた2017年の新曲『のりものステーション』も最高だった。私の曇った目にはもう、ゆきちゃんが鞘師に見えてる。 赤い服だし。一人でセンター張ってるし。で、わんわんが香音ね。緑だから。ずっしりしてあたたかそうな体格も、きゅっとひきしまった目の大きい顔も、ほら香音ちゃんでしょ。間奏で二人並んで踊るところとかそのまんま、りほかのだよ!ほら!9期!9期だ!赤いきつねと緑のたぬきだ!わーい!わーい!あぁわたしつんく♂不足で頭おかしくなっちゃったかも。ハロプロハーブが切れて幻覚が見えてきたのかな。禁!断!症!状!あ、医者は離脱症状って言わなくちゃね。
4位 『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』メインテーマ
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今年のねじ子のオタク大賞はNintendo Switchの据え置きゲーム『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』がゲットしました。『ゼルダの伝説』は小学生の頃友人の家で初代作をやっただけの(もちろんあまりの難易度にさじを投げた)ねじ子は、今年はじめて『ゼルダの伝説』の深い世界観に触れ、どっぷりとはまったのでした。
まずは、新しいハードにのせる新しいゲームとして最高。新ハードでできるすべての性能を完璧にプレゼンしているゲームだ。オープンワールドな操作感も楽しい。山のどこへでも、海のどこへでも、草原のどこへでも、自由に行ける。行けない場所がない。どんな方法でクリアしてもいい。いや、クリアなどしなくてもよい。ハイリアの大地で好きに生き、好きに食べ、好きに狩り、好きに労働し、好きに着替え、好きに寝ればいい。崖を見たら登ればよい。その先の景色が見たかったら、さらにその先に行けばよい。リンクである私は自由だ。ゼルダなんて知らない、どちらさまで?という状態で、のうのうと魚を捕り果物を取り米を刈って暮らし続けてもいい。もちろんすべての誘導を無視して開始15分でボスを倒しに行ってもいい。
ゲームミュージックはゲームの中での体験に大きく左右されてしまう。私はこの曲を聴くともう、ハイラルの大地に吹く風、突然の雨の冷たさ、崖ですべる手、回想の中のゼルダの冷たいまなざし、どこからか迫ってくる野生のけものの荒々しいにおいを感じてしまう。ゲームをやっていない人がこの曲を聴いて同じ気配を感じることができるかどうか、私にはわからない。だってもう私はゲームをプレイしてしまったから。まっさらの状態に戻れない。未プレイの皆さんにもこのテーマ曲からある種の壮大さだけは伝わると信じている。
5位「新幹線変形ロボ シンカリオン」テーマソング「チェンジ!シンカリオン」 / 山寺宏一
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シンカリオンはタカラトミーとJRのタイアップで、もう何年も前から変形合体おもちゃが先行して販売されていた。このテーマ曲もずいぶん前からyoutubeにアップロードされ、鉄道大好きな子どもたち(いわゆる子鉄)に絶大な支持を得ていた。2018年始の段階ですでに約500万回も再生されている。あ、そのうち150回くらいは私のiPadです。歌とナレーションは安心安全の山ちゃん。山ちゃんすげぇよ、何やらせても一流だよ。シンカリオンがアニメ化しても、OPはぜひ!この曲を使ってほしかった。土曜の朝から山ちゃんが熱唱してくれると信じていた。ナレーションも山ちゃんの声で聴けると信じていた。信じていたのに。
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なぜだ!なぜ変えた!
いや、商売上、OPやEDの曲のタイアップが必要なことはわかっている。ボイメンだって嫌いじゃない。仮面ライダーバロンことバナナ嫌いのゆーちゃむが順調に出世しているのも嬉しい。わかってる、わかってるんだ、でも。これだけの名曲をお蔵入りさせてしまうのはもったいないよ!アニメでもどこかで流してくれ!
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そして1月から満を持して始まった地上波アニメは最高である。正しいロボットアニメだ。ねじ子の中では『ポプテピピック』と並んで今期の覇権争いを繰り広げまくっている。今のところは「家族仲がよく、コンプライアンスのしっかりしたエヴァンゲリオン」といった体。今後どこへ向かうのか楽しみだ。シリーズ脚本の下山さんにも、また会えて嬉しい。ジャンプの打ち切りサッカー漫画とニンニンジャーはともかく、『銀魂』と『帰ってきた特命戦隊ゴーバスターズVS動物戦隊ゴーバスターズ』は最高に好きだったから、続きを楽しみにしている。
オタク母世代としては、緑川と杉田の声が聴けることも嬉しい。どうせ毎週何度も(子どもにつきあって)見させられるのだから、声がいい方がいいに決まっている。子どもたちが録画再生に夢中になっている間に我々は家事をすることになるのだ。画面は見られず、音声だけを何度も聴くことになる。だから好きな声が耳に入ることはシンプルにありがたい。自らロボットに乗っていた緑川と杉田も、いつのまにかロボットに乗る少年の父親世代の役をやるようになったのだなぁ。感慨深いぜ。
6位 EXCITE / 三浦大知
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三浦大知さんは1997年頃にそこそこ売れた子どもユニットFolderのセンターだった男の子だ。沖縄アクターズスクール出身。Folderは明らかにジャクソン5を意識したグループであり、センターの彼のボーイソプラノが最大の武器だった。つまり三浦大知はマイケル・ジャクソンとして沖縄から連れてこられたわけだ。変声期と成長期を迎えた彼はあっという間にグループからいなくなった。女子だけの5人組になったグループはFolder5と名を変え、女性アイドルとして少し活動したあとあっけなく解散した(そのうちの一人が満島ひかりcで、女優として大成している)。
当時の私は「センターの超!歌の上手い男子が放逐されちゃった!ひどいよ!女子だけになったらFolderの魅力は半減だよ!」と思っていたのだが、実際は違っていた。彼はダンスで身を立ることを決意し、いったん芸能活動を休止して単身ニューヨークに渡り、虎視眈々と腕を磨いてきたのだ。ジャニーズ以外の男性アイドルはTV番組に出られない状況の中で、「このままでは自分は立ちゆかなくなってしまう」という認識が本人にもあったのかもしれない。
天才子役としてもてはやされたローティーンの栄光からいかに脱却するか。これは古今東西の名子役が悩む難しい問題のようだ。かのマイケル・ジャクソンもそうだった。マイケルのように歌とダンスの実力を磨くことを決意し、折れずに努力し続けてきた三浦大知くんの覚悟はすばらしい。誰も口に出してはいないが、元モーニング娘。鞘師にも、「三浦大知のようになりたい」という考えがあると思う。そしてそんな彼をちゃんと20年間支えてきたエイベックスも素晴らしい。エイベックスは今年、何十年にもわたって独占しているいわば「お抱えの仕事」である仮面ライダーOP曲を、彼に与えた。一気に知名度を得た彼は、Folderから苦節20年ようやく再ブレイクしたのだ。よかった。
どこを取っても、往年の「正しい」エイベックスらしい素晴らしい仕事である。あまり売れなくても、なかなか切らない。かんたんには人を見捨てない。一回売れた人には長期的に仁義を尽くす。ある種「やくざ的」で「ヤンキー的」で「仁義を切ってばかり」とも言われる、古くて正しいエイベックスの人事力学である。エイベックスがエイベックスらしく正しい仕事をしたのを、わたしは本当に久しぶりに見ることができた。近年ずっと見ることのできなかった「いい方のエイベックス」である。とっても嬉しい。
ちなみに「よくない方のエイベックス」の2018年最も顕著な例がこれ。↓
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えーっと、私はソウル・フラワー・ユニオンが大好きです。ニューエスト・モデルとメスカリン・ドライブだったころから好きです。ソウル・フラワー・モノノケ・サミットも大好きです。もちろん奥野真哉さんのキーボードも大好きです。奥野さんがこんなにメジャーな仕事で作曲をする、と知ったときは感無量でした。奥野さんが作曲してるから、長年の盟友である中川敬さんが歌唱に参加している点も最高です。こんなにメジャーな仕事は受けたくなかっただろうに!奥野さんのためだけに!MVにまで出演して!「シェー!」のポーズまでやってあげているそのお姿!涙なしには見られません。「あの歌う活動家・中川敬が!究極のアナキスト・中川不敬が!アニメのタイアップで、シェー!を!シェーをやるとは!うわー!……」という、わけがわからない気持ちの高まりはありました。確かにありました。ありました、が、あえて言いましょう。
ひどいタイアップだな!
なにがたくさんの大物ミュージシャンとタイアップだ!おたく的には、こっちのほうがよっぽど大物タイアップなんだよ!↓
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アニメ「おそ松さん」の円盤と関連商品が思った以上に売れたから、権力のある大人たちが「予算がたくさんつくわぁ!いっちょかみしたろ!」って魂胆丸出しで全力で後乗りしてるのが見え見えじゃんか!萎えるわ!!客の方をまったく見ていない。いや、ここまで行くと「客の方を見ていない」と口に出して言うのも馬鹿馬鹿しいな。だって、需要がないことなんて百も承知で、それでも50代のおっさんたちに富を再分配したかったんだろうからさ。ミュージシャンはもちろん誰も悪くない。きちんと細部まで作ってある良曲だと思う。それでも、萎える気持ちをどうしても止められない。池袋でたくさん見たあの女の子たちは、自分の父親より年上の名前も知らない男性ミュージシャンを養うためにアクリルキーホルダーと缶バッチを大量に購入して身につけていたわけではないと思いますよ。
今年は以上です。7位以下は、ハロプロ楽曲ランキングと同じになってしまうので省略します。
ちなみに2018年の俺コンランキングは今のところ『POP TEAM EPIC/上坂すみれ』と『恋するポプテピピック/古川ポプ子と千葉ピピ美』が強烈なトップ争いを行う予定です。「ポプテピピック」は第2話だけをもう32回はリピートしています。お絵かき作業用BGVに最適。キングレコードの本気を感じる。(2017/1/25)
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