ねじ子web

医師兼漫画家 森皆ねじ子

ねじ子のLINEスタンプが発売されています
  • カテゴリーなし

完璧手技第10回 中心静脈カテーテル

最終号にふさわしく、ついに満を持して登場!研修医&全学生憧れの手技・中心静脈カテーテルです。中心静脈なんていうありもしない静脈に管をつっこむ行為です。末梢から入れるとイマイチのもの(高濃度の栄養、カテコラミン、漏れると周囲の組織が壊死する薬など)を体内に入れるために、使います。重傷な患者さんや、口から食べられない患者さんの全身管理には不可欠なシロモノです。

刺すべき静脈は、目に見えません。触れることもできません。目に見えない血管に、解剖学的な位置だけを信じてぶっとい針を刺すんですから、かなり盲目的な手技だとも言えます。よって事故は付き物です。それでもやらなければならないのです。怖いですね。つい先日も、ねじ子内頸静脈にアプローチ中、見事内頚動脈に ヒットしました。びくびくしてひたすら圧迫するねじ子にオーベンは言いました。「あぁ、動脈なんて刺してナンボだから。あっはっはー。」…とりあえず必死 で押さえましょう。とりあえず今回は、最も頻度が高く、かつ安全である内頸静脈アプローチについて今回は取り上げます。

一番大切なのは場所決めです

これがIVHセットだ!



麻酔&試験穿刺

カニュレーションの概念は「内筒をとがったものにして、外筒を柔らかいチューブにする」「内筒だけ抜いて外筒を残し、進める」というものであり、基本的には先々月号で行った「点滴」における留置針と、まるきり同じです。


完璧手技第9回 点滴

「とりあえず点滴しましょうね~。ポカリスエットみたいなものですけどね~。」とりあえずって何?

今回は初心に帰って点滴の巻です。脱水の時、絶食の時、大量出血の時、なんだか知らないけど患者さんが突然ショックになった時、二日酔いの時、とにかく体に水分やお薬を素早く入れたい時。昔は口から水を飲ませること・薬を飲ませることしかできませんでした。しかし人類は、静脈に何らかのかたちでアプローチし、重力を利用して砂糖水や塩水や様々なお薬を入れるという秘技を編み出したのです。その効能は果てしなく、全身に与える効果のスピードも速く、今や何はなくても「とりあえず点滴しましょうね~」と、点滴につながれてあらずば入院患者にあらずという雰囲気で患者さん全員がカラカラとソリタT3を連れて廊下を歩く姿を見ていると、いささか無駄に多用されている感まであります。

俗に「静脈路確保」「ライン取る」「ラインキープ」などの用語で呼ばれる手技です。

ラインを取る針には2種類あります。

翼状針

よくじょうしんと読みます。ワープロで打つと大抵「欲情心」と変換されるのでそのたびにげんなりできます。

メリット:
・一日一回きりくらいしか入れない薬剤などの投与の時はこれで十分。
・安い。
・手技が比較的簡単。ただし慣れという説もある。
デメリット:
・1日何回も点滴しなくちゃいけないときなどは、刺す度に痛い
・とがった針が体に付いている状態なので、動けない、肘を曲げられない、トイレに行けない
・固定する角度によって点滴が落ちにくくなりやすい

留置針

俗に言うサーフロー。
メリット:
・一回入れば、詰まるまでかなり長く使える。痛くもなく、何回でも使える
・ヘパロックしてとっておける
・針が残っていないので、動いても安全
デメリット: ・正直、あまりない。
・ずっとつながれていてうざい、という人もいる。

※ヘパロックとは ヘパリン加生理食塩水を10mlくらいフラッシュして、三方活栓の部分で蓋をして、留置針~延長チューブの部分を取っておくこと。夜寝るときなど、寝返りがうてて患者さんは楽。

静脈ラインをキープすることは、1年目研修医の主たる仕事です。お互いを練習台にして留置針を刺しあう研修医の姿が、5月頃どの 病院でも見られます。初めは全く!!入らないものです。ねじ子も何度も患者さんの血管を破り、もらし、血腫を作りまくっていました。とにかく数をこなしま しょう。山ほど失敗して、上手くなってゆくものです、きっと。

完璧手技第8回 尿道バルーン

全国の男性医学生諸君、お待たせしました!今回はついにエロネタ全開!尿道バルーンです。そう、尿道から膀胱へ管を突っ込む行為です。とりあえず男女とも に陰部を見なければお話になりません。恥ずかしがり屋さんには困っちゃう手技です。しかしどんな淑女な女医さんであっても、10本も入れれば恥ずかしいなどという気持ちは露ほどもなくなってゆくんだから、アラ不思議。皆さんも急性アル中で自分の病院に運ばれた時は、知り合いにバルーン入れられないように気を付けようネ!医者たるもの、いざとなったらバルーンくらい自分で入れるくらいの根性が必要だよネ!

これが男子だ!

まずは男子から。男の尿道は長い!陰茎がある分、長い!14cmくらいあります。

男の尿道において最大の難関、それは前立腺です。特に中年男性は、それまでするするとカテーテルが進んでいても、引っかかって先に進まないことが多々あります。それが前立腺です。前立腺を越えることが、男子尿道バルーンの全てと言っても過言ではありません。

これが女子だ!

実は女性器に関しては、女性の方が疎かったりします。男性の方がいっぱい見ていたりしますから。恥ずかしがり屋のお嬢さんも、まじめな女学生さんも、少なくとも膣と尿道の違いくらいは、わかっておきましょう。 真面目な男子諸君も然り。成年男子たるもの、無修正画像くらい見ておけ。(暴言)

しかし、敢えて言いましょう!女子、しかも医学生たるもの、己の女性器ぐらい、見ておけ!!と。少なくとも膣と尿道の違いくらい、わかっておきましょう。 確かにデリケートな問題です。しかし、敢えて言いましょう!鏡を使ってでも、見ておけと。男子諸君も然り。成年男子たるもの、無修正画像くらい見ないでど うする!見とけ!!…我ながら暴言ですすみません。